さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

敵地イタリアで大逆転TKO 力石政法、マグネッシ倒して世界上位進出へ

2024-03-23 12:38:49 | 海外ボクシング




早朝からABEMAのライブ配信、楽しく見ておりましたが、予想し得なかった、劇的な試合を見ることになりました。


序盤、力石政法は好調そうだが、小柄で分厚いマイケル・マグネッシは、ぐいぐい出て右から叩いてくる。左サイドを伺うステップも。
力石はシャープなパンチを繰り出すが、序盤のうちはそうそう止められそうにもない。
とはいえ2回は、力石の右フック、打ち合いになるが、やや力石が良かったように。
マグネッシは左のガードが少し前にあるので、耳の辺りを右フックでもっと打ちたいところ。

だが3回、マグネッシの前進と右ヒット、攻勢が目に付く。力石のヒットは左ボディなどだが、いずれも単発に終わる。
4回、マグネッシのヒットで力石、一瞬足元が乱れる。力石の足が徐々に止まり加減になっていく。途中採点は3-0でマグネッシ。

5回、マグネッシが少し休み?力石、ちょっと間合いが取れる。力石か。
しかし6回からまたマグネッシが圧してくる。力石鼻血が見える。懸命にジャブ当てて、左アッパーも良いが、ポイントになるかは微妙。


力石はマグネッシを食い止められず、マグネッシは力石を思うほど打ち込めない。
ポイントはマグネッシのリードに見えるが、力石も相手に楽をさせているわけではない。
要は、互いに普段の試合なら勝ちパターンに乗れそうなところ、相手が強いのでそれがかなわない、という状況。
つまり、世に言う「真価が問われる」試合になっていく。


7回、マグネッシ少し疲れか、上体の動きが目に見えて減る。力石の好打が増えた印象。
8回、陣営がその疲れを見ての作為でしょう、都合良くマグネッシのグローブ、テープが剥がれ、マグネッシ自身がレフェリーにアピール。
レフェリー、一度は無視したがやはり巻き直しを命じる。
9回、ひと息いれたマグネッシが終盤、右ヒット。力石の身体が浮く。


マグネッシも姑息な手を使ってまで休みたいほど、厳しい展開ではあるが、終盤に来てこの好打は、マグネッシの勢いをさらに増すことになるだろう、力石これは厳しくなった...と思った終盤でしたが、とんでもないドラマが待っていました。


10回、マグネッシはサウスポーにスイッチし、時に戻しという具合でやっているが、サウスポーだとあまり良くない感じ。
しかしこの回、サウスポーの時間が長め。力石右ジャブ、右アッパー覗かせ、そして終盤、左から右フック返し、左ボディアッパー、また右と立て続けにヒット。
マグネッシも前に出るが、力石の左右がヒットし、ゴング。
11回、力石のワンツーが正面から入る。左アッパー追加、マグネッシぐらつく。さらに左ボディ、右フック。


力石、猛攻というではないが、一発ずつしっかり当てて行く。傍目には遮二無二打っていけと思ってしまうが、それやると相手に揉み合う余地を与えてしまうという面もあり。
もっと効かせて、決定的な場面になるまでは、疲れた身体をリズムで動かして、しっかり打ち込む、という選択をしている。
ただ、その選択が「間に合う」ものかどうかは、何とも言いようがない。ハラハラしながら見守るのみ。


力石、小さいフック気味の右リード。マグネッシふらつく。力石ワンツーで目を寄せて、外から右フック打つ。マグネッシ、全然見えていない。

12回早々、力石右フック返しでマグネッシ、ダウン。「決壊」した、という感じ。
再開するが、力石の左右左と連打が入って、二度目のダウン。
またもマグネッシ立つ。力石の左ショート、右フック、続けて当たり、ここで力石が「ラッシュ」する。
打ちまくられたマグネッシ、クリンチするがブレイクの後、自ら後方へ崩れる。

これはさすがにストップだろうと思ったが、何とレフェリー、再開させる。目を疑う光景。
力石がロープに詰めて左右のラッシュ、マグネッシの腰がロープに落ちても、まだレフェリー見たが、さすがにその直後にストップ。
通常とは違う意味で「これ以上は無理」と「諦めた」のでしょう。



ということで力石政法、もう映画でも漫画でもないような、劇的な逆転TKOでの勝利でした。
敵地イタリアで、最後に発動した、非人道的な地元贔屓レフェリングをも撥ね返しての勝利。
日本人ボクサーが内弁慶だなんだと、散々言われ、また実際敵地で強いかどうか以前に、滅多に遠征試合をしないという時代を長く見てきた目には、本当に眩しく映るボクサーがまたひとり、現れてくれました。

もちろん、リングに上がるまでの段階でいえば、フェアな環境にあったようですから、それが苦しい試合展開をひっくり返すだけの力を発揮出来た要因でもあったのでしょう。
打たれたダメージ、負傷に疲労を抱え、リードもされていたが、その反面、相手にもダメージを与え疲れさせていた。
その積み重ねの末、劇的な逆転があったということでしょう。


日本国内でやっていれば、また違う展開になったかもしれませんが、敵地での試合で勝ったことで、同じ勝利でもその価値はさらに増したと言えるでしょう。
WBCランクは上位陣が「詰まって」いる感じですが、1位は無理でも、上位に上げて欲しいなあ、と思うところです。
或いはIBFでの上位進出を狙うか。正直、どの団体でも、現実的に何かが見えてくるのかは、何とも言えませんが。
(ちなみにIBFだと、力石8位、マグネッシは10位でした)。



あと、改めて最終回のレフェリングは酷かった。

途中までは、力石の方ばっか注意、とか、テープ剥がれ休憩とか、まあこのくらいはしゃあないか、と収めて見ていられましたが、最終回はさすがに。
マグネッシが自ら後方へ崩れたときにストップしないとか、追撃で腰が落ちてもまだ見ていたりとか...本当に、事故になったらどうするのやと。
またイタリア陣営も棄権しないといかんだろう、と思います。

このあたり、本当に「いざ」となったらまだこんな感じなのか、と...この辺はまあ、日本だイタリアだというのでは無く、全世界共通の問題でしょうが。
何かにつけて「進歩的」な運営が売りのWBCも、管轄下の試合でこのような試合があったことを問題視して、具体的に対応しないと、と思いますね。


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3 コメント

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Unknown (R45ファン)
2024-03-23 14:13:55
力石くんのヒットに怯まず、相手が押してくる展開。もっと単調なフッカーではなく細かいパンチや頭の動きからしてこりゃ厄介だなと。
そしてどう見ても狭すぎるリングにあのバンテージ、さらに頭当てられたのに何故か力石くんが注意されるザ・アウェイな展開。

よく勝ちましたよね。相手の頭の動きが止まりながらもなかなか効かせられない、最後私も時間切れ逃げ切りされるかと思いましたが素晴らしい逆転劇。
力石くん、序盤に詰められたせいか少し単発かなとか、振り切る分打ち終わり危ないとか、色々ありましたがあの7ラウンドの右フックは意表を突いたパンチでしたね。

ただ身体の厚みが見るからに違い、またかねてより減量の心配とかあり、これが前進止められなかった理由かな…と推察してしまいます。相手が逃げ切りに徹しなかった分倒せましたが、あれがオシャキーフォスターならと思うとね。
身体のメンテナンス、階級、無理せずにやってほしいところです
Unknown (海の猫)
2024-03-23 17:01:21
朝からいいもの見られました!どアウェイでいろいろある中でやりましたね。9Rまでは、このまま最後までいってしまうかと思ってましたし、終盤も逃げ切られるかと。力石の疲労とダメージも相当だったと思うのですが、よく倒し切りました。

マグネッシは思った以上に良い選手でした。ハンドスピードもあり、タイミング、位置取りが良く、意外にパンチも多彩で一辺倒ではない。ただ、このスタイルとサイズを考えると、パワー、パンチ力がもう少し欲しい。力石を下がらせてはいましたが、圧そのものはそこまでではない?でしょうか。実況、解説はタフ、タフ、と言ってましたが、むしろ力石がタフだなと。最後は決定力の差が出ました。

しかし、ホームの選手のダウンをスリップにしたり、止めるの遅かったり。その選手を助けるよりもダメージを深くしてるだけという方が多いような。今回は本当にひどかったですね。試合後にマグネッシは病院に運ばれたそうで。

そしてこの試合、「世界前哨戦」となっており、挑戦権うんぬんはどうなったのかと。ただ、今回の勝利で、いろいろな意味で「ちょうどよい」挑戦者として王者陣営に選ばれる可能性もあるのかなと。自力で世界戦を組むのは難しそうですが、何とか近いうちにチャンスに恵まれて欲しいです。
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2024-03-24 08:01:41
>R45ファンさん

リングけっこう狭かったですね。あの条件で、ファイターとして強く、巧さもある相手、大変でした。
効かせてどうこうというのは、もっと相手を疲弊させ、その上ヒットも数がないと難しいだろうとみていました。終盤にああいう逆転があったわけですが、正直諦めかけていたところでした。力石のパンチはそれだけ、圧され気味で打っていても威力があり、徐々にマグネッシを痛めつけてもいたのですね。
ただ、仰る通り身体の力自体では劣勢だったかもですね。世界王者相手となると、また違う苦しみがありそうです。
単に相手どう、世界への展望どうというのを抜きに、力石のコンディションだけを言うなら、ライト級でやった方が良いのは良いでしょうね。しかし...難しいところです。


>海の猫さん

終盤は見ていて震えが来ましたね。こんなことがあるのかと。力石政法は普通のレベルには無い何かを持っている選手だということがよくわかりました。
マグネッシは優勢でしたが、同時に力石のパンチに脅かされてもいた、拮抗した闘いだったということでしょうね。持っている力を思う様に出せていたら、力石のみならず誰相手でも、もっと圧せることでしょう。東洋と欧州の、このクラス上位同士の闘い故に、互いの強みが削がれ、弱みが炙り出されもした、ということかもしれません。
レフェリングに関しては、地元選手の勝機をぎりぎりまで探るものでしたね。結果、選手が余計にダメージを負うと。日本でもよくあるやつですが、本当に勘弁して欲しいですね。
前哨戦という言葉は便利なもので、世界戦間近だから弱い相手と調整試合、という意味で使われることもありますね。今回の試合は、強い相手と闘って勝って世界へアピール、という意味合いで通るものでしたが、実際何かが確約されたわけでもないですね。今回の試合がトップランク契約のWBC王者フォスターを動かす事になる公算は低いと見ます。有り体に言えば、緑ジムないし新スポンサー主導で、帝拳の興行に出してもらえるようにしないと無理、なのかもしれません。可能性としてはWBO王座が空位になれば、というところくらいしか、思いつかないですね。しかし軽量級なら日本中心に回す、という形での営業もしてくれましょうが、130ポンド級となるとなかなか...どうなりますかね。仰るような形で王者に選ばれてお出かけ挑戦、ということなら、可能性はある、のでしょうか。うーん。

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