臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

「題詠2013」投稿作品集(鳥羽省三)

2013年08月29日 | 題詠blog短歌
001:新
この街の新参われにサンクスの深蒸し煎茶はあまりに苦し

002:甘
スタバにてカフェラテを喫むこの真昼ささやき甘し剛力彩芽

003:各
各々がサッポロビールのゼッケンを胸に走った箱根駅伝

004:やがて
魚やがてんびん棒を振り回し破落戸どもと大立ち回り

005:叫
沈む陽に凍れる空は血で染まり峡湾は阿鼻叫喚の刻

006:券
華麗なる熟女の恥部に喰ひ付いた券売機の件は一笑に付せ!

007:別
『サニー・サイド・アップ』別して言へば<目玉焼き・加藤治郎の第一歌集>

008:瞬
法華津瞬 我が青春を彩りて三十路で逝きしよか男の名

009:テーブル
テーブルマウンテン(標高1086m) ケープタウンを眼下に置き平らかに佇つ

010:賞
精勤賞だけは貰へた弟の少し淋しき少年時代

011:習
十年に一度ぐらいの割合で学習指導要領改訂する謎

012:わずか
円安と言えどわずかに1、2円笑むに足らぬぞトヨタの社長

013:極
究極の駄目男とは彼のこと澤村拓一河豚にぞ似たる

014:更
更迭せよ。官房長官を更迭せよ。テレビ映りが宜しくないぞ。

015:吐
『嘔吐』など今更誰も讀まないぜ!實存主義は壹塲の夢!

016:仕事
江戸城の御金蔵破りは大仕事 霞の富蔵首尾良く成就

017:彼
彼岸より視れば徒しき事ならむ猛暑の今日は写経にて果つ

018:闘
「闘魂を大臣ばらに示さむ」と猪木議員は猛々しく云ふ

019:同じ
あの夏と同じ思ひで蝉を聴く猛暑果てなき終戦記念日

020:嘆
嘆かへばものみな哀し我が肌を夕べ刺しつる蚊の命さへ

021:仲
始まりはお金が故の仲違ひ今は泥沼全てが嫌ひ

022:梨
到来の初物梨の皮を剥く汁の滴る梨の皮剥く

023:不思議
不思議なる夢をば見つる天平の琵琶を奏づる乙女の夢を

024:妙
いま我はヴィオロンとなり故郷に妙なる音と風を送らむ

025:滅
罪障を滅消せむとてせしなれど泥鰌逃がして妻に叱らる

026:期
挺身以て敵陣を撃滅せむ生ら固より生還を期せず

027:コメント
コメントが固まる頃を見計らい型枠外しに取り掛からねば

028:幾
幾たびも雪の深さを尋ねられ菊女は遂に顔赤らめつ

029:逃
里人のあらかた逃散してしまひ代官様は困惑の態

030:財
またぞろの失言放言し放題 財務大臣麻生太郎氏

031:はずれ
東京のはずれの街の赤羽で拾った恋です自棄っぱちです

032:猛
「新村猛(昭和12年11月、治安維持法違反で逮捕)」

033:夏
紺碧のみくりが池に影映し室堂平の夏に我立つ

034:勢
心技体三個揃へば綱が見ゆ心を鍛へよ稀勢の里関

035:後悔
敗けた後悔いても無駄だ稀勢の里こころ鍛えて再度チャレンジ

036:少
「香炉峰の雪いかならん」と仰すれば清少納言は御簾を巻き上ぐ

037:恨
恨むなら美貌うらめと太閤は淀の御方を二度も組み敷く

038:イエス
荒野往くイエスの如き眼差しで打者のイチロー睨む岩隈

039:銃
放銃の初めや伊根の四暗刻 一夜泊りの舟屋麻雀

040:誇
自が功を誇示する如く声荒げ財務大臣失言糊塗す

041:カステラ
「カステラは何がなんでも福砂屋」と言ってはみたが中村屋のも貰う

042:若
若過ぎて深夜便には似合わぬが森田美由紀は声も大好き

043:慣
薄味の関西風に慣らされて血圧どうたら言ってる馬鹿め

044:日本
富士山は日本一の山だから世界遺産に登録された

045:喋
信頼の根源はあの喋り方?お国訛りで長官談話!

046:間
盗られては間尺に合わぬ!北方の四島返せ!毛蟹食べたい!

047:繋
繋がれて鞭で打たれて啜り泣き伊藤晴雨の縛り絵の中

048:アルプス
今日明日は準決勝と決勝だ!アルプススタンド埋め尽くす白!

049:括
「括弧書き」多用するのは問題だ!三十一文字に記号は邪道!

050:互
お互いに譲り合ってのこの始末?チャリンコどうし道でガチャリンコ!

051:般
一般に大雪山と呼んでるが正しく言えば大雪山系

052:ダブル
ダブルスでもシングルスでも勝ってたがウィリアムズ姉妹の全盛期はや!

053:受
大受とふ四股名の力士持ち前の寄り身に徹し大関の座に

054:商
古代史に「商王朝」の名隠れ無き「夏」を滅ぼして「周」に敗れる

055:駄目
駄目元と茸狩りへと出掛けしも季節外れの熊に襲はる

056:善
さいたまに善前と謂ふ地の在りて吾ら一年塞ぎ居りにき

057:衰
冬は来ぬ水衰へぬ機は熟すいざや出でなむ女族(アマゾン)狩りに

058:秀
秀でずも時には慈悲か汝が生の埋もれしままをまるごと愛す

059:永遠
歳時記に岸と謂ふ語の無きことを哀しと詠みき君よ永遠なれ

060:何
「幾何学に王道無し」と言ふよりも「学問全てに王道無し」

061:獣
柔道は獣道ならむ?昨今の全柔連に不祥事絶えず!

062:氏
藤原の氏の長者の道長の紫式部に振られた噂

063:以上
穂村未満枡野以上は歌人ちゃん枡野未満は只のお遊び

064:刑
「刑部が詰め腹切れば済む事」と鬼の平蔵ひそかに思ふ

065:投
「投身に拠る自死か否かは不明?」との新宿署からの灰色報道

066:きれい
あなたから「きれいだね!」って言われたら私を全部捧げちゃうかも

067:闇
怨歌史の闇に華やぐ藤圭子 西新宿で投身自殺

068:兄弟
珠由良ブラザーズ≪正真正銘オカマの三兄弟≫新宿にてニューハーフクラブを営む

069:視
勲二等大警視川路利良霊位青山墓地に埋葬

070:柿
柿の実の半ば捥がぬに冬に入る捥ぎし半ばの皮を剥き居り

071:得意
得意げにお手を捧げて待つクロの性(さが)厭はしく餌を与へず

072:産
産業道路沿いに建ってる家だった俄か造りの平屋であった

073:史
「希臘史が好きさ!」と言えば俺様のインテリジェンスが認められるかも?

074:ワルツ
ワルツ好き!ルンバは嫌い!土俗的音楽趣味の奴ら大嫌い!

075:良
選良と謂う語も既に死語となり国会議事堂不良の巣窟

076:納
お馴染みのお納所坊主の慶安がぞろり笑って下帯を解く

077:うっすら
うっすらと頭の上に霜を置き八千草薫は春の陽を浴ぶ

078:師
東武にも京急にも在る大師線 終着駅にはお大師様が

079:悪
勝新も田宮二郎も今は亡く『悪名』にのみ其の名を残す

080:修
世良修蔵 悪逆無道の名を取りて阿武隈川原で斬首されたり

081:自分
曝すべし!自分史の闇!抉剔せよ!青春の恥部そして涙を!

082:柔
柔弱な青春野郎をぶっ飛ばせ!七十路を意気稜々と往け!

083:霞
辿り来し徳本峠の霧の晴れ霞沢岳に虹の立つ見つ

084:左
景鄂院紫陵日輝居士贈正四位橋本左内諱綱紀       

085:歯
朴歯履き弊衣破帽の青年が明智小五郎とされていた頃

086:ぼんやり
ぼんやりと頬杖突いているだけで考える人と言われる辛さ

087:餅
「正月は餅こをずっぱり搗きてえな」爺さまと婆っぱと寝物語する

088:弱
弱法師梅の匂ひを通はせて七日施行の闇に顕はる

089:出口
出口無きアベノミクスの行く末や?一億二千の民の喪亡!

090:唯
唯円の聴き書きならむ?『歎異抄』、「善人なほもて往生を遂ぐ」!

091:鯨
鯨飲と呼ぶには少し大袈裟か?久保田の萬寿一気飲みせり!

092:局
「美人局」ツツモタセではありません。局長さんほか局員みな美女。

093:ドア
国蝶のオオムラサキの軍団が回転ドアを潜ろうとした

094:衆
五月晴れ 衆人環視のお堀端 カルガモ親子が無事に引っ越し

095:例
例題の数値を替えて出題す満点続出化学のテスト

096:季節
季節柄雨が多くて蒸し暑し圓楽師匠の下顎に黴

097:証
証文に五両三分と記したり身体を質に入れたる代価

098:濁
湧水の濁ることなき真心に君と誓はむ永久の愛

099:文
文化庁初代長官今日出海天台院住職今東光の愚弟

100:止
止めど無く溢るる詩魂うたごころ題詠百首只今完走

完走報告
沢水の汲めど尽きせぬ歌ごころ題詠百首此処に完詠