tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

同時進行!平城遷都1300年(6)

2006年07月11日 | 平城遷都1300年祭
まずは、前回以降の「平城遷都1300年記念事業協会」の活動をまとめておこう。06年5月31日、協会は記念事業のシンボルマークをPRするため、ピンバッジを制作、販売を開始した。

このマークは仏像の「施無畏印」(せむいいん Welcome Hand)と唐草模様(Arabesque Pattern 国際交流の象徴)をモチーフにしたもので、鮮やかな朱色で個人的には気に入っているものの、勤務先で環境保全を担当している私がつけると「ストップ温暖化」のマークと混同されることもある。
※ピンバッジの報道資料http://www.1300.jp/release/pinbadge.html

6月、協会は記念事業PRのため「事業説明会」を開いた。1日は東京・赤坂プリンスホテル(約400人参加)、8日は奈良市・なら100年会館(約800人)、12日は大阪・中之島のリーガロイヤルホテル(約500人)だった。

また協会は「平城京フォーラムin奈良」というイベント(パネルディスカッションと和歌劇コンサート)を、6月25日(なら100年会館)と7月8日(橿原市の県社会福祉総合センター)に開催した。

さて懸案の「奈良市のホテル誘致構想」について、その後の動きを紹介しておく。

5月11日の定例記者会見で、奈良市の藤原昭市長は「近畿地方の建設・コンサルタント会社など数社から、条件面の問い合わせがあったことを明らかにした」「しかし、今年度内に交渉がまとまる可能性について藤原市長は『分からない』と述べた」(いずれも06.5.12付 毎日新聞)

この席で、県旅館・ホテル生活衛生同業組合奈良支部(以下、市旅館組合)が市に対して観光客誘致の具体策の説明を求めている件に関し「藤原市長は、7月オープンの市東京観光オフィスなどを例に挙げ、『誘客に必要な手は打っている。他に何を示せというのか』と話した」(同)。

この周辺の話を、朝日新聞がうまくまとめて紹介している(06.6.17付 長谷文記者)。

市旅館組合に加盟する旅館・ホテルの数は10年前の78軒から66軒に減っており、市旅館組合側は「客が減って苦しいのに、さらに持って行かれては倒産件数がもっと増える」「市にホテルの誘致を考え直して欲しいというのが本音。ねばり強く話し合いを続けていきたい」と語っている。「一方の市は、今年度中に誘致に応じたホテルと契約したいと強気だ」

これに対し「JTB西日本広報室の担当者は『宿泊施設が少ないことは観光客を誘致できない1つの要因でもあるが、客は宿泊施設のサービスの質を重視するのだから、どちらが正しいとは言えない』と話している」(以上いずれも06.6.17付 朝日新聞)

このJTB広報担当者の話を、私流に読み解くと、こうなる。
・奈良で宿泊する観光客が少ないのは、宿泊施設数が少ないことに加え、既存施設が提供する「サービスの質」が低いからだ
・奈良市などが「サービスの質」の高い宿泊施設を誘致(=サービスの良い施設数を増加)すれば、観光客を誘致できる要因となる

つまり「どちらが正しいとは言えない」どころか、「既存施設のサービスの質を高めよ」「誘客で肝心なのは、サービスの良い施設数を増やすことだ」と、(商売上のパートナーである旅館・ホテルに遠慮しながら)言っているのである。

ところで奈良市ホテル協議会は、05年度の市内8ホテルの宿泊状況を発表した。

「宿泊者数は全体で前年度比1.8%増の396,454人となった」「特に3月は25.6%増と急増したが、同協議会は『JR東海の山手線内での奈良キャンペーンの効果が大きかったのでは』と話している」同協議会は「『代官山iスタジオの取り組みも大事だが、県と市は協力して大がかりな仕掛けを考えてもらいたい』と注文していた」(いずれも06.5.2付 奈良新聞)。

「代官山i(アイ)スタジオ」とは、東京で奈良をPRする拠点として、昨年10月にオープンした奈良県の施設である。前述の奈良市の「東京観光オフィス」もここに入居する。オープン以来、熱心に情報発信活動が行われているが、市ホテル協議会はこれでも不満のようで、県と市に対し、JRのようにカネをかけて派手なPRをしてほしいと「注文」している。

観光客が求めるのは、派手なPR競争ではなく、「サービスの質」を高める切磋琢磨であるはずだ。「もてなしの心」を推進しているのは、どこの県の話だったのか。

※同時進行!平城遷都1300年(5)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/542cc55b49eeb688fb175c71a0133641

※写真は、復元中の大極殿(4/29撮影)。

コメント (8)
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