名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(3)

2015-12-14 | 大山将棋研究
昭和48年7月、有吉棋聖と早指し選手権決勝です。

有吉先生といえば玉頭位取りです。しかしここは後手番ですから、94歩として84飛を用意しなければいけませんでした。早指しなので勢いよくやってしまったのでしょう。

飛車先交換で軽く構えて先手十分です。

後手はけん制で銀を繰り出すのですが、65歩に53銀では手損。42角ならどうかという気がします。

これで飛車交換で先手の技あり。

82飛は71金、83飛は71金82歩72金ですから、飛車の打ち場所は慎重に。71金には72歩があるので桂馬が取れます。

さすがに有吉先生、馬を引き付けて固めます。すぐには負けません。タイトルホルダーのころですし、粘りがあります。

長期戦なので、じっくり駒得をはかって体力を奪います。

後手玉に手を付けた後で、じっと歩を合わせます。64歩から と金作りを急いでしまいそうですが、拠点を消して攻防の手です。

後手は歩を受けに使って粘りますが、遊んでいた角が世に出てはっきりしてきました。

形よく銀が進出して、少しずつよくしていくのが大山流。

寄せてみろと催促されて、でも44歩がありました。

粘られても駒得なのでゆっくり攻めます。

さらには自陣飛車。形は悪いですが攻防の手です。

しっかり受けてやっと終わりか。

手堅いです。これで本当に終わりです。


有吉先生は玉を固めてから激しく攻めるので火の玉流と呼ばれました。対振り飛車では玉頭位取りを得意とされていました。本局では悪くなった時の粘りが流石です。

大山先生が軽くさばくのは珍しい気がしますが、なんとなくの印象です。棋譜並べを続けていけばわかるでしょう。大山先生は感覚がよいので軽くさばいて飛車交換で十分とすぐにわかるのでしょう。
こういう将棋で逆転を許さずに勝ってしまうのも強いですね。



#KIF version=2.0 encoding=UTF-8
# ---- Kifu for Windows V7 V7.22 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山九段
後手:有吉棋聖
先手省略名:大山
後手省略名:有吉
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 8五歩(84)
7 7七角(88)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5四歩(53)
15 2八玉(38)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 4二銀(31)
19 3八銀(39)
20 4四歩(43)
21 5六歩(57)
22 4三銀(42)
23 5七銀(68)
24 3五歩(34)
25 7五歩(76)
26 3四銀(43)
27 4六歩(47)
28 5三銀(62)
29 5九角(77)
30 3三角(22)
31 5八金(69)
32 2二玉(32)
33 7四歩(75)
34 同 歩(73)
35 同 飛(78)
36 7三歩打
37 7六飛(74)
38 3二金(41)
39 7七桂(89)
40 6四銀(53)
*苦心の手損だが42角がよいか。
41 6五歩(66)
42 5三銀(64)
43 7五飛(76)
*これで先手十分
44 8六歩(85)
45 8五飛(75)
46 同 飛(82)
47 同 桂(77)
48 8七歩成(86)
49 8四飛打
50 4五歩(44)
51 8一飛成(84)
52 5二金(61)
53 7三桂成(85)
54 9九角成(33)
55 9一龍(81)
56 3三馬(99)
57 8二龍(91)
58 4三金(52)
59 6三成桂(73)
60 4二銀(53)
61 4五歩(46)
62 同 銀(34)
63 5二成桂(63)
64 5五歩(54)
65 4八香打
66 4四歩打
67 4五香(48)
68 同 歩(44)
69 4一銀打
70 3一金(32)
71 4四歩打
72 同 馬(33)
73 4六歩打
*平凡だけど気が付きにくい手。64歩とやりそう。
74 8一歩打
75 9二龍(82)
76 6二歩打
77 9五角(59)
78 3二香打
79 6二角成(95)
80 3四馬(44)
81 4五歩(46)
82 5六歩(55)
83 4六銀(57)
84 8二飛打
85 同 龍(92)
86 同 歩(81)
87 7二飛打
88 5七歩成(56)
89 同 金(58)
90 5一歩打
91 4四歩(45)
92 5二歩(51)
93 4三歩成(44)
94 同 馬(34)
95 5二銀(41)
96 5四馬(43)
97 7四飛成(72)
98 2四飛打
99 4四歩打
100 6四歩打
101 4三桂打
102 2五香打
103 4五金打
104 6五馬(54)
105 同 龍(74)
106 同 歩(64)
107 3一桂成(43)
108 同 銀(42)
109 4三歩成(44)
110 4八歩打
111 同 金(49)
112 5九飛打
113 4九歩打
*これで完勝。
114 5六桂打
115 5三馬(62)
116 4八桂成(56)
117 3一馬(53)
118 同 玉(22)
119 4二銀打
120 投了
まで119手で先手の勝ち
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20151214今日の一手<その234>; 勝ち将棋鬼の如し

2015-12-14 | 今日の一手
20151214今日の一手

先月28日の名南将棋大会からHさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。






昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の桂得です。終盤なのであまり重視しません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は72竜86馬持ち駒銀銀桂で5枚。十分です。
後手の攻め駒は47馬1枚。先手玉には迫っていないので0枚と思ってよいです。
総合すれば先手が優勢です。

大局観として
先手玉のほうが薄いといっても、馬もついていますから守りを固めなくてもいいでしょう。駒をかなり渡して反撃をもらったり、入玉されたりしなければ勝てます。


× 実戦は55金でした。もしかすると55歩だったかもしれません。

55同銀同歩65馬に67桂。(55歩65銀同金同馬67桂でも同じなのでどちらかわかりません。)

金銀交換で守りが薄くなってしまったので失敗です。
55金に43銀なら45桂で優勢。あるいは55歩43銀でも45桂は気持ちいいです。しかし55金は守りが薄くなるので感覚の悪い手。55歩ならば65銀を見逃した小さなポカと言えます。
とはいえ67桂は案外しっかりした手で、よい我慢です。この後は76歩に同馬で交換して(これがどうだったか)手順省略でこの局面。

35歩と突いて攻めるのではなく自陣に手を入れたいところです。ところがどう手を入れたらいいかわかりにくいので(77銀か77歩)攻めるのも短い時間では仕方ない選択という気はします。
64桂(これが嫌)74竜77歩

取ればまだよかったのですが、68金と逃げたので46馬と使われて、気が付けば後手の攻め駒が4枚。逆転してしまいました。


○ 24歩と突く手。矢倉を指す方なら第一感でしょう。

後手が14歩を突いていないので、23歩から15桂の筋で寄せを考えます。
24同銀には44桂

守りの金を取れるので後の寄せは易しくなりますね。

24同歩には23歩同玉15桂。途中23同金は43歩から55桂の筋です。

14玉に26銀と25の地点を二重に守って36馬に53馬といけば完璧です。

53同金に32竜で終わりです。

24歩には37馬として入玉を見せるしかありませんが、23歩成同玉24歩

24同玉15銀25玉77竜

入玉だけは気を付けて、竜を引けば盤石です。


○ 43歩も手筋です。竜の働きが強くなります。

43同銀は45桂と使えて、44銀左に24歩

これは銀が玉頭にないので前より易しい寄せです。

43同金直に24歩で

24同銀なら44歩同金53馬、24同歩や37馬も前の手順と同じように寄せればよいです。


○35歩もあって、33銀の位置を変えようという手。

37馬34歩に44銀は24歩ですから

34同銀に44桂

43銀右32桂成同飛(32同金は53馬がある)

ここで35歩同銀と工作しておいて51銀

41金に重く42金と打って、51金32金同銀53馬

ちょっとややこしく見えるかもしれませんが、寄っています。


○ 55銀と打つのは重く見えます。

でも43銀には45桂ですから、55同銀同歩37馬くらい。

43歩同金直54歩

54同歩に31馬を見た速い寄せです。42銀打には52銀から41銀打とかで寄りです。


○77竜は手堅い手。友達をなくす手とも言いますね。

後手に持ち駒がなく、桂馬を取ることができません。36馬55歩43銀に56銀と打ちます。

ゆっくり攻めて、馬を消せればよしです。45銀は許せないので44銀左に48桂26馬47竜

ゆっくり攻めます。方針を決めたらほかのことはやりません。45から攻めるのも焦らないで、68馬までは指してからうまくやって馬を取れないか、馬取りで駒得できないかというふうに指します。

☆ まとめ
問題図では先手優勢ですからいろいろな手が好手になります。
特に24歩が厳しく、53馬と突っ込む手順などは勝ち将棋鬼の如しという言葉がぴったりです。うまい手順が隠されているものです。こういうところに将棋というゲームの奥深さを感じます。

もしも後手が14歩の形あるいは先手が15歩の形では24歩は決め手にならず、端を攻めるか24桂と捨てるかということになるのですが、入玉を気にしなくてはなりません。そういう時には55銀と打つ重い手にするか(重い手が悪い手という意味ではありません。遅くても確実な手です。)77竜と引くか。場合によっては74歩や64歩同歩63歩で と金を作るのが確実ということがあるかもしれません。問題図では桂香を拾われてややこしくなりますが。

読みが苦手な方なら77竜の感触を覚えておくとよいです。後手玉は堅いので、条件がよくないと(問題図では条件が整っていました。)簡単には寄りません。








コメント (2)
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