さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

井上岳志苦闘のドロー 試合後は後輩の死を悼む

2024-03-19 00:01:37 | 関東ボクシング



昨日は奇数月のLeminoフェニックスバトル、ワールドスポーツジムとの共催という形で行われ、配信を見ておりました。


メインイベントは井上岳志vsウエイド・ライアンのスーパーウェルター級、アジア太平洋圏内では上位同士の対戦。
井上がOPBF(東洋太平洋)とWBOアジアパシフィック、ライアンがWBOオリエンタルとIBFアジアと、地域タイトル二冠王同士の対戦だったわけですが、結果は1-0のマジョリティドローで井上の防衛でした。

低い姿勢で入ってくる井上に対し、左アッパー迎え撃ち、というのは誰でも考えることでしょうが、長身痩身のサウスポー、ライアンはさらに左ロングフック、そして小さい左ショートも備えていて、正面ルートから入ってくる井上を苦しめました。
中盤以降、井上が左側に身体を逃がして右で入り、左のボディブローも出始めて、良い感じになったと思ったんですが、8回終了後の途中採点が2-0井上リードと出たあと、ライアンが巻き返しに出て、一進一退。
私は若干ライアンか、ドローか、逆もあるのか...結局ようわからん、というのが見終えた時の印象でした。


試合後、リング上でのインタビューはなかったようですが、取材対応時には、亡くなったことが報じられたジムの後輩、坂間叶夢について語った、という記事が出ていました。
心理的に影響あって苦戦した、などとは、井上岳志は口が裂けても言わないでしょうが、辛い気持ちがなかったはずはないでしょう。
坂間の死については、詳細がわかりませんが、若き逸材として将来を嘱望され、言えばこれから盛りを迎える時期に、どうしてこんなことに...ただただ、残念です。




セミファイナルは天才肌兄弟の富岡浩介と、キャリア3戦目のホープ野上翔の一戦。
野上が立ち上がりから、冨岡の嫌がる試合展開を作ることに腐心し、先手からしつこく攻めていく。
時に冨岡の鋭いカウンターが飛ぶが、野上はペース支配を譲らず奮戦。
6回、冨岡の左アッパーカウンター、まさに天才の一打が決まって野上が倒れるが、7回には野上が左でぐらつかせ、実質ダウン奪取ながら、裁定はスリップ。
この回、計4度スリップダウンがあったが、最初のをダウンと裁定していない以上、どうにもならない。
最終回、冨岡が取ったこともあって、判定は読めませんでしたが、2-1、僅差で野上が支持されました。

上の記事にもあるように、野上のコメントは、勝利はしたものの、冨岡という異形の天才と対した苦しみを率直に語ったものでした。
苦しいながらも勝った、という結果にすがって全てを塗りつぶすのでなく、こうして試合の内容に率直な思いで向き合えるところは、このボクサーの将来にとって良いことではないか、と思った次第です。



あと、気になったのはアンダーの、全日本新人王、磯金龍とタイ人の試合。
初回KOでしたが、タイ人の方は見るからに貧相な身体付き。
単に「強くない」のみならず、これ、ホンマにボクサーと呼べる内実がある選手なのか、と思っていたら、磯金の左一発で後頭部からひっくり返って、即座にKO宣告。

その倒れ様は、言えばプロが素人を殴ったらこうなるのか、という「絵」。
実況のアナウンサーが、ダウンの瞬間に「危ない!」と叫んでました。
ボクシングの試合の実況で、アナウンサーにそんなこと言わせてちゃいかんでしょ、という。

どうせ選手を招聘禁止リストに載せて、それでおしまいなんでしょうけど、こういう場合、試合組んだプロモーターとマッチメイカーも何か処分しないと、と思います。
選手だけが悪いんか、という話ですからね。いやホンマに。


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3 コメント

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Unknown (R45ファン)
2024-03-19 06:51:13
そう言えばアナウンサーさん、そういってましたね。
腹が弛んでようがボクサーとしての受け身の仕方など最低限身につけていたらいいものを、昨日倒された人は、言わば時代劇でいう斬られ役にもなれなかった、本当に事故起こりますよ。
さて井上選手、昨日はあの割と多彩な左に苦しみましたね。
踏み込んで打つはずの右が一向に合わない、単に押すだけのような形だったり、あるいはそれにすらならなかったり、ただ世界戦実質二試合やったキャリアの持ち主ならばこれは建て直して欲しかったところ。
とはいえ坂間くんの件でそれどころじゃない心境だったのかもしれませんね。
本当に、何も生命絶つ必要なんかどこにもなかった。ただただ悲しいです
Unknown (海の猫)
2024-03-19 15:36:33
セミから見ました。若く才能ある者同士の熱戦に、救われたような気持ちになりました。

ポイントとしては僅差でしたが、終始思うように動かせてもらえなかったのは富岡の方、と思って見ていたので、野上の試合後のコメントは意外でした。それだけ自信があり、目指すものが高いのでしょうね。野上は3150エリートさんでしたかね。以前の試合が思い出せないまま見たのですが、良い選手で驚きました。現在の契約がどうなっているのか分かりませんが、次からも Lemino で見られたら嬉しいです。そして富岡も、まだ若いですし、天才肌ゆえの不足がいつか何らかの形で埋まるものかどうか、こちらも見続けたい選手です。

メインは、両者ともに決め手に欠け、盛り上がったとは言い難い試合でしたが、井上に関しては、崩れず試合をやり遂げただけでも称賛すべきなのでしょう。

坂間に関しては、詳細も分かりませんし、本当にどうして、と。ただただ切ないですね。ご冥福をお祈りいたします。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2024-03-19 16:52:17
>R45ファンさん

素人というか初心者というか、本当にちゃんとした試合とは言えない組み合わせに見えましたね。昔、大阪であったマイナー団体の興行では、元日本ランカーと、「柔道経験のあるボクシング初心者」が闘って「交通事故みたいな」倒れ方をした試合があったと話に聞いたことがありますが、何しろ無茶したらいかん、と。笑い話じゃ済まないですから。
井上岳志は正面ルートで右から入るので、どうしても効率は悪いですね。中盤以降ちょっと変えたかと思ったら、終盤巻き返されました。精神面では、確かにその件の影響、あったのでしょうが。


>海の猫さん

野上は富岡相手に、好きにやらせないことを優先して闘え、と陣営に指示され、納得ずくでその通りに闘っていたように見えましたが、それでも実際にやってみて、思う以上に相手のセンスを感じたんでしょうね。見た感じでも、ヒットの数は少なかったですし。富岡のカウンターも同様でしたが、野上にとっては読み切れない狙われ方が多々感じ取れたのかもしれません。勝ちはしたものの辛い経験だったのでしょう。
井上岳志は厳しい試合でしたね。判定負けでも不思議のない内容だったと思います。
坂間に関しては同感です。何が彼をそこまで追い詰めてしまったのか。残念です。

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