さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

王者の証明

2012-04-04 21:27:08 | 関東ボクシング
関西でも、生中継ではなかったですが、結果知らずに試合を見ることは出来ました。
結果はとにかく残念です。
清水智信の熱心なファンというわけではない私にも、この試合に至る過程、
あれやこれやと積み重なった「ヤカラ」なお話の数々に、ご多分に漏れず義憤を感じましたし、
今日の試合に勝つことによって、全てを覆してもらいたい、とも思っていました。


さて、今日の闘いぶりは、果たして清水智信本来のスタイルなのかなぁ、というのが、
見終えた今の率直な感想です。

清水の試合は日本王者時代の数試合、世界戦三試合などを見てはいますが、
基本的には左ジャブで突き放しては動き、距離を維持して闘うスタイルだと思っていました。
しかし今日は、初回早々からためらいなく右ストレートの好打、というより強打を求め、
正面からテーパリットを打ち込もうしているように見え、いつもの彼ではないように感じました。

4回にはダウン寸前のピンチがありながら、ラウンド終盤に右のヒットでテーパリットを
はっきりわかるほどスローダウンさせる見せ場もありましたが、やはり体力で上回る
テーパリットを「決壊」させるには至らず、9回、いつこうなっても不思議ではない、という
打ち込まれ方で劣勢となり、レフェリーストップとなりました。


少々、感傷的な見方が過ぎるかも知れませんが、今日の清水は普通ではない覚悟というか、
ある意味、勝ち負けを度外視したような精神状態で、リングに上がっていたのではないでしょうか。

そもそも、フライ級でも自身の体力に改善の余地ありと考えて、筋力トレーニングに励んでいたという
清水にとって、体格で自分を上回り、体力や連打の回転が武器の、若き王者テーパリットを
打ち崩すのは至難であり、しかし清水は、あえてその至難の業に挑んだように見えました。

しかし、両者の体格を見ると、やはり清水は115ポンドのボクサーとしては、急ごしらえの身体に見えました。
悔しいことに、9回の幕切れは、極めて妥当なものだった、と言わざるを得ません。

しかし、敗れたとはいえ清水の闘いぶりは、良くも悪くも、見る者を熱くさせるものがあり、
「ああ、そんな無茶な」「そこで無理したらいかんがなー」「今や、効いてる、行け行け~」などと、
TVの前で見ている私も、ついつい親戚の子を応援するモードに突入させられてしまいました(^^;)
結果は誠に残念ながら、力と力で勝負しての勝利と敗北の清々しさを感じました。


今後については、リング外の様々なことどもに辟易しているやも知れない清水智信に対し、
安易に再起を期待していいのかどうか、ちょっと答えが出せずにいます。
しかしベストとは言えない115ポンド級で、ウーゴ・カサレスに勝ち、タイの若武者テーパリットに敗れた、
この二試合をもって、我々ファンは、清水智信を、紛う事なきチャンピオンとして記憶するでしょう。

負けた試合でこういうのはおかしいかも知れませんが、今日の試合は、
敗れてもなお、清水智信にとり「王者の証明」であった、と思います。




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4 コメント

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Unknown (アラサーファン)
2012-04-04 22:44:07
カウンターで盛り返した4Rを除き、清水さんがジャブを当てていても、テーパのリターンの驚異にさらされたまま。テーパのパンチは身体のバネがある、伸びがある、対して清水さんのはややアマチュア的で当てるだけ、踏み込みが足らず、腰がやや高く、伸びがなくで殺傷力や相手に与える驚異に差があったように見えました。
あの4R以外、テーパは接近したら相手に打てるパンチはなく、ジャブは伸びもパワーもなくリターン狙い易い、余裕あったと思います。
清水さんは今後再起するにしてもパワーやタフさがなく、ボクシングも正直で怖さがないので世界のトップ戦線で生き残るのは厳しいと思います。

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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2012-04-05 07:35:11
>アラサーファンさん

昨日の清水の闘いぶりは、相手との体格、体力の差をどう埋めようかという方策が確かに見えませんでした。それが技量、力量の差なのかもしれませんが、試合開始の時点で清水が巧く闘うか、位置取りや距離をどうこう、というよりも先に、強打の手応えを欲しがっていて、これだとテーパリットの力が全部出るなと感じ、勝敗については度外視して試合を見ていました。普通ならもう少し相手の良さを削ぐ闘いが出来る選手なんでしょうが、昨日の試合ぶりを見る限り、おそらく本人も先を考えてはいないのかもしれない、そういう印象を持ちました。


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Unknown (レノンバッファ)
2012-04-05 08:50:29
悔しいです。
うちひしがれております。
そのいっぽうで、あのアウトロー一家との
関わりもこれでなくなるのだと思うと
少しホッとしてもいます。

技術論はおいといて、
昨日の清水、男だな、と思いましたよ。

フライ級に戻し、再起して欲しいですが……。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2012-04-07 01:44:41
>レノンバッファさん

今回の試合は、何とか勝ってもらいたい、と思っていましたが、当の本人が勝ちに徹したというわけではない、勝ち負け以外の何事かに心をとらわれて闘っていた、そんな試合にも見えました。それは相手との力量の違いをすべて明らかにしてしまった結果と同じく、残念なことです。

今後については、再起を期待していいのかどうか、ためらいを感じます。彼が目指すことを、彼を護るべき人々がしっかり支えてやれるのかどうか、昨年来のゴタゴタを見ていると、そこがかなり怪しいと言わざるを得ませんし、清水の心中には、あの一家との関わりとはまた別に、そちらに対しても絶望感のようなものがあるのかもしれません。
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