それは昨夜のことでした。しばらくぶりの友人から、LINE.
「ねえねえ、今でもお芝居とか行ってる?」
もちろんよ~なかなか足が洗えなくてねなどと答えると、
「あのさ、新作の歌舞伎みたいのの招待券もらったのすっかり忘れててさ、あなたなら行くかと思って。歌舞伎座なら行こうと思ったけど、演舞場みたいなのよ。行かないんだけど、あなた行く?」
な・・・・なんですと新作の歌舞伎みたいので演舞場って、まさか阿弖流為
「あ~そう読むんだ。なんか中国か韓国の話?」
ちゃうちゃうちゃう!蝦夷の話!行く行く行く絶対行く
・・・・・と、いうわけで、まさしくタナボタ的な展開で、急遽本日マチネの演舞場に行かれることになりました。明日はもう東京楽なので、チケットは手に入らないからDVDでも観てようかなと思っていたので、天にも上る気持ち神様!ありがとう
3階はさすがに高く、役者さんは遠いですが、舞台の奥の奥までよ~く見えました。蝦夷の集落や、阿弖流為と立烏帽子が佇む橋の下を流れる川なども。
川と言えば、阿弖流為が蝦夷の村に戻った時に蛮甲がエア鮭(観客にはみえない)をすくいあげて阿弖流為に投げ渡すシーンでは、阿弖流為が鮭をしゃーっと裂く動作で、「きれいにサケたさあ、酒だ酒だ!」とシャレを連発してモレの新吾さんに拍手もらってました。ここ、毎回アドリブみたいですね明日が楽ということもあってか、そこここに遊びが入って役者さんたちも楽しそう。
今回は阿弖流為、田村麻呂はもちろん素晴らしいのですが、七之助さんから目が離せませんでした。とにかく動きが美しい鈴鹿ちゃんの時には、足先までも女性そのもの。小さい細いおみ足。繊細な手先。鈴鹿と負傷した田村麻呂の場面では二人とも裸足ですが、ごつごつした田村麻呂の足と鈴鹿のほっそりした足が対象的で、本当にこのふたりって兄弟と思うほどでした。
とにかく鈴鹿ちゃんの「大和と蝦夷、仲良くはできないものか・・」に泣かされ、立烏帽子がアラハバキの神の本性を見せ、田村麻呂と和議を結ぼうとする阿弖流為にいらだち「何故、私のために戦わない!ならばさがっていろ!」と阿弖流為を退けるシーンに泣かされ、蛮甲を助けるために自分を犠牲にするくまこに泣かされ、おそらくは戦いの火を消すためライバルの手にかかる阿弖流為に泣かされ、最後のねぶた祭りのシーンで幻のように佇む鈴鹿と阿弖流為の穏やかな微笑みに泣かされたひとときでした。
いや、それにしても立ち回りの迫力、染五郎・勘九郎の大見得合戦、藤原稀継の坂東 彌十郎さんの貫録、亀蔵さんの自由自在。。。もう、大阪遠征しちゃいたい気持ちを必死で抑え込んでます。
カーテンコールも何回も続き、最後の方で染五郎さんが悪役・黒縄の橘太郎さんをしきりにセンターに寄せたかと思ったら、客席から「金太郎!(たぶん)」と声がかかりました。田村麻呂からも劇中で「あの五月人形!」と言われてましたね。個人的には金太郎より鍾馗様だろうと思われ。なりやまない拍手で次に幕が開いた時にはその橘太郎さんが広い舞台にぽつんとひとりぼっちでこれには大爆笑。今日はソワレもあるからね。まだまだ観ていたいけど、私の千秋楽はこうして幕を下ろしたのでした。こんな貴重チケットをあっさりくれたSちゃん、本当にありがとう!このお礼はたっぷりするからね