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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

新しい中古バス

2010-12-07 00:37:52 | 秋田のいろいろ
以前から書いているように、地方のバス会社は首都圏などのバス会社の中古車両を多く導入している。
首都圏などのバス会社は、経済的に余裕があって新車を購入しやすいこともあるが、大都市圏では排出ガス規制により旧式のバスを長期間使用し続けられない(新車登録後12年まで?)という事情があるようだ。
地方バス会社にしてみれば、新車より格段に安価(おそらく数百万円?)に、あと10年程度は使用できるバスを入手できるわけで、需要と供給が一致した結果と言えるだろう。

乗客にしてみれば、新車ではないが、それなりに新しいバスに乗れることにはなるし、古いバスよりは環境負荷が少ない。
ただ、前に使用されていたバス会社が異れば、ドア、座席配置、降車ボタンなどがまちまちな場合が多く、統一感がない感じはする。


ここ最近、秋田のバス会社に、いくつかの“新しい中古バス”が導入された。
僕は中古バスにはあまり興味がなかったのだが、今回入ったバスは、ユニークな顔ぶれだと思うので、ご紹介したい。

●微妙に違う
今月に入ってから見るようになった車両
このバス会社に多い、いすゞ製の中型車の1つ前のモデル(ジャーニーK?)だが、塗装がピカピカで新しいこと以外にもぱっと見て違和感を感じた。
比較のため、従来からある同型車
まず、窓の配置。従来のこのバス会社のこの型は、窓が上下に動くタイプだけだったと思うが、新しく来たのは下部は固定され、上部だけが左右にスライドする方式。
それから、運転席の窓と客席の窓の下側のラインが揃っていて、その下の塗装のラインの曲がり(運転席窓下直後)の角度が従来のものよりも浅く、ほぼ直線になっている。
あとは車椅子マークが付いている。

乗車する機会があった。
中ドアは、折り戸が2枚並んだ幅広いものなので、やはり中ドアから降りる首都圏の事業者の中古だろう。(運賃は先にもらっているので、ターミナル駅などで大量に降車させるのに有効)
車内はワンステップ(路面と車内の間に段が1段ある)仕様だった。
この車種は1999年まで製造されていたが、標準仕様ではツーステップだった。秋田でこの型のワンステップ車は初めてだと思う。

座席は前事業者のまま(過去の中古車ではリニューアルされた場合があった)で、ややくたびれた印象。
元の設計はツーステップで床が高い車両をワンステップにしたためか、車内から見ると窓の位置が高い感じがした。

その後、この車の2021年の状況。 2024年の状況(リンク先最後)。

この車は今までとはやや違う仕様だが、それほど驚かなかった。だが、以下2タイプは違った。


●実車版チョロQ?
数か月前から見かけるバス
上の写真のように正面からは、普通の中型バスに見える。
前項のジャーニーKの後継車種「エルガミオ」で、このバス会社には「三平バス」はじめ多数ある。

でも、今回来た車両(2台確認)は、横から見ると、衝撃的。
短いっ!(NBAシールをまた違った位置に貼ってる)
車体の長さがとても短い(次項に標準サイズの側面画像があります)。デザインや幅と高さは標準的なものと同じなので、“寸詰まり”という言葉がぴったり。

1999年に登場したエルガミオは、従来のバスにない、丸っこくてややずんぐりむっくりしたようなデザインで、縦に並んだヘッドライトと共に、斬新なデザインに当時は戸惑ったものだ。(ちなみに、ワンステップ仕様やアイドリングストップ機能を本格的に採用し、現在に続くバリアフリーや環境へ配慮したバスの先駆けでもあった)
時間が経ち、エルガミオにも見慣れたが、それが寸詰まりになったのを見ると、また新たな衝撃を受けた。
まるで「チョロQ」を実物大にしたような感じ。

中型バスは、長さ9メートルが一般的だが、これは7メートル。コミュニティバス等での使用を想定していたようだが、あまり売れなかったのか、2001年で製造中止になり、数は少ないらしい。
この点と中ドアが引き戸でなく、内側への観音開きである【2012年8月12日訂正・観音開きではなく折り戸でした】点から、これも中古車に間違いない。

秋田県北部の秋北バスでは、新車で同型車を買っているはず。
あとは、テレビで映っている(ドラマか何かの劇中に登場していたかも?)のを見た記憶もあったが、それは小田急バスのもので、東京にもこんな小さいバスがあるんだと思ったのを思い出した。

さて、秋田にやって来たこのバスは、以前はどこにいた車両なのか、ネットでいろいろ調べてみると、どうも、そのテレビに出ていた小田急バスのものかもしれないと思った。
あくまでも憶測ですが、根拠は次の通り。
・小田急バスの同型車は、今年3月いっぱいで全車両が引退しているらしい。
・ネットで画像を見ると、窓やドアの配置、ドアの注意書きなどが、小田急のものと同一と思われる。
・秋田のバス会社は、高速バスを共同運行したり、古くから中古車両を譲り受けたり、小田急と“仲がいい”。

小田急時代は、武蔵境駅‐吉祥寺駅‐新宿駅西口を結ぶ路線を中心に走っていたようだ。
現在、同路線では、ノンステップ仕様の9メートルのエルガミオの新車に置き換えられたとのこと。

秋田では、このサイズのバスでもちょうどいい路線も多いだろうから、バス会社が適材適所で使ってくれれば、大いに威力を発揮しそうだ。
それにしても、秋田のバス会社のエルガミオは、今まで全車両が新車で購入したものだった。モデルチェンジから10年以上が経過した今、その中古車が出回るようになるとは、時の流れを感じる。

※この車両についての続きはこちら
【2012年4月19日追記】上の写真の「841」というナンバーのバスは、後に男鹿営業所に転属した模様。2011年時点では、行き先表示をLEDから幕に変更され、男鹿の風景のラッピングをされて、ワンコイン観光バス「潮騒号」用車両となっている。
【2012年8月12日追記】2012年7月からは、2台が秋田市中心市街地循環バスに使用されている。


●ノンステップバスが旧市営バス路線に!
バスまつりの時、今年春にこの会社が初めて導入した、「ノンステップバス(乗降口の段差がない)」を紹介した。
これもいすゞエルガミオ(もちろん新車)で、2台導入され、追分・天王方面を走っているようだ。

僕がその車を見て不満だったのは、後部に小さく「ノンステップバス」と表示されているだけで、外見上ではワンステップ仕様のエルガミオとの区別が難しいこと。
せっかく導入したノンステップバスなんだから、他のバス会社のように、側面などにも大きく表示すればいいのにと思っていた。


ところが先週、秋田市内で側面に「ノンステップバス」と表示されたバスを一瞬見かけた。だが、追分方面の路線でなかったし、同じエルガミオだが外観がどことなく異なり、新車ではなさそうな雰囲気。とても驚いた。
後日、再び見ることができた。
これ


写真では分かりにくいが、中ドア左隣の窓に「ノンステップ」と青文字で表示がある。

正面、フロントガラスの下にも「ノンステップバス」との表示があり、新車の方よりはノンステップのアピールができていそうだが、逆に後部は「アイドリングストップバス」の文字だけで、ノンステップの記載はない。
このバス会社らしく、統一感がないですねぇ
【8日追記】最初に紹介したバスとナンバーが連番になっている。同時期にやって来て登録されたのだろう。
中ドアが開いたところ
これも、上の短いバス同様、中ドアが内側への観音開きなので、中古車だろう。

乗ってみた。
ノンステップかつ車内への観音開きドアであるため、整理券発行機の配置に苦労したらしく、入って左側のちょっと邪魔そうな位置にあった。
ドアの“旋回範囲”の床は黄色く着色され、そこに立つとドアが開閉できないことと走行中でも立たないようにとの注意書きがあった。
また、車外に向けては駆け込み乗車しないようにとの注意書きも。どんなドアであれ、乗り物に無理して乗車するのは挟まれて引きずられる事故の元だが、このタイプのドアだと、構造上挟まれてもセンサーが感知しにくく、特に危険なのだろう。
この車も、座席は前所有者のままで使い込まれた感がある。車内のポール(立ち客がつかまる縦方向の棒)は、ワンステップの新車より少なく、段差部分が黄色いほかは茶色の棒だった。


ノンステップの新車に乗ったことがないので比較はできないが、同型のワンステップ版と比べると、乗り心地があまり良くなく、路面の振動が伝わってくるような感じがした。
車高を上下させる「ニーリング」機能は付いているようで、停車中に何度か車高を調整していた。

中型バスは、もともと(大型バスよりは)幅が狭く、車内が広くない。そのノンステップ版では、タイヤの上が異様に高くなってデッドスペースになるし、エンジンなどがある中ドアより後ろは一段高くなっている。
乗降時の段差を少なくしても、席が少なかったり、車内に段があったりするのなら、ワンステップの方がいいような気もする。価格も安いだろうし。この辺りの兼ね合いというか落とし所は難しい。

この車両は神田線、秋田温泉線、泉ハイタウン線などを中心に新屋・割山方面なども走行していると思われる。
これにより、旧秋田市営バスの路線にもノンステップバスが走ることになり、秋田市の公共交通のちょっとした進歩と言えそうだ。
そして、ノンステップバスまでもが中古で導入されるのには、やはり時の流れを感じたが、地方にとっては安くバリアフリー化を進めるのには有効な手段ではないかとも思った。
【2011年2月16日追記】ナンバープレートが連番の同型と思われるノンステップバスが、同営業所にもう1台走っている。
また、自社で発注していたエルガミオは、側面窓ガラスが黒く着色されているが、この車両は無着色のようだ。

※この後、さらに追加導入されました。

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2 コメント

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Unknown (たか)
2010-12-11 15:39:34
 ノンステップバスが導入されたのは、良い事ですね。大阪では結構見かけるタイプで、高齢者とか身障者の方の乗り降りに助かっています。ただ、手押し補助車を使っている時は、乗る時は良いのですが、出口の幅が狭くて難儀するとか、車椅子の場合、道路との段差のために運転手の人が降りてきてスロープの設置をしなければならないとか、本当にバリアフリーとなっているのか問題点もあると思います。
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ノンステップバス (taic02)
2010-12-11 18:00:21
大都市ではもう、ノンステップが主流ですね。
たしかに、昔のツーステップに比べれば、誰にとっても楽に乗降できるのは間違いないですが、秋田では道やバス停が狭い所が多く、積雪時など車椅子の乗降ができるのか、はなはだ疑問に感じています。
むしろ、バスのドライバーや他の乗客、周りの他車のドライバーの手助けや気遣いでカバーできることもあるように思います。
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