花の栽培手帳

長年植物との出会いの中で得た栽培のポイントや、話題を書いています。

~カラムシの話題~

2020-06-06 08:26:40 | Weblog
~カラムシの話題~


今回は「カラムシ」と呼ぶ植物についてまとめました。

初夏に入り、暖かくなると、あちこちの土手に1から2mに真っすぐ伸びた茎にハート形の葉をつけた、この地域では「クロジ」と呼んでいる植物が繁茂してきます。
子供の頃は筒状にした左手の上にこの葉を置き、右手で力強く叩くと、「ポン」と音を鳴らして遊びました。

戦時中、船のイカリのロープを作るためにこの植物を供出したと祖父母が語っていました。

佐賀県の「吉野ヶ里遺跡」を訪れた時にこの植物を見かけました。

数人の若いボランティアさんが、この茎を叩いています。
なにをしているのか尋ねると、縄文人はこの茎から繊維を取り、衣類を作ったり編んだりしていたようです。
茎の皮から採れる靭皮繊維は、麻などと同じように非常に丈夫だそうです。
綿や絹がない時代、この植物はとても貴重なものだったのでしょう。

葉や茎は冬になると枯れてしまいますが、宿根性植物なので、翌春になると再び芽が伸びてきます。
草刈りをしても、すぐにもとのような大きさになってしまいます。
群落性があり、成長が早いので他の雑草が生えなくなると土が柔らかくなり、土手が崩れ易くなってしまいます。

初秋に入ると、群生しているカラムシに、どこからやってくるのか毛虫が大発生して全ての葉を食い尽くしてしまいます。
ところが、不思議なことに、この毛虫はカラムシの葉だけしか食べません。

この植物はしつこい雑草として日本各地に生えているようです。
地域によってそれぞれいろんな呼び方があり、身近な植物なのに標準的な名前が判らず、長年気になっていました。
ふとしたことから、やっと「カラムシ」と言う名前を知りました。