鎌倉時代、大国元が日本を攻めてきた。いわゆる元寇である。伊予の御家人、河野六郎は没落した御家復活をし、幕府の命により道達丸に乗り込み元を迎え撃つ。小国の一御家人が一家を上げて強敵に立ち向かう。勝算はあるのか、そしてその結末は……。またしても今村翔吾さんの小説に感動してしまった。
「星空をつくる機械」井上毅著 KADOKAWA
著者は明石天文科学館の館長。科学館にはドイツのツァイス社のプラネタリウムがある。設置されたのは1960年だから私が4歳の時、もう60年以上にもなる。私が最初に見たのが小学校の課外授業、以来天文大好きの少年となった。今もあるという星の友の会に入会し、時間さえあれば館に入り浸り、展示品は全て何度も見た。
本書は、プラネタリウムの歴史から、阪神淡路大震災時の閉館危機まで、星空をつくる機械の物語。今も現役で動く日本最古のプラネタリウムを、また明石に帰った時に見に行きたい。
「トキワ荘の遺伝子」 北見けんいち著 小学館
北見けんいち氏が語るあの伝説のトキワ荘の人たちのエピソード。藤子不二雄、赤塚不二夫、石森章太郎、つのだじろう、手塚治……の面々。北見本人は住人ではなかったが、赤塚不二夫のスタッフだった。日本を代表する漫画家たちが作り上げた財産、そしてそれを受け継ぐ人たち、編集者やスタッフ、数多くの人々が遺伝子を継ぎ今に至ることがよくわかった。あの時代の彼らの熱意はどこから来たのか。