後手の45歩は互角に近かったので、もう少し工夫をしてみます。
64歩に対して68金上と待ちます。実はこのほうが本来の鷺宮定跡で、相手の出方をうかがい、左46銀か、斜め棒銀か、鷺宮定跡(38飛)か、棒銀か、後手の手を見て決めようということなのでした。ここで54歩を突けば38飛とします。
43銀35歩同歩46銀以下は、後手から27角~54角成が消えています。なので45歩を突いて
33角成同桂(同銀でも)に31角を打てるというのが違いです。飛を逃げられても64角成とできるのです。米長森安の第43期棋聖戦第1局の手順をなぞってみると、14歩16歩の交換が入っていたのですが、44角77桂74歩66歩55歩
55同歩同角18飛41飛
22角成43銀35歩同歩32歩
51飛31歩成42金11馬
先手ペースで進んでいて、香を取って先手有利になっています。必然ではないですが、互いにほぼ最善を尽くしている手順です。
では後手が54歩以外の待ち方をしたらどうするか。74歩ならば
35歩同歩46銀の斜め棒銀を採用します。36歩35銀45歩33角成同銀77角
AI推奨手順で、評価値は+264、かなり指しやすそうです。
65歩ならば
38飛には43銀35歩同歩46銀45歩・・・後手に64角を打つ味があるので難しいです。なので55歩43銀56銀
65の歩を取りに行くというのがアイデアで、評価値は+182、まずまずでしょう。
おそらく後手の最善は68金上に12香です。
この図が悩ましいのです。AIは55角を推奨、63金には35歩同歩46銀の斜め棒銀がよいでしょう。
36歩35銀54歩88角45歩33角成同銀24歩同歩同銀、まではよいですが、22銀
後手の高美濃が中途半端で先手有利になるかと思いきや、評価値は+112、難しいようです。途中24歩同歩同銀と行かないで26飛
36歩を払う方針で評価値は+126、でもまだ先手有利までは遠いですね。
なお55角に65歩ならば
77角43銀46歩74歩37桂73桂45歩
45歩急戦になって、評価値は+197、十分な仕掛けでしょう。
ということで旧鷺宮定跡にするのもありですが、難しいわりにはっきりしません。変化というか、相手に合わせて方針が変わるから、級位者が覚えるのも難しいです。現実的には昨日まで研究していた範囲に収めておくのが良いのでしょう。