2011年度授業の成果 2

2012年05月06日 | 心の教育

 きわめて遅れた報告の第2は、M大学での成果です。

 M大学(「仏教心理論」)は、2011年度、特に前期は、これまででもっとも受講者数が増えました。

 登録者数:前期200人、後期157人、受講実数:前期197人、後期127人でした(前後期別々に履修可能)。

 前期は『コスモロジーの心理学』(青土社)の内容(まだ青土社の単行本は出ていませんでしたので研究所発行のパンフレット版使用)の講義とワーク、後期は『仏教とアドラー心理学』(佼成出版社)の唯識を中心とした仏教の部分の講義を行ないました。

 年度末に回答は自由にしてアンケートを取りましたが、回答者数は111人(ほとんどが前後期とも履修)で全体の約87%とかなり高率でした。

 全体で12の質問項目のうち、授業の成果を端的に表現しているのが11番目の以下の質問への答えでしょう。

 「授業を受けたことによって、人生観・世界観に変化があったと感じていますか。    変化はなかったと感じていたら、0、あったと感じていたら、プラス・マイナス1から10までのスケールで表現してください。」

 10:13人 (12%)  9:5人 (10との累計16%、以下同様)  8:15人 (30%)  7:8人 (37%)  6:7人 (43%)  5:24人(65%)  4:8人  3:6人  2:10人  1:5人  0:6人  無回答:4人

 コスモス・セラピーと仏教を融合したコスモロジー的教育の成果としては、昨年度この大学では従来よりやや低めです。従来は10から5までの累計が75%以上のことがほとんどでしたから。

 0が6人というのは、当然といえば当然で、万人に効く万能のセラピーや教育はないということでしょう。成績と合わせて考えると、この6人および無回答、アンケートに答えなかった学生のほとんどが授業内容を理解できなかった・しなかった・したくなかったというケースだと思われます。これは、はなはだ残念ながらやむをえないことだと思います。

 ふつうの言葉に置き換えると、10は「まるで変わった」、9から6は「かなり変わった」、5は「ある程度変わった」ということでしょうから、コスモロジー教育が人生観・世界観をプラスに変化させ、人生の質(Quality of Life, QOL)を向上させる上で大きな効果があることは、今回もまた実証されたと言っていいでしょう(もちろん第三者によるより厳密な検証が望まれますが)。

 ポイント10の学生の中でももっとも顕著な変化を報告してくれた学生(2年女子)の場合、最初の質問項目、「今、人生の充実度はどのくらいですか? 1から10までのスケールで表現してください。」に対して、受講前の1から受講後の10へと表現しています。

 これは、
 質問項目2の「自分のことを好きだと思っていますか? (以下同)」に対する、受講前「きらい10」から受講後「好き8」への変化、
 項目3の「自分に自信がありますか? (以下同)」に対する、受講前「なし10」から受講後「あり8」、
 項目8の「人生には、意味があると思いますか? あるとしたら、どんな意味だと思っていますか? その考えについての確信度を1から10までのスケールで表現してください。」に対する、受講前「なし」から受講後「つながりを知る10」、
 項目9の「人生でこれだけは実現しようと思っている目標はありますか? あるとしたら、何ですか? 実現への決心はどのくらいですか? 1から10までのスケールで表現してください。」に対する、受講前「なし」から受講後「明るく生きる10」、
 項目10の「人間は死んだらどうなると思っていますか? その考えについての確信度を1から10までのスケールで表現してください。」に対する、受講前「分からなかった」から受講後「また先につながっていく10」
などと、すべて対応していて、非常にうなづけます。

 つまり、授業をうけたことによって全体として人生の質が飛躍的に向上した、と評価していいでしょう。

 ポイント10の学生の中でも項目1に関する変化のもっとも少ない学生(2年女子)は、4から6ですが、「その他、授業に対して感じたことがあれば、自由に書いてください。」の項目に対して、「元気にこれからの人生を送っていきたいと思います。」と書いていますから、それでもかなり元気になった、あるいはまさに元気に生きていこうという気になったわけです。

 これもまた人生の質の向上です。

 うれしいのは、自由記述で「“愛すること”を学びました。自分のことを大切に思うようになりました。もっと早くこの授業に出会いたかったです。」と書いてくれた学生のいたことです。

 言うまでもなく、「自利利他円満」という大乗仏教の目指すところが若い世代にも伝わったということでしょう。

 これ以外にも、とてもうれしい感想を書いてくれた学生がポイント10の学生だけでなくたくさんいました。

 ちなみに、アンケートの最終・12番目の項目は、「授業を受けたことによって、仏教に対する以下3つのポイントの考え方が変わりましたか。①暗い → 明るい ②古い → 古くない ③特殊(信じられる人にだけ適用)→ 普遍的(誰にでも適用)」ですが、ほとんどの学生が左から右へと理解が根本的に変わります。

 次のように書いた学生もいます。「変わりました。仏教って人を選ぶと思っていましたが、人間の奥に響くものなんだって気づきました。仏教は人生のヒントをくれるもの。そう思うようになりました。」

 昨年度も、若い世代に、特定宗教としての仏教を布教するのではなく、仏教の普遍的なエッセンスを万人の人生の質を高めてくれるものとして紹介するという、授業の目的がかなりよく達成できたと感じています。

 まだ紹介したいことがたくさんあるのですが、長くなるのでここまでにします。

 今年度も、昨年度同様あるいは以上の成果が上がることを期待しているので、連休明け、また明日から大学へ行くのが楽しみです。


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