「迷惑をかけない」日本人と「迷惑をかけ合う」韓国人
日本人の日常会話には、「迷惑でしたら遠慮なくいってください」とか「そんな迷惑はとてもかけられません」とか「迷惑ではないですか?」など、人に迷惑をかけまいとする気持ちを表現する言葉が頻繁に登場します。
それでは自分のことはとなると、「迷惑だなんてとんでもない、そんなのお互いさまですから」という言葉や、「自分も人に迷惑をかけることがあるんだから、人にも許してあげようよ」という言葉がよく耳に入ります。
ここでも「自分に厳しく他人の寛容」な日本人が多いようです。
韓国でももちろん、人に迷惑をかけるのはよくないこととされます。
しかし実際には、多くの場合、「迷惑なんてケンチャナョ」と軽い気持ちでいるものです。
とく親しい間では、「迷惑をかけてこそ友達」「迷惑をかけられてこそ友達」という情緒が強く働いています。
言葉としては日本人も同じようにいうことが多いのですが、実際には「友達にはできるだけ迷惑をかけないようにしよう」と努めるのが普通でしょう。
それに対して韓国人の場合は、言葉通り、互いに迷惑をかけ合うのが普通です。
韓国人にとって友達関係とは「兄弟姉妹同然」の関係、さらにいえば「あなたと私」の区別がない関係でなくてはなりません。
友達の間柄ならば、「あなたの物は私の物、私の物はあなたの物」でなくてはなりません。
友達の歯ブラシを自分も使ってあげたり、場合によっては靴下や下着をはいてあげたり、そうして「あなたと私」に区別がないことをしてあげるのが大事なことになります。
そうすれば相手は「ああ、やはり友達なんだな」と嬉しくなるものです。
このようにいうと、日本人の場合、少年少女時代のことを思い起こされる方も多いのではないでしょうか。
友達の間で礼儀だとか遠慮だとかは水くさいという気持ちで、歯ブラシや下着とまではいかないでしょうが、似たようなことをかなり気兼ねなくやっていたと思います。
でも韓国人の友達関係は、それと似ているようで違う物です。
友達だからという理由で、お金も物も持っていきっぱなしにして返そうとしない、友達だからという理由で請求もできない、だから「友達ほど気をつけなければならない」ということが、盛んにいわれているのが韓国の現状です。