さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

時を失うことだけが怖い 井上尚弥、2位に完勝、ではなく「楽勝」

2017-05-22 21:07:01 | 井上尚弥




ということで2日連続で、有明コロシアムで観戦し、帰ってまいりました。
試合以外にも言いたいことは一杯あるのですが、とりあえずは順番に、ということで(^^)


そういうことで2日目のメインは、井上尚弥がリカルド・ロドリゲスに3回KO勝ち。
余裕で見切って、スイッチもして、右で効かせて、左で倒す。
拳の負傷に対する怖さがあるのか、以前よりも丁寧に、慎重に打っている風ですが、
それでも序盤で倒してしまう。相変わらず、桁外れの強さでした。

相手が「世界2位」とはいえ、それに相応の内実がある選手かというと、
そうではなさそうだということは、事前に動画などで見て、想像してはいました。
井上がスーパーフライに上げてから当たった選手の中では、ペッチバンボーンと並び、
おそらく最弱のレベルだろうと。

とはいえ、勝ち負け以前の問題で、これほど大きな差を、誰の目にも明らかな形で見せ、
その上で勝つ井上は、試合自体から緊張感を奪い、闘う意義すら疑わせてしまっていました。
スイッチし、好打し、相手の反撃を外す一連の動作からは、はっきりと余裕が見えました。


デビュー戦から着実に成長し、手を付けられないほどの強さを見せてきた井上は、
拳の負傷や減量苦などにより、一時停滞も見えましたが、それを乗り越え、或いはやり過ごし、
またしてもその圧倒的な強さを発揮しています。

強い相手、一定以上の力量がある選手にクリアに勝つことを「完勝」といい、
弱い相手に勝つことを「楽勝」とするなら、井上尚弥がロドリゲスから納めたものは、
本来「完勝」とするべきものです。

しかし、ロドリゲスは井上の前では、本来持っているはずの、何らかの形での力、強さを
まったく表現出来ぬまま敗れ、まるで井上が「楽勝」したかのように見えてしまいました。


現状、スーパーフライ級の誰と闘うにせよ、有利の予想が立つ状態、と言って良いでしょう。
彼を打ち破るものは、強敵の力量ではなく、時の流れ以外には無いのでは、という気がします。

そして、何よりも強く思うのは、その強さが、輝きが失われぬうちに、さらなる高みにて、
余裕など見せる余地のない、緊迫の闘いに臨んでもらいたい、ということです。

2回途中、けっして油断ではなく、緩みが見えるでもない、しかし余裕綽々に見える、
見えてしまう井上尚弥の姿を、見つめる、というより、眺めながら、そんなことを思っていました。
普通、試合の途中で、こんなことを思ったりはしないものですが...。


とりあえずは、9月予定というアメリカでの試合が、本当に実現することを祈ります。
世界ミドル級タイトルマッチのアンダーに入るか、WBCタイトルと同一興行に出られるか、
そういう形なら最高ですが、はてさて。


===========================================


八重樫東はミラン・メリンドに初回、衝撃のノックアウト負けを喫しました。

初回、まずはお互い探り合いかな、八重樫は少しずつ、大きく動いていくだろうけど、
その前に色々見たいものがあるのだろう...という感じで見ていました。
そのうち、少しボディを打たれたか?と思ったあと、左喰って、えらくあっさり倒れてしまいました。
正直言って、会場で見ていると、あまりに唐突で、何が起こったのか理解出来ませんでした。

あとでスローを見ると、メリンドの左フックの「芯」、おそらく拳の中指あたりが
八重樫のこめかみに、まともに入っているように見えました。
そこに右がフォローされていて、これは効いたはずだ、と納得しました。
追撃に関しては、メリンドの力量からすれば、単なるお料理の時間、というところだったのでしょう。


それにしても、メリンドが強いことはわかっていたにせよ、彼の力が出る間合いで、
いとも簡単に打たれてしまった八重樫には、何か深刻な不調でもあったのかな、と思いもします。
これが勝負というものだ、という納得をすべきなのかもしれませんが、
あんなに安易に打たれてしまうような、甘いキャリアの選手じゃないはずだろう、とも...。


それにしてもミラン・メリンド、見事な勝利でした。これは称えざるを得ません。
世界上位に長いし、強豪相手に伍して闘う力量の持ち主と知ってはいましたが、
三度目の挑戦で、ついに悲願成りました。

田中恒成が希望する統一戦の相手は、誰よりもこのメリンドであるべきではないか、とも思います。
また来日してほしいものですね。


===========================================


この日の前座は、平岡アンディが10勝2敗の山口祥吾を6回TKOに下した試合と、
予備カード4回戦二試合が判定だったのを除くと、早いKOが続出しました。

細野悟は野口将志を初回で一蹴。
野口のガードの開き方を一目見て、これで細野に対したら保たない、保つはずがない、と
思いましたが、早々にその通りになりました。
細野はスーパフェザーに上げるのか、フェザーに戻すのか不明ですが、
フェザーに落とすなら、坂晃典との新旧強打対決は是非、見たいものですね。


清水聡は山本拓哉に初回TKO勝ち。
左で倒し、追撃の連打。確かにクリーンヒットが続いていたが、マーチンさんが早々のストップ。
妥当だと見るべきでしょうが、手を止めていたわけでもない山本にすれば、不満ではありましょう。

この前日、韓国人ボクサーが立て続けに倒れても続行を許したマーチン主審、
この日は全く違う基準でレフェリングをしているように見えました。
選手が違えば基準も変わるのか、いったい何なんだ、と思わざるを得ません。

試合後さる筋から聞いた話だと、前日のレフェリングについて、コミッションから叱られたんだそうですが。
何だか、子供みたいな話です。頼んまっせ、という感じですね。


===========================================


そういうことで、早いKOばかりが続いたのだから、仕方が無い...
という部分もあるにせよ、怖れていた休憩地獄の凄まじさは、過去の観戦経験でも、
なかなか無い、有数のものでした。

一度、名古屋で石原英康の世界戦の時、メインまで1時間以上休憩という
壮絶な経験をしたことがありますが、今回は20分、40分、40分、という具合。
とはいえ、セミとメインの間は、実質1時間くらい空いていたので、
総合的に言えば、それ以上か。

まあ、皆さん売店に行ったり、トイレに行ったり、スマホで時間つぶしとか、しておられました。
私は、タブレットに入れておいたボクシングの動画などを見ておりました。
カルロス・モンソンとベニー・ブリスコの試合は、画質は悪いがなかなかの熱戦でありました。


と、それはさておき。
TV局は生中継を原則とし、メインの試合を早々に終えてしまうと視聴率が落ちる、
それを嫌ってのことかも知れませんが、セミ終了後、前日のVTRなどが流れていたというその間、
身銭切って暇割いて、有明まで足を運んだ数千人の観客は、何も無しでほったらかしでした。

単に、客商売としてどうなのよ、と言いたくもなろうというものです。
大橋ジム陣営にとり、二人いる世界王者の一人がKO負けした後、すぐ次の試合の用意を、
というわけにもいかないでしょうが、それにしても1時間空ける必要はないでしょう。

結局、TV局の(勝手な)都合に、観客は無条件で合わせなければならない。
そりゃ、ミドル級の世界戦(という体裁でした)でもなければ、普通の興行から
お客さんの足が遠のくのもむべなるかな、としか言えません。

まして、TV局から近いからという理由で?、不便な会場での興行ばかりです。
将来、ボクシングの世界戦は、会場ではなくTV局のスタジオで「収録」する時代が来るかもしれませんね。
ていうか、いっそ今すぐそうしてしまえばええのにな、とさえ思ったりもします。
そうすれば、こちらもかえって得心がいくというものですよ。


本当に、ボクシング業界の皆様方には、もう少し、ファンや観客のことを考えるアタマを持ってほしいです。
まあ、常日頃から、モノを考えるよりは、目先の金の匂いを追う鼻だけは効く、
という風にしか見えませんから、期待するだけ時間の無駄ではありましょうが。




コメント (13)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自分の「型」で押し切った、... | トップ | 共に「真価」はこれから問わ... »
最新の画像もっと見る

13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (R35ファン)
2017-05-22 21:38:07
こんばんは。尚弥様は一体何回私達を驚かせてくれるのでしょう。いくら相手が格落ちとはいえ、スイッチして初っ端に左ストレートをクリーンヒットして相手の腰を落とさせるなどという離れ業を世界戦でいきなりやるんですからね。しかもスイッチしても凄くフォーム綺麗でしたし。
もはや私達とは別世界のこの御方はただのTV局お抱えの限定ヒーローではなく、アメリカのみなさんも賞賛する世界中のヒーローになって欲しい、万人の願いだと思います。

八重樫さんはメリンドの左に全く対応出来てない様に見えました。出入りを意識したステップも凄い時の一足飛びの様なステップではなく、ちょっと躍動感ないなと。やはり歴戦のダメージは隠せないのかなと感じました。私は二度目のダウンの前にメリンドの左フックをまともにテンプルにもらったシーンを見て、全然見えてない、これが決定打になった様に感じました。
返信する
Unknown (海藻類)
2017-05-22 23:05:58
二日連続観戦 お疲れ様でした。
井上選手がこの階級でやることははっきり言ってもう無いと思わされました。
ザキヤノフとやる予定だそうですが山中選手とやる予定がないならもういっそのこと二階級上げてリゴンドーを目指すべきなんじゃないかと思います笑。
万一9月のアメリカデビューがGGGカネロのアンダーカードなんてことがあるならドネア戦なんていいんじゃないでしょうか笑。
そういう妄想を抱かせてくれる選手でありその妄想を実現させる力があると確信しています。
八重樫選手は今回ばかりは厳しいと思っていましたが初回KOとは予想外な結果でした。
何だかやれ4階級制覇だと飛ばした記事も見ますが一ファンとしてはもう十分戦われたと思うので正直ご家族のためにも第二の人生を始めてほしいです。
このスポーツは何かあってからでは遅いですから…。
話は変わりますがこの二日間は最近絶不調のフジテレビとしては十分な視聴率を稼げたようなのでまたこういった形でやることになるのでしょうかね。
村田選手が再戦をするなら大晦日とかじゃなければ平均20%は取れるでしょうし。
しかし2日目は2時間の枠を準備して試合時間は僅か10分とはそもそもボクシングって地上波の生中継との相性は実はかなり悪いのではと邪推してしまいます。
簡単な話ではないですが現地観戦組とテレビ局側の双方が満足いくような仕組みを作っていただきたいものです。
そういう意味ではあの人はテレビ的にやっぱり美味しいんでしょうね。
よくも悪くも3Rで相手を倒してしまうってことは早々無いですから。
返信する
Unknown (月庵)
2017-05-23 00:57:55
八重樫があんな負け方をしたので、あり得ぬと思いながらも胸騒ぎを覚えながら視聴し、そんなものは単なる取り越し苦労に過ぎぬという事を井上は軽快に示してくれました。その実力からすれば極めて順当、当然の結末なのですが、ほっとしたのが正直な所でした。

結局の所リカルド・ロドリゲスは井上にとっては対等な対戦者ですらなく、単なる新しい技術を実戦形式で確認する為の動くサンドバッグにしかなりえませんでしたね。例えば山中慎介相手に、まだ実験段階の左へのスイッチなど行うでしょうか? 田中がアコスタとやった時、前回の試合のようなロマチェンコムーブは完全になりを潜めていましたが、それが余裕などない真実自分と対等な強敵と戦うという事なのでしょう。

確かに、今スーパーフライに居る強豪は、ロマゴンにせよエストラーダにせよカシメロにせよ、大方は下から上げて来た人間であり、みな井上のパワー・スピードと真正面からぶつかり、さて押し勝てるかどうかには大きく疑問が残る所ではありましょうね。それでも井上自身が言う通り、最低でもその内一人とは戦う義務があると私も思いますが。今の井上に脅威を与え、本当に本気にさせる事の出来る人間は、バンタム級なら山中慎介、ゾラニ・テテ(いずれも長身強打のサウスポー)。スーパーバンタムならばそれこそ闘神リゴンドーという事になるのでしょうか。万が一本当に井上がリゴンドーと戦い、それを食ってしまうとなると、それは世界的『事件』として語られる事になるでしょう。流石にリゴンドー相手に勝てる、などと無責任な事は言えませんが……私の中では、ロマチェンコと僅差のPFP2位ですからね。

八重樫は……あまりにもあまりな展開に、なんだこれは? というのが率直な第一感想で……メリンドに苦戦する予想も、苦杯を喫する予想もしていましたし、負けたとしても何ら不思議のない強敵ではありましたが、あれは想像の埒外でした。最初は遂に『壊れた』のか? と思ったのですが、最初のダウンで三半規管に異常をきたし、それで思うに任せなくなったのではないか、という考察を読み、なるほど、と……確かに最初のダウンの後、メリンドのビッグパンチが全く見えていませんでしたからね。最後のワンツー、確かに素晴らしく綺麗なものではありましたが、あれを物の見事にまともに貰って完全な致命傷を負うようなボクサーではない筈です、本来の八重樫は。

ただ、やはり今の八重樫は、サマートレックのような調整試合ならば大過なくこなす事は出来ても、本当の強敵を相手に勝つ為の100%の状態で戦うには、その肉体にはダメージが溜まりすぎているのだろうと私も思います。イーグルにはボコボコにされ、初戴冠試合ではどちらが勝者かわからぬような凄まじくタフな試合を戦い、その後も井岡、ロマゴン、ゲバラ、メンドサと、心身を激しく摩耗させる激闘続き。いつ壊れてもおかしくない状態だろうと思います。或いはもう、本当なら既に壊れているような状態なのかも知れません。でも、多分この人は井上にあれだけ叩きのめされたのにすぐに再起を決断した河野みたいに、本当にどうしようもないと納得するまで立ち上がり続けてしまうボクシングジャンキーの類なんだろうな、と何となく感じています。あれで引退を決める、というのはどうにも想像出来ないんですよね。12R戦い抜いて完敗した、というのならばともかく、何かする前に交通事故で終わってしまった、というのでは。私個人としては、もう潮時ではないか、と言いたいですが……。

それにしても、やはりメリンドは強いですね。事故みたいなKOであれ、八重樫があんな負け方をしたのを見ると、メリンドに勝てる可能性があるのは田中しか居ないだろう、と思います。拳四朗は正直に言って、まず12ラウンドまでかかると思っていなかったし、しかもかなり競った判定という事でかなりがっかりしました。田口も、さうぽんさんのおっしゃる通り見た目の見栄えの悪さだけでは語れない何かを持った不気味な存在だとは思いますが、それでもメリンド相手に勝つ絵図は想像がつかない。私も田中VS田口なぞより、田中VSメリンドが見たいですよ。帝王ニエテスがフライに去った今、ライトフライは田中・メリンド・アコスタの三強だと思います。既にアコスタを破った田中がメリンドをも連破したならば、それはもう、ライトフライではそれ以上何も証明などする必要ないのじゃありませんか。

私はテレビ観戦でしたが、まあ八重樫の試合の呆気なさで、テレビサイドもかなり困惑していたのは容易に想像がつきました。しょうがなく比嘉の試合映像などでお茶を濁していましたが、そこは清水の試合を流してやれよ、1Rで終わったんだから、と言いたくなりましたね。清水だって立派な金の卵、テレビに流して何ら問題ない存在じゃないの? 視聴率が公表されましたが、あの間延びでよく悲惨な数字が出なかったよな、7~9時は最強日テレ軍団に大河の裏なのに、と率直に感心さえしましたね。新生K-1とかは、口の悪い人々が「所詮地上波のテレビには流れないローカルじゃないか」と言う事がありますが、逆に言えば地上波に流れないからこそのあのテンポの良さ、とも言えるのでしょうね。基本、ほとんど間延びらしい間延びがないですからね。
返信する
Unknown (neo)
2017-05-23 04:51:01
井上、ちょっと変則なところもある相手に見事に勝ち切った点は良かったですね。しかし、リング上で見ると、フレームで一回り、サイズで二回りほど大きく見え、とても同じ階級には見えませんでした。スーパーフライではもう一、二試合して転級の時期でしょうね。
八重樫はご指摘の通り、テンプルに一撃が効いてましたね。メリンド、ボディ打ちも強く、技術のみの弱打者には見えませんでした。ただ、相手によらず、こういう負け方は一度しっかり進退を考えたくなりますね。
清水の試合、見たかったですね。たっぷり時間が余っているのに、なぜ流さないのか、訳が分かりませんでした。地上波やからやりよるかも知れんなーとぼんやり思ってたら、ほんまにしよった、あちゃーって感じでした笑
返信する
Unknown (乗れないひと)
2017-05-23 08:49:43
はじめまして。
モンソン・ブリスコはテレビ版の方ですか、
もしくは素人が8ミリでリングサイドから
撮ったほうでしょうか?
私もこの試合が割と好きでして中盤過ぎ(当時は15R制)の終了間際にブリスコのパンチでモンソンがフラフラになる非常に珍しいシーンがありますよね。モンソンはラストファイトのバルデスとのリマッチで2Rにダウンしてますがダメージはなく
ほぼ完勝だったんですが、このブリスコとのリマッチは本当に冷や汗もんでしたね。
よくインターバルで回復したと思います。

しかし左ジャブとワンツーたまにワンツー打って左フック返すだけのモンソンて何であんなに長持ちしたんでしょうかね?
そこそこ相手も強いはずなんですが。
あのナポレスが序盤だけ様子見のモンソンに拮抗してましたが後は滅多打ちでした。
体が違いすぎましたし無謀な挑戦でしたが。
ナポレスは普段のウェルター級の体のままでリングあがってました。
このあいだのゴロフキン・ケルブルック戦やレナード・ハグラーとは全然違う別物でしたね。

テーマと違いましてどうも失礼しました。
当方70年代オタクのジジイなもので。
返信する
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2017-05-23 12:03:27
>R35ファンさん

左ストレートに関しては、違和感がほぼ見えず、びっくりしました。そりゃまあ、右はどうなんやとか、足捌きはとか、他のところを言い出すと、話は別なのやもしれませんが、それにしても...。
相手は一応、メキシコや西海岸で10回戦やっている選手なわけで、それを寄せ付けず、それこそ触らせもせず、という風でしたから、一刻も早くあちらで実際に見てもらいたい、と思います。
八重樫は動き出す前に打たれた感じでした。良いときなら最初からエンジンがかかっていたかもしれませんが、見ているのかな、と見えたあの立ち上がりは、何か他の要因があったのかな、と思います。


>海藻類さん

スーパーフライを去るのはちょっと早い、ロマゴンが駄目でもエストラーダとか、と思うんですが、そういう情勢ではないようですね。本人はさらに階級を上げたがっているという話でもあります。
しかし、一試合は米国でやるとしても、その後また大晦日とか言っている以上、日本の業界、ジム主導の枠内における都合に合致する試合を闘っていくことになるのでしょうね。ロマゴン戦とて、帝拳との誼あればこその話だったのでしょうし、バンタムではザキヤノフがその枠内に収まるのでしょう。おそらく、それ以上のことをやる意志は、大橋秀行には無いのでしょう。
八重樫に関しては、実際の敗因が語られていないように感じます。しかし強敵相手の濃密なキャリアを経て、こういう負け方をしたことは重いですね。決断の時、なのかもしれません。
TV局の視聴率獲得競争が、それこそ毎分ごとに数字の出るシビアなものであることは理解しますが、ボクシングに限らずスポーツのような「生」の素材を、その都合に合わせてザクザクと切り刻むやり口は、どうにかならんのかと思います。しかしボクシング業界全体でコンテンツの価値を上げようという努力をしておらず、地上波TV局を通じてしか、大スポンサーと接点を持てない「旧態依然」が現状で、有料の衛星放送での中継、ネット配信ではビジネスにならないのでしょう。さりとて、あんなイベント進行が、他のスポーツやジャンルで許されるとはとても思えません。ほとんど嫌がらせの域ですよ。あれでは会場に空席が目立つのも当然です。そして、いくら生中継といっても、閑散とした会場でやっているものを、TV視聴者が有り難がって見てくれるはずもないです。関係者諸氏には、この辺を真剣に考え直してもらいたいものですが。


>月庵さん

次戦、アメリカで誰と闘うのか不明ですが、WBC4強以外でいうと、カシメロくらいとは闘って欲しいところですね。或いは有名どころでアローヨ兄弟とか。
しかし上記したとおり、その次がまた年末なんでしょうから、その先の飛躍というのは、可能性がないですね。ザキヤノフなら日本に呼べる、収まりが良いという話で、それ以上の何かをやる意志がそもそも陣営に無い、と見るべきなんでしょう。井上の体格向上という事実もまた、スーパーフライにおける、一定の枠を越えた活動を回避する方便として、大橋会長にとってはこれ幸い、なのかもしれません。

八重樫に関しては同感で、長い試合で延々と打たれるのでなく、序盤で決まる試合であって幸いだったのかもしれません。これで引退しても、強敵相手のキャリアは充分価値のあるものです。堂々たるものです。しかし、傍目がそう見ても、本人がその思うとおりになどならないのも事実です。
そこに、例えば渡嘉敷勝男のように、若くしてまだまだ闘える、という本人の思いを留まらせる、医学的な根拠を伴った、なおかつ親身になってくれる助言者の存在があればな、と思ったりもします。彼は張正九に敗れたあと「お前の脳波にはもう乱れが出ている。俺は涎を垂らして道を歩くお前を見たくないんだ」と、ある人物に言われ、懊悩の末に引退を決意したそうですが、八重樫東の周囲には、そういう存在は無いのかな、と。

田中と田口の試合については、田口の陣営にそんな意志がまるで無い、と聞きます。選手本人が名古屋に解説しに行くくらいだから...と普通は思うところですが、そんなことして何の意味あんの、ってな感じだとか。まあ、実際どうなるかはわかりませんが、あまり期待しない方がいいでしょうね。さすれば田中とメリンド、見たいですね。同感です。
清水聡の試合が流れなかったのは驚きですね。後日関東ローカル深夜か、BSフジかで流す番組のメインだから、という理由なんでしょうが...これもまた、選手の利益やファンの要望を、TVの都合で押し潰す一環、と言えそうです。


>neoさん

おそらく井上は年末にバンタムで闘うことになるでしょうね。今なお、体格の向上はかなりのものですし、ロマゴンが負けた以上、スーパーフライ級には意味が無い、という風らしいですしね。
メリンドはKOの数自体は意外に少なめなんですが、試合映像を見ると、あの距離の攻防では良いカウンターを正確に打つんですよね。鮮やかなKOもいくつか見ました。八重樫は相手の良いところを早々に出させてしまった印象です。歴戦のダメージ故に、そういう展開を避けられなかったのだと見れば、やはり決断の時かな、と思いもします。清水の試合は、別番組で流すつもりなんでしょうね。初回で終わりましたし、先にやってしまうと、別番組の意味がなくなるということなんでしょう。勝手な話や、と思いますが。


>乗れないひとさん

どうも始めまして。私が見たのはTV局のやつですね。
仰るダウン寸前の場面は9回ですね。右ストレートが入って、モンソンがコーナーによろめきました。
モンソンの強さは、映像が鮮明なら、理解の糸口はもっとあるはずですね。ベンベヌチ戦ふたつなんか、見ててもちょっと意味がわからない部分があります。ブリスコ戦は、第二戦の映像のみですが、アルゼンチンのTV局が作ったキャリア・ハイライト番組では、かなり画質が落ちます。フル版は少し良くて、モンソンのスリーパンチの異常なまでの正確さが伝わってきますね。
モンソンの強さは、大きくて柔軟な天与の体格がひとつ。そして大柄でリーチがあり、なおかつパンチの軌道が遠回りではなく、正確に最短距離を通る打ち方が叩き込まれていること、でしょうか。練習嫌いで有名でしたが、それさえも長持ちの秘訣だったのかもしれない、と言う意見もあるそうで(笑)。あの時代の中南米を代表する「怪物」なんでしょうね。
ナポレス戦は、敗れてなおナポレス畏るべし、という試合でもありますね。ウェルターでも体格面で不足を言われるような選手なのに、驚異的な頑張りでした。


返信する
Unknown (さんちょう)
2017-05-23 12:22:39
2日間の生観戦お疲れ様でした。

今回の井上選手は減量もよほどうまくいったのか、体調は万全に見えました。 リングでは虎と羊が戦ってるように見えましたね~ ホント次はアメリカでやってもらいたいです。 もしゴロフキン、カネロの前座のなんかなったら最高ですが。


会場の方は1時間ほったらかしでしたか… 
いくらなんでも長時間ほったらかしはいただけないです。 長谷川さんも含め、元、現王者もたくさんいたでしょうから、ちょっとしたトークショーやサイン会でもやったらどうなんでしょうかね~? 興行側はせっかく足を運んだお客さんのためにもう少しサービス精神を学んでもらいたいです。
返信する
Unknown (ててて)
2017-05-23 16:22:47
八重樫戦から井上の間はテレビの前ですら退屈でした。アンダーカードの清水の試合でもやってくれれば……。昨日の再放送されてもなーと。アンダーカードも早いKOが続いて現地の暇っぷりは酷かったでしょうね
2日間連続だとお客が少ないのもしゃーないでしょうが、その客を離さんように頑張って欲しいすね

しかし八重樫さん、なんだか入場から覇気がない感じでしたね。メリンドも素晴らしいんでしょうけど、特に奇襲をされたわけでもなく安易に打ち合ってテンプルに食らって、引退した方がいいんだろうなと
他人が言う事じゃないかもしれないですけど、他人が言わなきゃならんのでしょうね。店の経営を頑張ってくださいと

井上尚弥はもう、こっちがヒくくらい強かったです。はい。体調万全で、相手を侮ることなく、パワー差に驕ることなく、その上で7割くらいの力、精度の高いパンチで倒してしまう。
こういう試合運びして欲しいなぁと思っていた理想の井上尚弥が出てきたはずなのに、見ながら興奮よりロドリゲスへの同情の方が勝ってしまいました。ロドリゲスが打たれる度、あっ!うっ!と言いながら笑
サウスポーの練度も上がってますねー。しかしまだ、パンチはストレートが強く打てるだけっぽいですが。いつかテレンスクロフォード、なんて言えるかもしれません

しかし9月の米国でSフライの防衛戦⇒年末にバンタム級らしいですが、米国でのいい相手がいるんですかね?
試合がほぼ決まってる方々を除けば、カシメロくらいしか思いつかないですけど。いっそのこと即バンタムに上げても問題ないとオモますねー
返信する
コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2017-05-24 14:06:55
>さんちょうさん

ありがとうございます。まあ自分の勝手でやっていることですが、今回は色々ありすぎて疲れました...。
井上尚弥は、より大きな舞台で、多くに見てもらいたい選手ですね。
TV局が数字を落としたくない一心で、会場に足を運ぶ者の立場を無視していることに腹が立ちます。客足が現実に遠のいて、閑散とした会場でどんな良い試合があったとて、それを放送する価値はなくなるでしょう。二重の意味で腹が立つのは、もしそうなったらTV局は放送を止めてしまえば済む、ということです。興行側も、そのくらいのことは考えて、バランスを取った進行をしてもらいたいですが、おそらく何にも考えてないんでしょうね。所詮、何やっても駄目、落ち目街道まっしぐらな、インケツTV局の仕業などこんなものだ、と思うしかないんでしょうが...。


>てててさん

まあ、前日の放送ちゃんと見てなかった、とかいう層には有り難かったのかもしれませんが。なんだって見てくれれば数字なんでしょうしね。
八重樫は何だか、確かにいつもと違ったような印象でしたね。今後については、どういう風に省みるか、なんでしょうが...。
ロドリゲスは確かに気の毒な感じありました(笑)。例の巻き舌長口上リングアナが知らない間に復帰していて、試合前に「勇敢にも挑戦に名乗りを上げた」とか言って褒めてましたけど(笑)そこ褒めるとこか、という...いや、褒めたった方がええかなぁ、とか、色んな事を思ったり。スイッチに関しては、そりゃハグラーやクロフォードみたいに出来れば良いですけど、なかなか...あまり深みにはまらないうちに、ほどほどにしといたほうが、と思います。
次の相手はどうなるんですかねえ。どの興行に出るかで、当然違ってくるんでしょうが...一足飛びにエストラーダとやるってわけにはいかんのですかね。

返信する
井上尚弥の今後 (もみあげ魔神)
2017-05-26 02:15:49
井上については、ブログ記事タイトルに書かれていた「時を失うことだけが…」と全く同じことを思います。中継では、「次戦は、いよいよ全米進出…」といった煽りをしていましたが、じゃあ、一体どの強豪とできるのか、というと、3戦ぐらい先まで考えても、なかなか厳しかったりするかとも思っています。とはいえ、「あのとき、ロマゴンが負けなければ…」みたいなことには絶対にしてほしくないところ。亀海ではないですが、最初は派手なマッチメイクから出来なくても、地道に足がかりを作っていってほしいですね。
返信する

コメントを投稿

井上尚弥」カテゴリの最新記事