tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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吉田さらさ著『奈良 寺あそび、仏像ばなし』

2008年01月21日 | ブック・レビュー
近鉄奈良駅近くの書店で、吉田さらさ著『奈良 寺あそび、仏像ばなし』(岳陽舎刊 2200円 07年12月1日発行)という本を手にしたときの第一印象は、「おっ、これは面白そうだ」と思うと同時に「しまった、先を越された」というものだった。
http://www.gakuyosha-p.co.jp/contents/01/review_hobbyart/nara.html

ちょうど奈良検定公式テキストと同じサイズ、ほぼ同じページ数(P330)の本であるが、著者が撮った風景写真や飛鳥園提供の仏像写真(計150点)が満載の、とても楽しい本である。帯には《「むっ、これは」と心惹かれる仏像に会いたい、奈良にやさしく癒されたい、そんなあなたを、日本で唯一のテラタビストがナビゲーション》とある。

なおテラタビストとは著者の造語で、「寺旅研究家」という意味である。著者は集英社で雑誌の編集者・編集長として活躍したあと、体調を崩して「早期隠居生活」に。その後『お江戸寺町散歩』(集英社be文庫)などを出版するとともに、ネットの「オールアバウト」では寺巡りガイドも務めておられる。
http://allabout.co.jp/gs/shrinetemple/profile/mbiopage.htm

『奈良 寺あそび、仏像ばなし』は、ガイドブックと解説書と写真集とエッセイが合体した本で、気軽に楽しく奈良の寺や仏さまを知ることができる。著者の吉野でのハードな山歩きのシーンにはハラハラしたが、コラム「奈良の仏像を楽しむ基礎知識」はとてもタメになった。このコラムで著者は、聖林寺の十一面観音を細木数子、法隆寺の百済観音をウサマ・ビン・ラデインにたとえていて、ちょっと不謹慎だとは思うが、このセンスには感心した。著者撮影の風景写真もキレイだ。各章のタイトルの付け方も上手で、これはブログを書く際の良いお手本になる。

地元の私でも知らない情報がたくさん出ている。そのつど付箋を貼っていると、本がハリネズミ状態になった。私の行った社寺に著者が訪ね、同じことを感じたり、全く違ったりするところも面白い。奈良町の蔵武D(クラブディー)やTEN.TEN.CAFE(テンテンカフェ)、菊岡漢方薬など、私の行きつけの店も登場する。

冒頭で「しまった、先を越された」と書いたのは、私もこのブログでは同じようなことを意図していて、いつか本にまとめてみたいと思っていたからである。

『奈良 寺あそび、仏像ばなし』をひと言でいうと「面白くてタメになる、奈良のお寺ガイド本」といったところか。奈良のお寺や仏像について楽しみながら学びたいという方は、ぜひお読みいただきたい。

※写真は、石光寺(せっこうじ=葛城市)の椿。05年12月11日撮影。

奈良寺あそび、仏像ばなし
吉田 さらさ
岳陽舎

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