pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

新演出 ミュージカル「マリー・アントワネット」@帝国劇場1階F列センター

2018-10-25 20:17:57 | 観劇/コンサート

脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出:ロバート・ヨハンソン

マリー・アントワネット:笹本玲奈
マルグリット・アルノー:昆夏美
フェルセン伯爵:古川雄大
オルレアン公:吉原光夫
ルイ16世:佐藤隆紀

駒田一/彩吹真央/坂元健児/彩乃かなみ 他

【あらすじ】

18世紀、フランス。国王ルイ16世統治の下、飢えと貧困に苦しむ民衆を尻目に王妃のマリー・アントワネットを筆頭とする上流階級の貴族たちは豪奢な生活を満喫していた。
パレ・ロワイヤルで開催された豪華な舞踏会で、圧倒的な美しさを誇るマリーは愛人のスウェーデン貴族・フェルセン伯爵とつかの間の逢瀬を楽しむ。夢のような舞踏会の途中、突然飛び出した貧しい娘・マルグリット・アルノーは民衆の悲惨な暮らしについて訴え、救いの手を求めるが、返ってきたのは嘲笑だけだった。マルグリットは貧しい人々に目もむけず、自分たちのことしか考えない貴族たちに憤りを覚え、やがて貧困と恐怖のない自由な世界を求め、フランス革命への道を歩み始める。
マリーはヘアドレッサーのレオナール、衣裳デザイナーのローズ・ベルタンを抱え込み、最先端のファッションの追及に余念がない。が、宝石商のべメールから無数のダイヤモンドが散りばめられた高価な首飾りを売り込まれるも、国家予算が逼迫する中、さすがにその申し出は断らざるを得なかった。
同じ頃、それぞれの理由で国王夫妻を失脚させようと企むオルレアン公、革命派の詩人ジャック・エベール、そしてマルグリットは王妃に関する嘘のスキャンダルを流す。マリーがべメールの持っている首飾りを欲しがっていたことに目をつけたオルレアン公の権謀術数によって、かの有名な「首飾り事件」を引き起こす。やがてその波紋は広がり、王室に対する民衆の怒りと憎しみは頂点に達するが、国王夫妻には、革命への警告も耳に届かなかった。
やがて革命の波はベルサイユにまで押し寄せ、国王一家は囚われの身となる。マルグリットは王妃を監視するため王妃の身の回りの世話をすることになる。敵対関係にあったマリーとマルグリットだったが、やがてお互いの真実の姿を見出してゆく。フェルセンは愛するマリーと国王一家を救うために脱出計画を立てるものの失敗し、一家はパリに幽閉されてしまう。
やがてルイ16世はギロチンで処刑され、最後まで王妃の傍にいた友人・ランバル公爵夫人も暴徒に襲われて命を落とす。マリーは公正さに欠ける公開裁判にかけられ、刑場の露と消える。今まで王妃に対する憎しみを原動力にしてきたマルグリットは、地位も、夫も、子供も、全てを奪われ、必要以上に痛めつけられている等身大の王妃を間近で見て、真の正義とは何か、この世界を変えるために必要なものは何か、自分に問いかけるのであった…。


2006年の初演から12年もたつんですね~あの時マルグリットを熱演していた笹本玲奈さんが王妃に昇格とあれば、見に行かなくては!フェルゼンは古川くんだし

とか言いながら、秋は大忙しでろくな情報収集もなしのまま帝劇へ。緞帳のMAのロゴが燃え上がってさあ!???え?いきなり彼が?!ここはカリオストロじゃないの

今回はオープニングで世界を回す勢いの錬金術師カリオストロも、狂言回しのボーマルシェ、マルグリットの理解者である修道女アニエスもいないんですね素晴らしい名曲は他の方が歌っていたいしますが。。。

そうか。これは新演出バージョンだった。演出家も栗山氏ではなく、韓国版の演出家ロバート・ヨハンソン氏にかわっていました。

そのぶん、フェルセン伯爵の登場場面が増えています。古川くん、歌声ものびやかになり、説得力があります。軍服がよくお似合い!濃紺のマントも素敵ノーブルさがきわだって、釘付けですそして、ルイ16世の佐藤さんの歌が素晴らしいこの方も皇帝陛下とか国王とかよくお似合いですが、今回は派手好きで浪費家で奔放な妻をうまくコントロールできない気弱で心優しい国王をまっすぐ演じていて心にしみました。(しかし、良妻に恵まれない役が続きますねえ。。)

抑圧された市民代表マルグリット、昆さん、また歌がうまくなりましたあんな小さな体なのに、劇場を圧倒する歌声ただ、今回はアニエスが出ていないので、マルグリットの暴走をなだめたり理解したりする存在がいなくて、彼女は終始孤独を抱えたまま突っ走っている印象が強かったです。アニエスの存在って、大きかったのにな。「本当にいいの?それでいいの?」と言ってくれる存在、大事ですよね。もしかして彼女もちょっと伯爵のこと好きだったのかな?と思える場面あり。

笹本アントワネットは、絢爛豪華な時代はちょっと気張りすぎな感じがしましたが、全てを失い、公開裁判でボロクソなののしり方をされてもなお、王妃としての、また母としてのプライドを失わずその凛とした姿が素晴らしかったです。人としての成長を見ました。

オルレアン公、吉原さん。山口祐一郎氏のあとを継ぐのはこの方だ!と確信する押し出しと貫禄、そして色気。次はバルジャンもひかえていますね。とっても楽しみです

 

 


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清泉女子大学第14回演劇講座 松岡和子先生講演会

2018-10-15 20:58:18 | シェイクスピア

シェイクスピア戯曲の翻訳家、松岡和子先生の講演会に行ってきました  初夏にここで受けたシェイクスピア講座で米谷先生が予告していた講演会です。

新訳ができたばかりというヘンリー5世のお話が楽しみ講演会は、この女子大の演劇概論の講義の一環ということで、当然のように女子大生たちも一緒。内緒でケーキ持ち込んでるお嬢もいました

米谷先生の進行で講演会が始まり、松岡先生登場シェイクスピア戯曲の全てを翻訳する松岡先生って、どんな方かと思ったら、ほんっとうに素敵な女性でした。

米谷先生にも感じたことですが、この方も根っからシェイクスピア作品が大好きということがびしびしと伝わってきました。

「この講座に臨むにあたって、米谷先生にどういった話をすればよいかを伺ったら、この前NHKの番組に取材されたことのほとんどだったので」と、実際その番組をプロジェクターで流してマクラにしちゃうというのも軽やか

映像に映し出された松岡先生の仕事場は、圧倒されるほどにシェイクスピアの資料で埋め尽くされ、紡ぎだされる台詞へのこだわりっぷりの半端なさが伺われます。

いただいた資料にあったハムレットの台詞

King.   How is it that the clouds still hang on you?

Hamlet.  Not so, my lord, I am too much in the sun

についても坪内逍遥訳から河合祥一郎訳まで、松岡先生の訳を含めて8通りの翻訳があり、「これでいい」というまで練りつくす情熱と探究心のすごさに感動しました翻訳に行き詰ったら、何度も何度も原文でその台詞を書き写してみる。すると、書くという行為によって思考が手に伝わり、シェイクスピアの思考を追うことができるというお話も興味深かったです。「タイプで打っちゃう作家さんのはだめかもね」というのもなんとなく納得しちゃいました。

ご自身が過去に訳された台詞も、納得がいくまで練り直すのだそうで、松岡先生自身が以前に訳されたハムレットの台詞

A little more than kin, and less than kind

は、2016年以前は「血の繋がりは濃くなったが、心の繋がりは薄まった」だったものが2016年のジョン・ケアード版からは「近親関係は深まったが、親近感は薄まった」と、いう言葉がひらめき、シェイクスピアのこだわる「韻」を大切にしたそうです。そして、「この新たな台詞を語った記念すべき最初の俳優は内野聖陽さんです!」と、少女のように微笑みながら仰った松岡先生ステキこのワクワク感が先生の原動力なんでしょうね、きっと。「そういうのって、どういうときにひらめいちゃうんですか?お風呂の中とか?道歩いているときとか?」と聞いちゃう米谷先生いいわ~

松岡先生がシェイクピアの全訳を試みたきっかけはやはり蜷川氏との出会いだったということで、米谷先生の鋭い質問。蜷川幸雄氏と吉田剛太郎氏の演出の違いは?には、蜷川氏は大胆な演出をしても、上演時間に合わせてカットすることはあっても絶対にテキストをいじらない。解釈を加えない。

剛太郎氏は上智大で原語でシェイクスピア劇をがんがんやっていたこともあり、イギリスの演出家のように場面をシャッフルしたり、複数の人物をひとりにまとめたりと、自由に動かすのだそうです。ただし、蜷川氏からバトンタッチされた第1作アテネのタイモンでは、蜷川氏の演出を踏襲するオープニングの演出などを用いて敬意を払っていることが感じられたというお話をされました。

最新訳「ヘンリー5世」は、国内で湧き上がる国民の不満を、国外に攻撃すべき敵を作って打って出ることによって逸らしてしまえという為政者の姿が描かれているという意味において非常に今日的な作品だと。そして、今回はフルーエリンの訛りを日本の、過去にも現在にも虐げられた感のある、あの地方の方言にしちゃおうとしているそうです。楽しみヘンリー5世、抽選申し込みしました!あたりますように!

前回の講義でも感じましたが、本当にこんなにわくわくする授業なら、いつまででも聴いていたいです。仕事を全部引退したら演劇論の聴講生になりたいな。

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奈々福の、惚れるひと。@あうるすぽっとB列センター

2018-10-10 22:53:17 | 落語・講談

講談ばかりか浪曲にまでジャンル広げてどうすんのよ~という自分ツッコミしながらも、喬太郎さんと松之丞さんという、今ほんとにチケットとれない2人の出演に心惹かれてついチケット買いました

この会は、玉川奈々福さんという若い女性浪曲師の方が だ~い好きな芸人さんを選ぶという、あうるすぽっとの新企画とのことで、今回は記念すべき第1回なんだそうです。なるほど。

で、しょっぱなは奈々福さんの浪曲。来年早々、神田松之丞くんが何日もかけてぶっ通しで語るという慶安太平記から「善達三島宿」。浪曲と講談は、ふか~い関係にあるそうです。奈々福姐さん、すごい迫力!伸びのある力強いお声!「たっぷり!」という声もかかっていました。

奈々福姐さんは喬太郎さんには惚れまくってるとのことですが、松之丞さんは「講談に暗いやつが入ってきた」くらいにしか思わなかったとか。。。でも、すごい勉強家だとほめてましたよ

確かに松之丞さんはすごいです!若いけど迫力も客つかみもばっちり!町コンに参加して惨敗したというマクラから呉服屋の若旦那を装った盗人と純な町娘の恋の、ちょいと危険な道行き、素敵でした~

そんな松之丞くんに私服のダサさをいじられた喬太郎師匠は長野から帰ってきたばかりでちょっと疲れてるかもと言いつつも、渾身の新作「稲葉さんの大冒険」 几帳面で決めたとおりに行動したいサラリーマン「稲葉さん」とは、喬太郎さんの師匠、さん喬さんの本名

その稲葉さんが町で配られた風俗の、いわゆるエロティッシュを受けとってしまい、それをなんとか始末しようとして災難に巻き込まれるというめちゃくちゃアクティブな新作もう、笑った笑った この噺の中では犬の大嫌いなおじさんが嫁に言われてしぶしぶ犬の散歩をしながら稲葉さんにおせっかいを焼くんですが、会場には実際に2匹盲導犬がきていて、その子たちは本当にもの音もたてずにじいっと飼い主さんに寄り添っていました。なんとおりこう。

喬太郎さんの落語が素晴らしいのはもちろんのこと、松之丞さんが本当に素晴らしくて、来年の「慶安太平記通し語り」もいきたくなっちゃいましたこまった。。。

 

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こまつ座 母と暮せば@紀伊国屋ホールR列下手

2018-10-07 22:12:45 | 観劇/コンサート

監修:山田洋次
作:畑澤聖悟
演出:栗山民也
出演:富田靖子、松下洸平

あらすじ

1945年8月9日午前11時2分、長崎医科大学
に通う福原浩二は長崎の原爆で跡形もなく被爆死した。それから3年後、その助産婦を営む母・伸子のもとに原爆で被爆死したはずの浩二が亡霊となって現れる…


井上ひさし氏の構想を元に3年前に山田洋二監督が映画にした「母と暮せば」を、今度はこまつ座が舞台化。映画では吉永小百合さんと二宮和也くんの名演が光っていました。黒木華さんの存在も切なかった今回は富田靖子さんと松下洸平さんのふたり芝居でしたが、映画を見ていたおかげで台詞の中にしか出てこない登場人物のイメージが浮かび上がりました。

富田靖子さんは大林信彦監督の作品でよくみていたので映画の人というイメージでしたが、2時間半、息もつかないようなおびただしい台詞を淀みなく、情感たっぷりに演じていました。富田さんが医大生の母?と思ったことが恥ずかしいくらいでした。

敬虔なクリスチャンである母は長崎原爆という途方もない災いによって息子も、仕事も、生きる力さえも奪われます。同じ信者たちが「これは神の摂理かもしれない」ととらえる中、「違う。これは人間の仕業だ!」と言い切る姿に信念と絶望の深さを感じました。

生きる気力さえ失い、既にこの世の人ではない息子に「連れて行って」と頼む母。でも、息子は母が生きることを願います。映画では亡き息子の恋人が新たな人生に踏み出す時に、母と息子が寄り添って旅立つというラストでしたが、舞台版では医学生だった息子が母を必死で生かそうとします。もう、涙 この結末のほうがずっといい。

ずっとそばにいてと懇願する母に、「僕も父さんも、おばあちゃんも、いつだってみんな母さんの傍にいるよ。」と話す息子。そうかもしれない。亡くなった懐かしい人たちは、忘れないでることでいつだって近くに感じることがでいるのかもしれない。そんなことを思いました。

入口には井上先生のお写真が。「いい作品ができましたよ。さあ、どうぞ」と言っているようでした。



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ジャージーボーイズBLUE前楽@シアタークリエ15列センター

2018-10-02 22:46:44 | 観劇/コンサート

脚本:マーシャル・ブリックマン&リック・エリス
音楽:ボブ・ゴーディオ
詞:ボブ・クルー
演出:藤田俊太郎

<キャスト>
フランキー・ヴァリ:中川晃教
トミー・デヴィート:伊礼彼方
ボブ・ゴーディオ:矢崎広
ニック・マッシ:spi

ボブ・クルー:太田基裕
ジップ・デカルロ:阿部裕
ノーム・ワックスマン:畠中洋

綿引さやか、小此木まり、まりゑ、遠藤瑠美子、大音智海、白石拓也、山野靖博、石川新太


もうすぐ終わってしまうジャージーボーイズ。今回はBLUEチーム。初演にはREDチームを観たので、これで赤白青コンプリ!

今日もクリエは熱かったです。9月30日夜には台風で休演になってしまったことを思うと、こうして観られることが有難い。平日昼にもかかわらず満員御礼でした。

今回は中央通路より後方でしたが、この通路でトミーが小芝居していたり、フランキーが客席ドアから登場するのが観られてお得な感じ。伊礼くんのトミーは白チームの中垣内くんよりももっとドスの効いたチンピラ風味で、この方が皇太子ルドルフやったなんて考えられない怖いお兄さんでした。歌声はさすがの安定感。ボブ・ゴーディオの矢崎さんはREDで見た初演よりずっと歌声が伸びやかになっていて、Wキャストの海宝くんにも引けをとらない。と、私は思いました。小顔で長身この方もボブの育ちの良さを感じさせて余りある感じがしました。お初のSpiさんはちょっと固さも感じましたが、トミーとフランキーがあわや乱闘!?となった時、すっと2人の間に体を滑り込ませて防ぐ、さりげない姿がなんだか萌えました

ハーモニーのバランスも素晴らしかったです。わくわくしました。先日、BSで中川くんが由紀さおりさんと司会した番組でフィンガー5の「個人授業」を歌い上げた時、作曲家の都倉俊一さんが「中川さん、子どものキーで歌い上げてましたね!素晴らしい!さすがミュージカルの人!」と絶賛してましたけれど、本当にすごい。やはり天才ですね。一緒にテレビを観ていた夫も、「この人、ほんとにうまいなあ」と、つぶやいていました。そうよ、そうなのよ!

「君の瞳に恋してる」を歌うとき、アッキーの指先がすっと上がると、それに呼応したかのようにミラーボールがまわり、劇場中にその光がちりばめられますその美しい魔法に、誰もがうっとりそう、これはもう魔法の域です待ってました!と誰もが思う瞬間を共有できる幸せをかみしめました

トミーが無計画に莫大な借金をして、それを返済するためにメンバーは様々な犠牲を払うわけですが、162,000ドルって、一体どのくらい?と思ったら、当時のレート1ドル=360円の固定と考えると大体58,320,000円・・・・現在の貨幣価値に換算すると数億になっちゃうのかも。利子がついて一体いくらになったんですかね よく完済しましたねええらい!

客席前方に、やたら目立つメガネにオレンジのキャップをかぶった大柄の男性がいて、福田雄一さんかしら?と思ったら、REDでニック役だった吉原光男さんでした。カーテンコールでも客席からノリノリで踊っているのをメンバーに見つけられ、ステージに上げられてました吉原さんのニックまた見たいです!ちょっともったいないけど。(バルジャンだしね)

女性用トイレにはこんな表示が。楽しい!

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