「法律があるのに法律にもとづかないで調整してしまう」「偉い人がまあまあで収めてしまう」、韓国はそういう感じの国です。
身近なところでは、銭湯の例を挙げることができます。
韓国の銭湯では、たいてい床屋を併設しており、安い料金で主人がカットしてくれるのですが、銭湯と理容師の両方の許可・届出をちゃんと取得しているのか気になります。
韓国に行ったとき、何度か銭湯でカットしてもらったことがあります。
裸で髪を切ってもらい、その後は風呂に入って流せば合理的ですが、違和感があります。
確認したことはないものの、銭湯の主人は理容師の免許を持っていないのではないかと思います。
また、露店の屋台は当然、違法営業です。
こちらは時々摘発されていますが、南大門市場にも学生街にもあちこちに屋台が残っており、また新しく出店しています。
なぜでしょうか?
このように、日韓の法律観はだいぶ異なるようですが、韓国人は日本の法律・規則事情をどのように見ているのでしょうか。
その一端を、ベストセラーにもなった田麗玉氏の『悲しい日本人』からうかがうことができます。
田麗玉さんは、韓国マスコミの東京特派員だった当時の日本体験を記述する中で、「日本で不動産を借りるにあたって、必要書類がたった一枚足りないことで鍵を渡してもらえなかった。日本人は何と冷酷なことか。私は担当者を怒鳴り、社長を呼びつけて謝らせて、鍵を受取った」というようなことを綴っています。
日本では「必要書類がたった一枚足りないこと」は当然ダメなことですが、韓国では「融通を利かせるべき程度」で、それに応じない人間は「情のない人間」となります。
まさに「つきあいきれない」です。
逆に言えば、韓国では担当者に懇願すると、日本では考えられないくらい融通を利かせてくれる場合が多くあります。
振込金額が10ウォン、100ウォン足りなくとも、銀行の窓口で「まあいいか」とハンコを押してくれるくらい融通が利くようです。
このように「融通が利く」という例は他にもあります。
韓国では食堂の予約人数を当日に変更したり、キャンセルしたりしても、怒られるようなことはなくキャンセル料もとられません(いい意味気楽に予約できますが、店側も軽く考えているので、場合によっては予約したのに席が埋まっている場合もあります)。
食堂の従業員に「タバコを買ってきて」というと、かなりの確率で買ってきてくれます。
ただコンビニや銀行できちんと並んでいると、中年女性が「外で車を待たせているから」とか言って横入りする場合があったりします。