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アイリアノス『ギリシア奇談集』:「神と呼ばれたかったアレクサンドロス」「アンティゴノスの優しさ」!

2021-04-08 22:38:59 | 日記
※アイリアノス(200A.D.頃)『ギリシア奇談集』(第1~14巻)岩波文庫

第2巻(19)「神と呼ばれたかったアレクサンドロス」:スパルタはアレクサンドロスの「愚行」を非難した!
マケドニアのアレクサンドロス大王がダレイオス3世を破ってペルシア帝国を手に入れた時、うち続く幸運に思い上がり、今や自分が神になったつもりで、アレクサンドロス大王は、ギリシア人に自分を神格化する決議をするよう命じた。ギリシア人は各都市ごとに様々な決議をしたが、スパルタ人は「アレクサンドロスは神たらんと欲す、よろしく神となるべし」と決議した。スパルタ人は、スパルタ流に、つまり簡潔に、アレクサンドロスの「愚行」を非難した。
《感想1》スパルタ人は、アレクサンドロスが「神に等しい」と称賛しなかった。スパルタ人は「人間を神と呼べ」と要求するのは「愚行」と断じた。
《感想1-2》スパルタ王アギスは、BC331、反マケドニア挙兵に踏み切る。だがスパルタ軍は、マケドニア・ギリシア連合軍に惨敗した。アレクサンドロスは、反乱が鎮圧されたことで東方遠征を継続できた。

第2巻(20)「アンティゴノスの優しさ」:一定の「身分」「財産」「地位」を持つ者のみが、「人間」・「民」だ!
マケドニア王アンティゴノス2世(位BC277-BC239)は、息子が家来の者たちを手荒く横柄に扱うのを見て、「われわれが王であるということは名誉ある奴隷(奉仕者)であるということがわからないのか」と言った。アンティゴノス2世のこの言葉は「まことに穏和で人間愛に満ちている」。彼は「真の王者」、「民を思いやる人物」だ。
《感想2》ここで「人間愛」とか「民」とかは、全ての「人間」・「民」を指すのでない。一定の「身分」「財産」「地位」を持つ者のみが「人間」・「民」だ。
《感想2-2》「アンティゴノスの優しさ」は「民主主義」と異なる。
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映画『Re:ゼロから始める異世界生活 氷結の絆』(2019年、日本):「君は幸せになるために生まれて来た」!金銭的ゲゼルシャフト的「契約」と共感的ゲマインシャフト「契約」!

2021-04-08 13:00:12 | 日記
(1)
氷結した大森林に、たった一人で暮らすエミリアは、村人から「魔女」と恐れられていた。エミリアは贖罪に生きる。「あの日のことを忘れない」と言う。彼女のせいで、大森林は人々もろとも氷結した。彼女は氷結した人々(氷像)を墓碑のように礼拝し奉仕する。大森林の採掘場から青い宝石(キラキラ石)が取れる。エミリアは青い宝石を村で食糧や靴と交換する。
(2)
エミリアには守護聖霊パックがついている。パックは巨大な魔獣(「終焉の獣」)だが、小さな猫の姿(「実体化」)で現れる。ただし、実体化にはエネルギーが必要なので、しばらくすると消える。パックは、エミリアを守ることを使命とする。
(3)
森でエミリアは、8人の男たちに襲われる。ボスの男が、「体で償え」とエミリアに言う。エミリアは「森を破壊しないで!村人を殺さないで!」と嘆願する。パックが出現し、エミリアを守る。パックがいない時のために、パックの提案で、「微精霊」がエミリアを守る契約をする。
(4)
黒い液体(三大魔獣「黒蛇」)が森も村も呑みこもうとするのを、エミリアとパックが防ぎ、撃退する。
(5)
その時、最高位の火の聖霊メラクエラ(「調停者」)が出現する。「魔女の係累(ハーフエルフ)」であるエミリアが成長すると「魔女の再来を招いて世界が危機に陥る」とメラクエラは判断し、エミリアを攻撃する。エミリアを守るためパックは「終焉の獣」と化し、メラクエラと対峙する。壮絶な戦いの後、メラクエラは敗北し、消滅する。
(6)
パック(「終焉の獣」)は、「君は、幸せになるために生まれて来たんだ」とエミリアに言う。エミリアとパックは「契約」し、エミリアが、パックに「あなたは、お父さんみたい」と言う。「君が、僕を必要としてくれて、よかった」とパックが答える。

《感想1》パックは、「世界には感動がある」と言い、エミリアに「君は幸せになるために生まれて来たんだ」、「君は望まれて生まれて来た」と言う。
《感想1-2》この立場に対しては「反出生主義」(《人は生まれてこない方がよかった》という考え方)がある。人は生きるかぎり、普通、「反出生主義」の立場に立たない。また熱心に生きる人に、「反出生主義」の立場を知られるとor公言すると、君は「死神」として、嫌われ憎まれる
《感想2》エミリアは《孤独者》であり、《罪(原罪)》を感じる者であり、他者を思いやる《利他主義》の立場に立つ者だ。
《感想3》エミリアを守るパックの「守護(護衛)」の根拠は何か?(ア)私企業の《ガードマン》でない。(これも契約だが、金銭的契約だ。)また(イ)公職にある者につく《シークレトサービス》《親衛隊》《近衛兵》でない。(これも護衛義務を遂行する者にとっては金銭的契約だ。)
《感想3-2》(ウ)パックは自発的にエミリアの守護聖霊となる。これは金銭的ゲゼルシャフト的な「契約」でなく、共感的ゲマインシャフトな「契約」にもとづく。ゲマインシャフトの典型は「家族」だ。かくてエミリアは、パックに「あなたは、お父さんみたい」と言う。

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