詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

谷川俊太郎詩集『虚空へ』百字感想(18)

2021-12-26 08:48:40 | 谷川俊太郎『虚空へ』百字感想

(秋 落ち葉の)


落ち葉の
葉脈を辿って
迷う

世界は
きりのない
言葉を秘めて
無言

理は偽るが
美は
真のみ

闇に守られて
眠る

 「闇」は「偽る」ことはない、ということか。見えるのは、自分の内部にあるものだけ。でも、「美」や「真」だけ見つめていては退屈。だから「眠る」のか。夢で「迷う」のは「言葉」か「無言」か。

 

 

 

 

(昨日は嘘)

昨日は

明日は

今の

私は私

無数の

一個の

熟してまた
未知の
種子

 「また」がいいなあ。「種子」に帰る、の「帰る」という動詞が隠されたまま予告されている。「未知」にだけ、「嘘」は含まれていない。「明日」にはすでに「明日」という「知(嘘)」が含まれている。

 

 

 

 

 

(本にひしめく)

本に
ひしめく
語たち

語は
語を喚び
語は
語と通じ

意味を
孕み
時に歌う

文字を
忘れ
電子の
声で

 「文字を/忘れ」を読んだ瞬間、声は?と思ったら、その「声」が出てきた。でも「電子」の「声」。あっ、電子に「声」があるのか。私は知らなかった。「通じ」「孕む」という動詞に「ことばの肉体」を感じた。


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1 コメント

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谷川さんの詩 (大井川賢治)
2024-02-16 22:01:33
/無数の因 一個の果/ さすがですね~変幻自在。

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