原作:シャーロット・ブロンテ
脚本・作詞・演出:ジョン・ケアード
作曲・作詞:ポール・ゴードン
翻訳・訳詞:今井麻緒子
音楽スーパーバイザー:ブラッド・ハーク
出演
屋比久知奈(ジェーン)上白石萌音(ヘレン) 井上芳雄
春野寿美礼 仙名彩世 樹里咲穂 大澄賢也 春風ひとみ ほか
あらすじ
1800年代ビクトリア朝のイギリス。ジェーン・エアは孤児となり伯母(ミセス・リード)に引き取られるが、いじめられ不遇な幼少期をおくる。プライドが高く媚びることをしないジェーンは伯母に嫌われ、寄宿生としてローウッド学院に行くことになる。そこは規則が厳しく自由がなくジェーンは教師たちに反抗的であった。ただヘレンというかけがえのない友に出会い、「信じて許すこと」を学ぶ。しかし彼女は病気で死んでしまう。成長したジェーンはローウッド学院で教師をしていたが、自由を求めて家庭教師として学院を出る。ジェーンは、広大なお屋敷の主人、エドワード・フェアファックス・ロチェスターの被後見人・アデールの家庭教師となる。
主人のロチェスターは孤独で少し皮肉で謎めいた男だが、ジェーンは自分と共通する何かを感じる。この出会いが自分の人生を大きく変えていくことになるとはまだ知らない。夜になるとこの屋敷には女性の幽霊が現れ、そして大きな運命の歯車が動き出す—
橋本さとしさんと松たか子さんの
初演、再演と観てきて、今回は井上芳雄さんのロチェスターを楽しみにしていました。チケットは激戦でしたが、なんとかGETできたのは前が通路のK列。ラッキーでした✨
オンステージシートの皆様はロビーに集合し、案内されていました。なんか統一感あるなあと思ったら、そのお席は黒っぽい服というドレスコードがあり、マスクも黒いものが配られていました。客席について納得!皆様黒ずくめのため、暗めの舞台に溶け込んでいるではありませんか。白黒ストライプのシャツのお嬢さんには、スタッフから黒い布を渡され体に巻いていました。こんなのはじめて!
今回はタイトルロールのジェーンとその親友ヘレンを屋比久さんと萌音ちゃんが交互に演じます。今回のジェーンは屋比久さん、ヘレンは萌音ちゃん。
ご両親を失い、孤児となって親戚に引き取られたものの、冷遇され、あげく施設に預けられ、そこでも嘘つき呼ばわりをされて辛い思いばかりのジェーン。ただひとり優しくしてくれたヘレンは「許す」ことの大切さをジェーンに教えます。どんなにつらいおもいをさせられても「許す」ことで神様のところに行けると。
曲ったことが大嫌い。なんでも白黒はっきりさせたいタイプのジェーンには衝撃的だったと思います。私もどっちかといえば言いたいことが口からするっと出るタイプなので、このヘレンの姿勢が胸にささりました。そうか。。許し、微笑む。許し、微笑む。。できるかしら
ロチェスターの館で少女アデルの家庭教師となり、やがて主人ロチェスターにとってもかけがえのない女性となっていくジェーン。が、しかし。このロチェスターという人物も女運がないというか、家族運がないというか。。。なんとも無惨😢
結婚直前で秘密が暴かれ、ロチェスターの元を去るジェーン。新たな相手が?と誰もが思ったところで自分の本当の気持ちに気付くあたり、屋比久さんの演技が本当に切なく、ぐっときてしまいました。うまいなあ。。超小顔の屋比久ジェーンの隣で、井上ロチェスターがすごく大きく見えました。井上くん、すごい包容力。この中の人は愛人作ったり(アデルは愛人の子らしい)しないだろなあと思ったりして
最後に不幸すぎる事件によって廃墟のようになった屋敷跡で再会し、再生に向かうふたり。希望を感じるラストでした。
ミュージカルですがダンスはなく、キャストが交互にナレーションをする構成がとても素敵。上質の文芸作品を読み切った気分になりました。