名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(334); 急戦向い飛車

2016-11-10 | 大山将棋研究
昭和52年1月、森雞二先生と第9回早指し選手権です。


森先生は石田流を目指し、これには85歩は普通の手なのですが、大山先生は84で止めておくのも多いですから珍しいかも。

森先生は急戦向い飛車に。居玉でやるのが横山公望さんのメリケン向い飛車でしたっけ。

85から歩を打つと飛車を引いて76銀から取られます。

65歩に44歩と止めたら穏やかだったのですが、55歩だったので飛車を回ります。これで大山先生は歩損を避けられません。

森先生は1歩かすめ取りました。ただし手損なのでどうなるか。

大山先生は34の歩がないので玉が安定しにくく、穴熊に。居飛車穴熊はまだ流行っていない頃です。

森先生はどんどん動きます。これで と金作り。

ここで74飛が疑問手。72と でした。

と金の活用を防がれてしまいました。

大山先生は穴熊が最低限まとまったので動きだします。銀をぶつけて交換、

飛車をぶつけて、交換できませんが と金を払って有利です。

銀を投入して飛車を抑え

これで8筋が破れます。

森先生は角をさばきますが、と金を作られ

95角から二枚換えねらい。よく手を作るものです。

大山先生は85角で銀にひもを付けて守り

と金はできているのでゆっくりさせば十分です。

角は取られても2枚換え。

王手飛車を避け

でもこの銀取りは受けにくいです。

銀取りは無視して香を取って2筋が急所です。

18銀と使わせたら中央から確実に攻めます。

森先生は玉が薄いので守りようがなく

馬を取られて角を打たれ

受けなしです。

この向い飛車というか、急戦向い飛車全般は、昔から滅多に見ませんが、やはり無理があるのです。それでも森先生は34の歩をかすめ取って と金を作り、うまくいったかと思ったのですが、72と と引くタイミングを逃したのが痛かったです。玉が薄いので間違うと響きますね。そのあともあれこれ手を作りに行くのですが、大山先生が受けそこなうとは思えません。局面が落ち着けば玉の堅さの差も出てきます。
後手をもって受け方や攻め方を学べると思います。



#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:森雞二8段
後手:大山棋聖
先手省略名:森
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 6八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6七銀(68)
8 5四歩(53)
9 7五歩(76)
10 8五歩(84)
11 7七角(88)
12 4二玉(51)
13 8八飛(28)
14 3二玉(42)
15 4八玉(59)
16 5三銀(62)
17 7八金(69)
18 5二金(61)
19 8六歩(87)
20 同 歩(85)
21 同 飛(88)
22 8四歩打
23 6五歩(66)
24 5五歩(54)
25 3六飛(86)
26 4四銀(53)
27 3四飛(36)
28 3三角(22)
29 3六飛(34)
30 2二玉(32)
31 7六飛(36)
32 1二香(11)
33 7四歩(75)
34 同 歩(73)
35 同 飛(76)
36 7三歩打
37 7六飛(74)
38 1一玉(22)
39 8三歩打
40 同 飛(82)
41 7二歩打
42 7四歩(73)
43 7一歩成(72)
44 7三桂(81)
45 7四飛(76)
46 6二金(52)
47 7六飛(74)
48 3二金(41)
49 6六銀(67)
50 4五銀(44)
51 6七金(78)
52 5四銀(45)
53 3八玉(48)
54 6五銀(54)
55 同 銀(66)
56 同 桂(73)
57 6六角(77)
58 7三飛(83)
59 7四歩打
60 7一飛(73)
61 4八銀(39)
62 8五銀打
63 7九飛(76)
64 7六歩打
65 8六歩打
66 7四銀(85)
67 7六飛(79)
68 7五歩打
69 7九飛(76)
70 8五歩(84)
71 5六歩(57)
72 8六歩(85)
73 5五角(66)
74 同 角(33)
75 同 歩(56)
76 8七歩成(86)
77 5四歩(55)
78 5二歩打
79 5九飛(79)
80 7八と(87)
81 9五角打
82 7二飛(71)
83 5三歩成(54)
84 同 歩(52)
85 5四歩打
86 8五角打
87 6六金(67)
88 5四歩(53)
89 同 飛(59)
90 5三歩打
91 5五飛(54)
92 9四歩(93)
93 8六角(95)
94 6四歩(63)
95 3九金(49)
96 6三金(62)
97 9六銀打
98 同 角(85)
99 同 歩(97)
100 8二飛(72)
101 8七歩打
102 8九と(78)
103 6五金(66)
104 同 歩(64)
105 5九飛(55)
106 3三歩打
107 6四歩打
108 5四金(63)
109 4一角打
110 9九と(89)
111 7四角成(41)
112 2四香打
113 1八銀打
114 6六歩(65)
115 5六馬(74)
116 6五銀打
117 5七馬(56)
118 5五桂打
119 9九飛(59)
120 6七歩成(66)
121 4六馬(57)
122 6六銀(65)
123 6三歩成(64)
124 5八金打
125 4九桂打
126 4四歩(43)
127 5六歩打
128 4五金(54)
129 同 馬(46)
130 同 歩(44)
131 5五歩(56)
132 5六角打
133 5三と(63)
134 4六歩(45)
135 4四桂打
136 4八金(58)
137 同 金(39)
138 5七銀打
139 3九金打
140 4八銀成(57)
141 同 金(39)
142 5七金打
143 投了
まで142手で後手の勝ち

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20161110今日の一手<その415>; 手の組み合わせ

2016-11-10 | 今日の一手

20161110今日の一手

10月8日の名南将棋大会から、IさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は57角1枚。
後手の攻め駒は33角75金で2枚。72飛も働きそうなので3枚に近いです。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として

先手のミレニアム、後手の穴熊です。通常は振り飛車穴熊のほうが堅いので普通に組みあっても振り飛車が十分なのですが(だからすたれた戦型)、先手が端に手をかけたので桂頭が薄いとみて、袖飛車で攻められたところです。
77桂をうまく処置して玉が堅いまま戦いになれば先手が十分させるのですが。57角が75金に当たっているし、端を攻めることができるかも。だからうまくいきそうにも見えますが、持ち歩が1つしかないので下手をすると悪くなります。


△ 受けるとしたら87銀として

76歩85桂66歩88銀67歩成同金直66歩68金引65銀26飛

66歩76歩の圧力があるのですが、先手玉が89なのでまだ戦えます。後手は84歩とすれば桂馬を取れますが、93桂成と捨てられてかなり乱れます。
後手のペースですが形勢は互角です。


× 実戦は94歩と突き捨てて

94同歩85桂86金73歩同桂75角

85桂86角76歩

桂と金の交換でも7筋が危険です。24歩は疑問手ですが、77歩成同銀同桂成同角同角成同金右85桂

どんどん攻められて後手の快勝です。

戻って24歩では75金くらい。

でも77歩成同銀同桂成同金右75飛同角85桂

はやはり食いつかれています。


× 黙って85桂として

86金73歩同桂93桂成

となるなら先手がやや指せます。

でも73歩に52飛として

75角を避けられていると85金があります。93桂成も同銀なのでこれは指し過ぎです。


○ ということで85桂では決まりません。73歩を先にしてみます。

今なら73同飛の一手。24歩同歩同角44角

後手からの76歩には85桂が飛車に当たります。だからかなり有力です。
55歩同角42角成22歩85桂63飛87銀

が変化の一例。後で桂馬は取られるのですが、馬を作っていますし、互角以上に戦えると思います。


△ 普通に攻めるなら24歩ですね。

24同歩同角22飛が普通の受け方。

25歩44角57角86金24歩27歩同飛26歩28飛76歩

と、普通に指していたのではだめです。

22飛に23歩を利かせて

23同飛25歩44角42角成27歩同飛26歩28飛25飛

55歩同銀43馬71金65桂

として、これは先手が指せそうです。

でも24歩を取らずに76歩85桂86金23歩成44角

かもしれません。73歩52飛32と26歩21と85金

桂馬の交換ですが左の桂を交換しているので後手のほうが少し得です。




形勢互角の局面でしたが、正解になりそうな手は少なく、難しかったと思います。
これは先手が玉を固めるのを優先したためです。玉を金銀4枚で囲おうとか、穴熊にしようとか、現代では堅い囲いが好まれるのですが、攻撃に使える駒が少ないあるいは配備が遅れるということでもあります。玉を固めるのは初心者向けではないと思うのです。薄い玉で攻めろというのではありませんが、金銀3枚で普通に囲って、飛角銀桂で攻めを考える、というほうがわかりやすいのです。

読むとしたら
87銀から受けるのでは今一つもの足りない
端を攻めるのでは歩が足りない
85桂から73歩同桂93桂成は有力
でも73歩は取ってもらえない
ならば先に73歩でどうか
という流れと、

24歩同歩同角と行けるかどうか。取ってもらえれば踏み込んでいく手順がありそう。でも手ぬかれたらどうしようか。
やはり73歩同飛を入れてしまえば85桂があるので、24歩を手ぬかれにくくなるのだ。
という流れと、

両方考えないとわからないのだろうと思います。(全部読めなかった、読み間違えたというのは局後に検討して修正して学んでいけばよいのですが。)

感覚(直観)では何かありそうだとは思うのですが、85桂が正しいのか、なけなしの1歩を使い73歩とたたくべきか、24歩同歩が入れば手を作りやすいけど入るのかどうか、というのはすぐにはわからないとおもいます。
73歩同飛24歩が手の調子だ、というのは、その順を発見して比較すればなんとか理解できるのですが、この組み合わせが見えるかどうかにかかっています。

ですから、読みの得意なタイプの人が玉の堅い戦型を選ぶのはよいのですが、読むのは苦手というタイプなら、玉を固めすぎないほうが易しいのです。
級位者のうちに穴熊など堅い玉に頼るのはお勧めしません。

また、読みが得意な少年少女が奨励会に入った後で、周りも自分と同じくらい読みが得意で、アマチュアの頃のように勝てなくなる、というのもよくある話でしょう。どれだけ個性を発揮できるかが課題となります。単に読みが得意というだけでなく、どういう読みが得意なのか、直線的か曲線的か、手の広いところの読みが得意なのか、手のないところから手を作るのが得意なのか。あるいは読まないでも直観でわかるというタイプなら、どうやったら自分の得意な形に持って行けるか、どういう戦型の経験を増やしていくべきかを考えておくべきでしょう。
まあ私の知らない世界なので、憶測で言っているわけですが、アマチュアでもさらに上を目指すなら考えていかないといけないのだと思うのです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする