多摩てばこ通信

食べもの、祭り、テニス、お酒、こだわりものを中心とした情報発信とひとりごと

最近読んだ本(その83)

2021年02月12日 | Weblog
最近読んだ本から。
「犬がいた季節」伊吹有喜著 双葉社
八稜高校に迷い混んだ子犬コーシローはその後12年間に渡り生徒に可愛がられた。卒業していく高校生達を見送りながらも最初に優しくしてくれた優花と名前の由来の光司郎が忘れられない。昭和、平成、そしてコーシローがなくなったあとの令和と、そこに確かに犬がいた季節があった。青春のきらめきと切なさを感じさせられる名作だ。ラストシーンもいい。本屋大賞ノミネート作品。

「銀河食堂の夜」さだまさし著 幻冬舎
銀河鉄道の夜ではない。四ツ木銀座にある風変わりな飲み屋「銀河食堂」に今日も地元の常連が集まるという設定。「三匹のおっさん」を連想させる夜な夜な話に好奇心旺盛な私はついのめり込んでしまった。感涙の連作というのも納得。

「首里の馬」高山羽根子著 新潮社
第163回芥川賞受賞作。沖縄の古びた郷土資料館の整理を手伝っていた主人公は片や世界の遠く離れた人達とのオペレーターの仕事もしていた。ある台風の夜、幻の宮古馬(ナークー)が自宅庭に迷い混んできた……。昭和初期の琉球競馬の名馬ヒコーキ号と同じ名前をつけた馬に乗り揺られる気分はいかがなものか。芥川賞らしい作品。