簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
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人形供養の寺・地蔵院(チョット一息)

2024-05-03 | Weblog
 「ブゥ~ォ~」「ブゥ~ォ~」「ド~ン」「ド~ン」

 静かな山里に重々しいホラ貝が響き、太鼓が鳴らされると三人の僧侶
の読経が始まった。毎年三月の最終日曜日、横尾山・静圓寺塔頭寺院・
地蔵院で行われる「人形供養祭」の始まりである。



 地蔵院は、江戸末期紀伊国の淡嶋神社の分身が祀られ創建し、所縁の
寺とされている。淡嶋神社では雛納め雛流し、お焚き上げの神事があり、
それに因み当院でも昭和62(1987)年より供養祭が行われるようになっ
たという。



 寺の本堂に設けられた緋毛氈のひな壇には、夥しい数のひな人形、武
者人形、かぶと飾り、羽子板、市松人形、西洋人形、様々なぬいぐるみ等
が所狭しと並べられている。桜の咲き始めた人形塚のある境内にも緋毛氈
が敷かれ、人形等が並び置かれている。



 境内中央には護摩壇が築かれ、ひな人形などが山積みにされている。
周りには「淡島丸」と書かれた小さな舟がいくつか置かれ、この中にも
多くのおひな様が乗り込んでいる。
どれも子供達の安寧を願い、成長を共に遂げた、掛け替えのない思い出
多い品々で、今その役割を負え、感謝の思いでお焚き上げの別れを待っ
ている。



 僧侶の読経が続く中、人形達は塩で清められ(浄塩の儀)、その後参
拝者への散華が行われる(散華の儀)。「お人形さん、ありがとう」と、
子供お礼の言葉、住職が願文を読み上げると護摩壇に火がつけられる。

 白く燻った煙は見る間に赤い炎となって燃え盛り、その中に人形も次
々に投入されていく。



 お焚き上げは3500体以上という。
供養の「添え護摩」もくべられると、お焚き上げは最高潮を迎え、護摩
壇を取り囲んだ参拝者は、燃えさかる人形たちに神妙な面持ちで手を合
わせ、別れを惜しんでいた。(完)

 「人形供養祭」 詳しくはこちらもお読みください。 



次週から「東海道歩き旅 近江国・後編」が始まります。



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