花の栽培手帳

長年植物との出会いの中で得た栽培のポイントや、話題を書いています。

~杉の木の話題 5~

2020-04-30 10:43:51 | Weblog
~杉の木の話題 5~


鎮守の森には樹齢800年のケヤキと300年以上経った二本の杉の大木が生えています。
これらは、空に向かって聳え立っているので、遠くからでも見つけることが出来ます。

神社への道を尋ねられた時は、「あの、二本の杉が見える所です」と指し示します。

子供の頃、太い幹回りは数人が手を繋いでも届きませんでした。
樹高を計ったことはありませんが、真っすぐ空に向かって高くそそり立っています。

以前、これより少し太い杉の木がもう一本生えていましたが、雷が落ちたので切ってしまいました。
この木は何度も雷が落ちたのか、中心部は空洞になっていましたが、周囲は見事な美しい赤味に覆われていました。

杉の幹は白身と赤身に分かれ、中心部が赤身になっています。
中にはこの部分が黒ずんだものもあります。

白身の部分はちょうどタマゴの白身のように柔らかく、日が経つと縮んだり、クギが抜けたりします。
これに比べると赤身の部分はとても強く、これだけを使って建てた茶室は高級な建物です。

杉の木は主に床板や焼き板など、板として使われています。
所によっては柱にも使われているようです。

数百年も経ったものは年輪が細かく、紙のように薄く梳かれ、天井板に使われています。
プリントの天井板はどれも同じ柄をしていますが、本物の杉をスライスしたものは、一枚づつ柄が違ってきます。


~ウイルスの話題~

2020-04-29 08:43:31 | Weblog
~ウイルスの話題~


今、新型コロナウイルスが世界中で蔓延していますが、今回はウイルスの話題です。

ここでは、主に植物に着くウイルスについてまとめました。

ウイルスは菌や細菌類(バクテリア)と大きく違って、細胞や細胞膜を持たないので、自己増殖することが出来ません。
そのため、他の生物の細胞を利用して自己増殖していきます。

木や金属、プラスチックなどに着くと、数分、長くても数時間経つと消えてしまいます。
菌類や細菌類は数カ月、場合によっては数年間、まるでカプセルにでも入っているようにじっとしていますが、湿度や温度が適温になると一気に増殖してきます。

ウイルスにはいろんな種類があり、動物と植物に着く種類は違うようです。

種子で増殖する場合はウイルスは伝わらないと言われています。
挿し木やイチゴのようにランナーで増殖する場合、長年栽培を続けていると、いつのまにかウイルスに犯されてしまいます。
※ 写真はイチゴのランナーの画像です。

ウイルスに侵された株は、葉に斑が入ったり、委縮して株が大きくなっていきません。
ウイルスに犯された株についたアブラムシやスリップスが、他の株にウイルスを運んで行きます。
ちょうど、ドラキュラに犯されると、その人もドラキュラになるようなものです。

ウイルスに対処出来る農薬はありません。
犯された株を見つけると、直ちに償却処分をして、土壌消毒をしなければなりません。
土壌消毒は、主に薬品か蒸気消毒で行います。

挿し木をする場合は、ハサミを一回ずつアルコールランプに当てて殺菌しますが、それでも、ウイルスを防ぐのはそう簡単にはいきません。

イチゴ苗をウイルスから守る手立て。
イチゴの株から、まだウイルスに侵されていない成長点を切取り、メリクロン苗を作ります。
※ メリクロン苗の作成方法は「シンピジューム 2」でご紹介しています。

このようにして出来たイチゴ苗を親株にして、更新していくと、ウイルス株の発生を抑えることが出来ます。
殺菌剤でウイルスを抑えることは出来ないので、このような物理的な方法の積み重ねで防御します。

~タマネギの話題 葉タマネギ~

2020-04-28 08:43:15 | Weblog
~タマネギの話題 葉タマネギ~


やわらかくておいしい新タマネギが出回るようになってきましたが、今回は葉タマネギの話題をまとめました。

ヒガンバナ科ネギ俗のタマネギ(オニオン)は、主に球形の部分を食用に使っています。

晩秋に植えたタマネギの小苗は、寒さにとても強く、冬季に枯れることはありません。

寒風に耐えていた小苗が、暖かくなると、一気に成長してきます。

毎年この時期になると、成長途中の葉タマネギが販売されるようになってきます。
この姿のタマネギは、まさに、この一瞬の時期しか手に入れることが出来ません。

小さな玉がついた太い葉と茎を炊くと、旬の味を味わうことが出来ます。。

又、この時期は孟宗竹のタケノコの季節でもあります。

葉タマネギとタケノコの炊き合わせは、ピッタリと合います。

是非、旬の味覚を味わってください。

~ジャガイモの話題 3~

2020-04-27 08:25:07 | Weblog
~ジャガイモの話題 3~


ジャガイモは、煮物用、サラダ用、飼料用、加工用に用途が判れ、それぞれに最適な品種が栽培されています。

ジャガイモは77%が北海道で生産されています。
ポテトチップスの材料になるジャガイモも、ほとんどが北海道で作られています。

これに比べ、マクロナルドやケンタッキーのフライドポテト(フレンチフライ)用のジャガイモは輸入ものです。
日本には、生のジャガイモは輸入することが出来ないので、冷凍されたものが入ってきます。
このように防疫の観点から、日本農業を病虫害から守るため、生の農産物の輸入を制限しているものが沢山あります。

フライドポテトに使われているナセットバーバンクは加工用に最適品種です。
このジャガイモを見たことはありませんが、12cmのフライドポテトを作るにはサツマイモ以上の大きさでないと加工出来ません。

このジャガイモはバーバンクポテトの突然変異から生まれました。
バーバンクポテトの白色の皮が茶色に変わり、それだけでなく厚くなって輸送しても痛みが少なくなりました。

元のバーバンクポテトも劇的な出現をしています。
アーリーローズの種類は実を着けることはありませんが、不思議なことに広大なアーリーローズの圃場に一個だけ実が着きました。
採取した23粒の種を蒔き、その中の一株は今までの種類に比べると2、3倍の収量がとれることがわかり、バーバンクポテトと名づけられました。

~ジャガイモの話題 2~

2020-04-26 08:46:01 | Weblog
~ジャガイモの話題 2~


ジャガイモは、ナスやトマト、ピーマンなどと同じナス科植物です。

どのような植物も、連作障害と言って、同じ所に同じ科の植物を植えると、生育不良を起こします。

それぞれの植物を餌にしている虫や菌類があるようです。
そのため、外国から入ってきたものは白紙状態の中、天敵がいないので、勝手放題に広がっていきます。
例えば、外来植物のセイタカアワダチソウは、一時、どこの荒れ地にも沢山生えていましたが、近頃は少し落ち着いてきた感じです。
セイタカアワダチソウに着く菌や餌にする虫などが現れてきたのでしょう。

トマトやジャガイモなどのナス科植物は特に連作を嫌います。

ジャガイモを栽培した後にトマトを植えると、イチョウビョウなどが発生して全く育ちません。

ジャガイモの収穫を終えると、今までジャガイモについていたテントウムシが隣の圃場のナスに移動していきます。

たまに、ジャガイモに、トマトのような形の小さな実が成ることがあります。
この実には毒性があると言われているので、食べてはいけません。

ナス科植物のエンゼルトランペットにも毒性があると言われています。
この植物は、寒さのため冬季は枯れてしまいますが、足摺岬では3mに生育した株に沢山の花が咲いているのを見かけました。
※ 写真はエンジェルトランペット 白の花が咲いている画像です。

~村里の風景 ツツドリ~

2020-04-25 09:17:27 | Weblog
~村里の風景 ツツドリ~


山の麓に茅葺の大きな建物が建っています。
この建物は、桃山時代に建てられた、重要文化財の大庄屋の屋敷です。
江戸時代には、農家を取りまとめる大農家を関東では名主と呼びますが、関西では庄屋と呼ばれていました。
中でも、大庄屋は各村々の農家を昭和区していました。

その広い屋敷の裏山から「フォ、フォ、フォ」とツツドリの鳴き声が聞こえてきます。

ツツドリはホトトギスやカッコウと同じ仲間です。
ウグイスの巣に卵を産み付け、托卵します。

東南アジアからシベリアにかけて生息していますが、この時期になると産卵のために日本にやってくる渡り鳥です。

農作業も機械化され、この時期になるとあちこちからエンジン音が響き渡り、昔のような情緒がなくなってきました。

手作業で農作業していた当時は、5月中旬が田植えの時期でした。
苗代で苗を取っていると、遠くの山の方からツクドリの鳴き声が聞こえてきました。

こんなことを思い出していると、今年はツクドリのやって来るのが少し早いのではないかな。


~ジャガイモの話題 1~

2020-04-24 15:48:37 | Weblog
~ジャガイモの話題 1~


★ そろそろ、新ジャガイモが店頭に並ぶようになってきましたが、今回はジャガイモの話題をまとめています。

私が住んでいる地域では、ジャガイモのことを馬鈴薯、又は二度芋ともよんでいます。
北海道など寒冷地では年に一度しか収穫出来ませんが、暖かい地方では年に二回収穫出来るので二度芋とよばれるようになったようです。
ジャガイモの語源は、現在のインドネシアのジャガタラから渡来したからだと言われています。

★ジャガイモの栽培方法。
晩秋に農協から届いた種イモを圃場に植えます。
種イモは北海道で栽培されています。
これは、北海道は、なんたって寒いので、土壌ウイルスの密度が下がるので、具合いいみたいです。

種イモを包丁で分割、軟腐病を防ぐため切り口に石灰を塗布します。
一片には、必ず一個以上芽を付けておきます。
まだ、芽がでていないので判りずらいですが、少し窪んでいる所から目が出てきます。

早春に入ると、地面から茎が伸びてきますが、年によっては、遅くに霜が降りることがあります。
霜にあうと、柔らかい茎や葉は真っ黒になって傷んでしまいます。
このようになっても、成長は遅れますが、枯れることはありません。

暖かくなると、茎や葉がどんどん茂ってきます。
葉や茎が茂ると栄養分が地下茎に貯蔵するとイモが肥えてくるので、ここが大切なポイントです。

5月に入り、気温が高くなると葉や茎がベト病やテントウムシなど病害虫に侵されてしまうと、イモに栄養分が貯まらなくなってしまいます。
出来るだけ長く葉や茎が元気で茂ることが大切です。

ジャガイモを掘り上げると、納屋など、風通しのよい乾燥した場所に並べます。
湿度が高いと、軟腐病で、イモが悪臭を出しながら腐ってしまいます。

~バラの話題 2~

2020-04-23 08:27:57 | Weblog
~バラの話題 2~


★ 今回は主なバラの系統についてまとめてみました。

○ ハイブリッドティーローズ (HT:Hybrid Tea Rose)
多くの交雑から出来た四季咲き性の代表的なバラの系統です。
バラの中で花が最も大きく、剣弁高芯咲きの花形です。
赤やローズ、ピンク、黄色、白、紫色など豊富な色彩が組み合わされ、香りにも広い幅があってこの系統の70%以上には香りがあります。

○ フロリバンダローズ (FL:Floribunda Rose)
中輪の花形は、一重咲きから半八重、八重咲きまであり、花色も豊富で、四季咲き性が強いのが特徴の一つです。

○ クライミングローズ (CL:Climbing Rose)
垣根や門に這わせて庭を豪華にするにはツルバラはとても良い系統です。
品種によってはつるが、2m以上伸びるのも有り、一季咲きと四季咲き性のものがあります。

○ ミニアチュアローズ (Min:Mimniature Rose)
矮性種に色々な園芸品種をかけ合わせて作られたミニの系統です。花は小輪咲きの四季咲き性で、可愛い小鉢や寄席植えなどで栽培されています。

★ バラの花形
○ 杯状の花びら
この花形はオールドローズ、イングリッシュローズに多くあり、芍薬の花のように花びらの先端がまるくなるので豪華に感じます。

○ ロゼット状
花芯が多く、オールドローズ イングリッシュローズに多くあります。

○ 剣弁高芯咲き
HT系に多くあり、花びらの先端部が内側にそり変えるのでとがったように感じます。

○ 一重咲き
園芸種ではあまり見かけませんが、野生種には多くあります。
写真は「はまでら公園」のバラ園で咲いていた一重咲きの白バラの画像です。

~村里の風景 4月下旬~

2020-04-22 07:48:55 | Weblog
~村里の風景 4月下旬~


世界中で、新型コロナウイルスが蔓延していますが、今回は小さな村里の風景をご紹介致します。

毎日、外出自粛を続けていますが、久しぶりに曇り空の中、自宅近くを約30分ばかり散策しましたが、全くだれにも出会いません。
この地域もコロナウイルスの関係で、会合などは全て中止になっています。
ほとんどの人は車で移動しているので、田舎道を歩いている人は一人も見かけません。

集落センターの駐車場に生えている白とピンク色の八重桜は、今が満開です。。

あちこちの里山から、ウグイスの鳴き声が聞こえてきます。
時々、カラスの鳴き声も聞こえます。

さすがに、4月中旬になると、吹く風も暖かくなってきました。
これで、日が当たると、かなり熱くなりそうです。

昨日降った雨水が、「ゴウゴウ」と溝を流れています。

あちこちの耕した田んぼから、「ゲロ、ゲロ、ゲロ」とカエルの合唱が響き渡ってきます。

いつもは少ししか流れていない小川にも、今日は沢山の水が流れていました。

~バラの話題 1~

2020-04-20 08:45:42 | Weblog
~バラの話題 1~


農業の専門学校で、一年間の寄宿生活で栽培技術を学びました。
夏季は先進農家に一カ月の留学に入ります。

私がお世話になったバラ栽培農場はとてもセンスのいい経営をしておられました。
しゃれた事務所の入り口には、アーチ状にツルバラが這っていました。
ほとんどのツルバラは一季咲きが多く、5月頃一斉に花を咲かせます。
私が研修中は緑色の葉ばかりでしたが、5月に訪れた時は一面真っ赤な花で覆われていました。

農場にはバラ苗、切り花用のバラ、鉢物のミニバラが栽培されていました。

園主はとても研究熱心で、常に新しい種類の栽培に取り組んでおられ、ミニバラもいろんな品種を栽培していました。
これ以外にも、ブーゲンビリアやガーベラの鉢栽培、君子蘭など沢山の種類が栽培されていましたが、いつも時の流れよりちょっと早すぎるのでまだ人気が出ませんでした。
これはだめだと栽培を止め、しばらく経つと人気が出始めることがよくあると語っておられました。

ここでは、バラ栽培について話を進めていきたいと思います。

この農場では、切り花用のバラを路地とハウスに分かれて栽培していました。
私が研修に入った夏季は、高温のため花びらが痛むので、この時期はシーズンオフです。
そのため、地面から50cmの高さに切り揃え、株だけになっていました。
私の作業は、株元の草引きです。
バラは棘があるのが難点です。
雑草を引いていると、手袋を履いていても落ちている枝の棘が指に刺さってしまいます。

バラ栽培で、特に気をつけなくてはならないのがこの棘です。

「棘がないバラが出来ないのか」種苗会社に尋ねましたが、ないこともないようですが、花形や花色が今一つのようです。

棘はバラの特徴ですが、作業上でケガをしないように気をつけなくてはいけません。

このように棘があっても、鮮やかな花色と素晴らしい花形、気品ある香りを持ったバラにずっと魅了されています。