Sightsong

自縄自縛日記

ワダダ・レオ・スミス『The Great Lakes Suites』

2014-08-29 07:07:29 | アヴァンギャルド・ジャズ

発売されたばかりの、ワダダ・レオ・スミス『The Great Lakes Suites』(TUM Records、2014年)を早速聴いた。何しろ、ヘンリー・スレッギルが参加しているとあっては放っておくわけにはいかない。

Wadada Leo Smith (tp)
Henry Threadgill (as, fl, bass fl)
John Lindberg (b)
Jack Dejohnette (ds)

そんなわけで、この2枚組を繰り返し聴いているのだが・・・。

確かに、スミスのトランペットは、空や地平線が見渡せる広大な空間で鳴り響くようなものであり、また、ジャック・デジョネットのドラムスも、「間」を感じさせるものである。この音楽は聴く者を自由空間において浮遊させてくれる。

しかし、肝心のスレッギルのアルトサックスがいまひとつなのだ。吹きはじめた途端に周囲の色を一変させるスレッギル・カラーは健在なのだが、それは実に弱弱しく、かつて、ルーチョ・フォンタナの絵のように空間に斬り込んでいった勢いは、まったくもって感じられない。まるで、スレッギルの亡霊が、姿を見え隠れさせながら、自分自身の模倣をしているようだ。

●参照
ワダダ・レオ・スミス『Spiritual Dimensions』
ワダダ・レオ・スミスのゴールデン・カルテットの映像
ヘンリー・スレッギル(1)
ヘンリー・スレッギル(2)
ヘンリー・スレッギル(3) デビュー、エイブラムス
ヘンリー・スレッギル(4) チコ・フリーマンと
ヘンリー・スレッギル(5) サーカス音楽の躁と鬱
ヘンリー・スレッギル(6) 純化の行き止まり?
ヘンリー・スレッギル(7) ズォイドの新作と、X-75
ヘンリー・スレッギル(8) ラップ/ヴォイス
ヘンリー・スレッギル(9) 1978年のエアー
ヘンリー・スレッギル(10) メイク・ア・ムーヴ
ヘンリー・スレッギル(11) PI RECORDINGSのズォイド


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