名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(13)

2015-12-24 | 大山将棋研究
昭和52年6月、森雞二先生と第30期棋聖戦第1局です。

森先生の中飛車で、大山先生は持久戦。後手は穴熊になるかと思えたのですが。

結局両者美濃囲い。それなら端の位が大きそうです。中飛車なので後手は左金の移動に1手余計にかかります。やや先手の作戦勝ち。

懐かしい形になりました。私が大学生のころは、88玉の形の左美濃をよく指していました。弱いので他の形がいいと思わなかっただけですが。その後で天守閣美濃(87玉の形)が流行したのですが、違和感を感じてしまい、そちらはあまり指したことがありません。
昔話はともかく、33角の利きで玉を狙われないでここまで組めたので先手が十分です。

48飛に35歩で中盤戦です。先に26角では46の利きが足りないので48飛は当然、後手は26角を許すと攻められるので35歩も自然です。

後手は2筋から角を狙います。これに27歩と受けるのも自然です。後手が35歩としていない形では先手十分という定跡はありました。

味をつけておいて飛車きりです。大きく動きました。

角銀交換から桂頭ですか。65桂では足りないのでしょう。居飛車から見るとどちらも怖いのですが。

87玉で対応して逃げ出します。良く考えればこれしかないですね。角筋を避けたのです。

やっと反撃らしい手が入ります。でも同角でもすぐに飛車を切るわけにはいかないので、近づけて受けようということです。もちろん今取れば41飛なので攻めを制限させています。

桂馬を取られることにはなりましたが、攻めの手が入ります。今は受けに利かないので指しにくい手です。いつか44角と使われて、55歩と替るのでその時に受けにも利くという考えなのでしょう。普通は銀を埋める(67か)とか金を上がるとか飛車を打ち込むとかです。ぱっとわからないですが、この角は好手なのでしょう。

角の利きが通って少し安心しましたが、この歩を打たれたらまだ大変に思えます。

68玉のかわしに後手の角は35に出たのですが、これはどうだったか。飛車先を止めさせたのはいいのですが、角の利きも止まります。74桂から55角ではなかったのでしょうか。金を逃げるくらいしかないのでは切れ模様。

とはいえこの桂馬には受けを悩みます。

合わせるのですか。これは見えませんでした。

銀取りに攻める手を考えてしまいそうな局面でしたが慌てないで歩を打つ。

感触の良い受けの桂馬が打てました。これでリードが広がった感じです。

でも角を取られたので受けきりにはできず、じっくりとした攻めの手を選びます。

時間がないと間違えてしまいそうです。これもじっくりとした攻め。確実です。

最後に端の位が生きました。質駒銀を持っても詰まないです。

私なら角筋があるのをうっかりしそうですが、これで終わり。


作戦勝ちから後手に強襲を食らいましたが、しっかりかわしました。細かく調べれば後手も難しくなる順はあると思います。でも実際は逆転までは届いていないわけで、大山先生は強いのだと確認できる将棋でした。これは何度か並べる価値があります。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.22 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:森雞二八段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 5四歩(53)
5 5六歩(57)
6 4四歩(43)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 5八金(49)
10 5二飛(82)
11 6八玉(59)
12 6二玉(51)
13 7八玉(68)
14 4三銀(42)
15 9六歩(97)
16 7二玉(62)
17 9五歩(96)
18 8二玉(72)
19 5七銀(48)
20 4二金(41)
21 7七角(88)
22 6四歩(63)
23 6六歩(67)
24 7四歩(73)
25 6七金(58)
26 5三金(42)
27 3六歩(37)
28 7二銀(71)
29 2五歩(26)
30 3三角(22)
31 8八玉(78)
32 6三金(53)
33 7八銀(79)
34 7三桂(81)
35 5九角(77)
36 4五歩(44)
37 3七角(59)
38 4四銀(43)
39 7七桂(89)
40 4二飛(52)
41 1六歩(17)
42 1四歩(13)
43 8六歩(87)
44 8四歩(83)
45 4八飛(28)
46 3五歩(34)
47 2六角(37)
48 2四歩(23)
49 同 歩(25)
50 2二飛(42)
51 4六歩(47)
52 2四飛(22)
53 2七歩打
54 6五歩(64)
55 同 歩(66)
56 5三銀(44)
57 4五歩(46)
58 2六飛(24)
59 同 歩(27)
60 3九角打
61 4九飛(48)
62 5七角成(39)
63 同 金(67)
64 7五歩(74)
65 8七玉(88)
66 7六歩(75)
67 同 玉(87)
68 7五歩打
69 6七玉(76)
70 7六銀打
71 6八玉(67)
72 6七歩打
73 同 金(57)
74 3六歩(35)
75 4四歩(45)
76 6七銀成(76)
77 同 銀(78)
78 6六歩打
79 同 銀(67)
80 7六歩(75)
81 3四角打
82 4四角(33)
83 5五歩(56)
84 7七歩成(76)
85 同 玉(68)
86 7五歩打
87 6八玉(77)
88 3五角(44)
89 4六歩打
90 5一金(61)
91 3一飛打
92 4二銀(53)
93 2一飛成(31)
94 7四桂打
95 7五銀(66)
96 6五桂(73)
97 6四歩打
98 7三金(63)
99 5七桂打
100 同 桂成(65)
101 同 玉(68)
102 8三桂打
103 7六歩打
104 7五桂(83)
105 同 歩(76)
106 6四金(73)
107 7四歩(75)
108 5五金(64)
109 5八桂打
110 4五銀打
111 同 角(34)
112 同 金(55)
113 6四銀打
114 3八角打
115 6三銀打
116 5六角成(38)
117 6八玉(57)
118 4六金(45)
119 7五桂打
120 4七金(46)
121 7七玉(68)
122 7六歩打
123 8七玉(77)
124 6二歩打
125 5一龍(21)
126 同 銀(42)
127 7三銀成(64)
128 投了
まで127手で先手の勝ち


コメント
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