pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

おらおらでひとりいぐも/若竹千佐子

2018-01-28 14:09:03 | 私の本棚

最近は手軽な短編ばかり読んでいましたが、ひさびさにはまった一冊を一気読みしました。

寒くて体が縮こまっているせいか、自転車で滑るのが怖くて徒歩が多くなったせいか、肩こりMAXになり、マッサージに行きました。そこで流れていたのが何かを受賞した作家さんのインタビュー。おっとりとしたいかにも主婦っぽい話し方なれど、「人は家族がいても、わいわいと賑やかにしていても、それは紛らわされているだけで本当は孤独なもの。自分の中にいる何人もの自分を見つけ、対話して友達になることが必要」といった内容が妙に心にひっかかり、radikoで番組情報を調べてそれが「おらおらでひとりいぐも」で芥川賞を受けた岩手出身の若竹千佐子さんとわかりました。

先日も天声人語にとりあげられていたものの、書き写した時には「永訣の朝」を連想した程度だったのですが、やはり作者の肉声って強いですね。もうそうなったらスイッチ入っちゃって、すぐに書店に走りました。

アマゾンでは出荷待ちになっていたその本は、あっさりレジ横に「銀河鉄道の父」とともに積んでありました。

いきなりの東北弁。夫には先立たれ、子どもも独立し、74歳、ひとり暮らしの桃子さんが、自分の中のたくさんの自分と対話し、自分の人生というものを振り返りつつ孤独を前向きにとらえていく、わかりやすいかといえばそうでもない、かなり観念的と感じられる部分が多い作品ではありますが、私にはものすごいツボな部分がたくさんありました。

過去の若竹さんのインタビューなどを見ると、作家自身、27歳で結婚して50代半ばで夫と死別しています。27年間は娘の時代、次の27年間は妻としての時代、そしてあとの27年間はひとりの時代と、くくっています。娘の時代は親の支配の下、妻の時代は夫の副班長(この表現ウケた)あるいは応援団。今は全てから解放された自分自身の時代だと。作品の中でも最愛の夫は心筋梗塞であっという間に逝ってしまいますが、誤解を招きかねない表現であるけれど、夫は私に自由な生き方をさせるために解放してくれたのではないかとさえ感じることがある。という話が妙に胸に落ちました。

それでも、作品中の桃子さんは孤独に押しつぶされそうになると病院へ行き、誰彼かまわず話しかける。それもわかる。そういうおばあさんはいつも待合室で見かけます。「かわいいお子さんですね、いくつ?」とかね。

現実部分と心の中のたくさんの自分との対話で構成されていますが、現実の(自分との対話だって現実ですけれど)部分では娘の「老い」にぎくりとしたり、息子を騙るオレオレ詐欺に遭ってお金をとられたり、また娘に借金を頼まれて断った際に「どうせお母さんはお兄ちゃんのほうがかわいい」と捨て台詞を吐かれたり、かなりリアルで、特に娘が桃子さんに「買い物して行ってあげようか?どうせもう〇〇ないでしょ?」といったさりげない会話に、おお!うちとおんなじと、まるで私と母のことか?!(借金は頼まないけど)と思える部分が多くてこわいほどでした。いつも元気印なのに、ちょっとどこかが痛くなると不安でいっぱいになるのもおんなじ。

自分の中のたくさんの自分と対話する。桃子さんの場合は出身地の岩手県、遠野の言葉で。

作家の夫は脳梗塞が直接の死因となっているけれど、それが原因の自動車事故で亡くなったそうです。50代半ばで、2人の子どもを抱えた専業主婦。どんなにか大きな不安に押しつぶされそうになったことか想像もつきませんが、きちんと自分の心と向き合い、どう生きるべきかを整理し、こうして「老い」の前向きな強さを表現できるのはものすごいことだと思いました。そして、それを語りながらも「なんだかえらそうなこといっちゃいますけど」「なんていったらいいかうまく言えなくてごめんなさい」と笑ったり、柔らかさや謙虚さを忘れていないお人柄にもすっかり魅了されました。

ひとり暮らしを続けている私の母は、「今が一番幸せだと思う。年取って、自分がこんなに幸せな気持ちで暮らせるのは本当にありがたいこと。」と、最近よく言います。日中はデイサービスにでかけたり、ご近所が寄ってくれたり、私も家族もできる限りの手助けや見守りをしているつもりだけれど、ひとりの夜はやっぱり寂しいだろうなと申し訳ない気持ちでいる私にとっては救いの言葉ではあります。桃子さんのように誰に気を使うこともなく自由を楽しんでいるのだと思いたいです。

自分を励ますのは自分。工藤直子さんの「のはらうた」にある詩を思い出しました。


おまじない         
             みみずみつお


こわいとき となえる
おまじないがある
じぶんにむかって
こういうんだ

「おい、ぼくよ
ぼくがいるから
だいじょうぶ
ぼくがいるから
だいじょうぶ」

すると
ぼくがふたりいるみたいで
げんきになる

 

 

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黒蜥蜴@日生劇場1階K列センター

2018-01-24 23:03:50 | 観劇/コンサート

ふたたびの黒蜥蜴。今日は1階席。やっぱり近い。2階席も全体がよく見えていいですが、臨場感はやはり1階ですね。

表情もよく見えて、緑川夫人の美への飽くなき欲求と狂気が伝わってきました。

中谷美紀さんが本当に半端なしの熱演でした。ふと、この役、麻実れいさんだったらどういうふうになるかな~と思ってしまいました。そしたら明智は。。知的で色気がある、麻実れいさんと並んでオーラで負けない人だれかしら。内野さん!どうでしょう!

ロビーには 今、話題の越路吹雪さんのお写真もありました。

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黒蜥蜴@日生劇場2階D列下手

2018-01-21 21:44:31 | 観劇/コンサート

原作 江戸川乱歩 
脚本 三島由紀夫 
演出 デヴィット・ルヴォー
出演 中谷美紀. 井上芳雄. 相楽樹. 朝海ひかる. たかお鷹. 成河. 他

あらすじ
一代で財を築いた宝石商・岩瀬庄兵衛は、娘の早苗を誘拐するという脅迫状に脅え、私立探偵の明智小五郎を雇う。大阪のホテルに身を潜める父娘の隣室には、岩瀬の店の上客である緑川夫人が宿泊していたが、実は彼女こそ、誘拐予告をした張本人の女賊・黒蜥蜴。

黒蜥蜴は、部下の美しい青年・雨宮を早苗に紹介すると見せかけ彼女を奪い去ると、そうとは知らずに犯人を警戒し続ける明智の前に、何食わぬ顔で現れる。クールでいながら、「犯罪」へのロマンティックな憧れを隠さない明智に魅入られた緑川=黒蜥蜴は言う。
「要するにあなたは報いられない戀(こい)をしてらっしゃる。犯罪に對(たい)する戀(こい)を」。

明智はすかさず切り返す。
「でも己惚れかもしれないが、僕はかう思うこともありますよ。僕は犯罪から戀(こい)されてゐるんだと」

自信に満ちたその態度を裏打ちするかのように、明智は見事に早苗を奪還してみせる。が、黒蜥蜴は怯まない。美の狩人・黒蜥蜴VS.名探偵・明智小五郎の勝負は、報われない結末に向かってさらにヒートアップしてゆく……。(公式HPより)


美輪明宏さんのあまりにも有名な「黒蜥蜴」は怖くて見られずなんで江戸川乱歩先生の明智小五郎が三島由紀夫の作品にでてくるんだろう。。。くらいの無知っぷりで劇場へ。

つまり、江戸川乱歩先生の小説を三島由紀夫先生が戯曲にしたということなんでございますのね。(緑川夫人風)

デヴィット・ルヴォーの演出はなんとも美しく、オープニングの、どこでもドアが乱舞(なんのこっちゃ)する場面から惹き付けられました。刑事コロンボのように、はじめっから犯人がわかっていますが、黒蜥蜴と明智の官能的な対決がかなり魅惑的でくらくら。中谷さんがすごい!まあ美しいこと!背中のぐぐっと開いたドレスも、大きなお帽子も、眠れる森の美女に出てくる魔女マレフィセントのようなドレスも完璧な着こなし。そして膨大な台詞も歯切れが良く、聞き取りやすい。そしてすごい迫力。そりゃ、どんなにしたってあの美輪さんと比べられるに決まっていますが、私は全然OKだと思いました。

そして何と言っても明智小五郎、井上くん!変装シーンもありますが、深く帽子をかぶっていようが、売店のおじさんだろうが、文盲の召使いだろうが、あの長い長~い足と完璧なスタイルを見れば、おばちゃんは「あれ、絶対そう!」と、見破ってしまえるのでした明智先生も、かなりエロっぽい描写あります。すりガラス越しに。あれはフランスっぽい!とか勝手に思いました。演出の力ですかね、やはり。黒蜥蜴と明智が並ぶと本当に美しく、まるで宝塚のようでした。

成河くんの雨宮も狂気を含んでとても良かったです。黒蜥蜴への屈折した愛とあこがれ。。。

相良樹さんは、とと姉ちゃんにご出演の時とはまったく違ったキャラで、最初彼女だとわかりませんでした。本物の令嬢と偽者がどこで入れ替わったのかちょっとわかりにくい部分もありましたが、イメージの中で流れのように理解するということを求められている感じでしょうか。一幕はもうちょっとめりはりがあるとうれしいかも。お隣の席のお嬢さんは爆睡しちゃってましたから。。。でも、いろんな意味で三島らしい耽美的な舞台でした。

上流社会、屈折した愛、美しい物だけを求める美しいご夫人、私立探偵。金田一耕助もシャーロック・ホームズもコナンくんも濱マイク(笑)も私立探偵ですけど、私立探偵が浮気調査や身元調べ以外で犯罪捜査に活躍したことって、リアルにあったのかなあ、な~んて余計なことも考えてしまいました。

帰り道、有楽町へ向かって歩くと、幻想的なイルミネーションが光っていました。

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めでたい北斎~まるっとまるごと福づくし@すみだ北斎美術館

2018-01-21 21:09:02 | ミュージアム

今年お初のなかよし女子会は、近年話題の北斎作品を集めた美術館。浮世絵師葛飾北斎とその周辺の作家のコレクションながら、外観は写真のとおり、超近代的建造物です。前に開けた公園には子供も上って遊べるロープタワー。富嶽三十六景に因んだ富士山を模しているのかも。最近は西洋美術館でも北斎が影響を与えた西洋の画家の美術展が開かれたり、テレビでも特集を組んだりしているので、混んでいるかも。。。と思いましたが、そんな心配もなく、ゆったりと見学することができました。

驚いたのはその緻密さと美しさ。そして遊び心弟子たちへのお手本には、コンパス状の器具や定規を用いた動物の描き方や、一筆書きなどもありました。タッチパネルを多用したり、面白い解説をつけたり、展示の仕方もユニークで、これは浮世絵にはあまり興味を持ちそうも無い子どもや若い人たちも惹きつける見せ方だと感心しました。また、北斎と娘の創作風景を模した超リアルな人形があったり、最後におみくじを引けたりするのも楽しいなんだかんだで2時間近く見入ってしまいました。しまった!ランチの予約ぎりぎり!

ランチは駅近の第一ホテル両国。ここでゆ~っくりごはんを食べてたくさんおしゃべり。元気もらいました

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近松心中物語@新国立中劇場1階6列センター

2018-01-16 20:06:57 | 観劇/コンサート

  



作:秋元松代
演出:いのうえひでのり
美術:松井るみ
照明:原田保
音楽:岩代太郎
振付:尾上菊之丞

出演:堤真一、宮沢りえ、池田成志、小池栄子、市川猿弥、立石涼子、小野武彦、銀粉蝶、大久保祥太郎ほか

【あらすじ】
時は元禄。大阪新町と言えば、一夜の悦楽を追い求める男たちが集まる遊郭街。小道具商傘屋の婿養子・与兵衛(池田成志)が、折り合いの悪い姑お今(銀粉蝶)に追い出され、ある廓に身を沈めていた。もともと気弱で、うだつのあがらない亭主だが、女房のお亀(小池栄子)にとっては、所帯をもってもなお、恋い焦がれる相手。行方知らずのダメ亭主を案じ悲しむ娘をみかねて、姑お今が自ら与兵衛を連れ戻しに新町にやってくる。

「二度とこの男を廓に近づけないでくれ」と周囲に念押ししながら、連れ戻される与兵衛。そんな与兵衛とは対照的に、廓に縁のなかった飛脚屋亀屋の養子忠兵衛(堤真一)は、店の丁稚が拾った封書に一分の金が入っていたため、親切心から、その差出人の槌屋平三郎(小野武彦)を訪ねて新町に足を踏み入れてしまう。そこで偶然出会った飛脚仲間の八右衛門(市川猿弥) の強い誘いも振り切り、店を立ち去ろうとする忠兵衛。だがその時、店には、出先から戻って来た遊女・梅川(宮沢りえ)が…!

何かに打たれたように、立ちすくみ無言で見つめ合う二人…。
その瞬間から、忠兵衛は憑りつかれたように梅川を追い求め、店の中へと消えて行く。

ある日、幼馴染の与兵衛のもとに、忠兵衛がやってくる。愛する梅川の見請け話が持ち上がっていて、養子の自分には自由になる金もなく、与兵衛に手付の金だけでも貸してくれと泣きついてきたのだった。

同情した与兵衛は、なんと店の金箪笥をこじ開けて、そこにあった大金を忠兵衛に渡してしまう。喜びいさんで新町に戻り、手付金を支払い安堵する忠兵衛と梅川だったが、運命は二人には微笑まず、更なる難題が…。そして、店の大金に手を付けたことで家を出た与兵衛と、それでも夫を慕い追いかける妻・お亀。

<忠兵衛・梅川><与兵衛・お亀>の崖っぷちの男女二組の運命は…?
あてのない逃避行へと向かう二組の男女の情念の行く末は…?(公式HPより)


「今ひとたびの修羅」以来の堤さんとりえちゃんの競演、とても楽しみにしていました。センターは5列が最前列なので、今日はなんと前から2列目のセンター。堤さんが目の前!年の初めで今年の運を使い切ったかお隣の席の2人連れは6列のチケットが本当にこんなに前でいいのか何度も確認してました。椅子の背にお席番号書いてありますってば。

この作品は平幹二朗さんや太地喜和子さんをはじめ高橋恵子さんや田中裕子さん、坂東三津五郎さん寺島しのぶさんなど名優たちが蜷川さんの演出によって何度も上演を重ねてきた作品です。堤さんと宮沢りえちゃんが現代の服装で横たわるポスターが、なんとなく「新生・近松」という雰囲気を醸し出しています。

舞台や衣装はポスターとは異なり元禄時代風。いくつもの赤い風車、廓を表わす格子にあでやかな色あいの色っぽい女郎たち。オープニングは蜷川演出を彷彿とさせる群集のエネルギッシュなダンスおや、ガブローシュ@レミゼラブルの大久保祥太郎くんのお姿も!若手は小顔長身のイケメンもいっぱいで、あの時代にはいないよね~とちょっと思ってしましました。そんな中、市川猿弥さんはばっちりその時代感をかもしてました

堅物だった忠兵衛さんが梅川にひとめぼれしたシーンは、本当に時が止まったよう。恋におちる瞬間が素敵どんなに好きでもお金を積まないと一緒にはなれないという、今じゃ考えられないような状況の中、捨て身な行動がふたりを死に導くわけですが、この2人の美しすぎる逃避行~心中に比べ、お亀(小池栄子さん)と与兵衛(池田成志)さんのコミカルさと死ぬに死ねないジタバタ感がとても良かったです。瞳をキラキラさせて恋に恋するような世間知らずのお嬢さんお亀と、情には厚いが全然潔くない、かっこ悪い与兵衛。ふたりの心中は成立しませんが、ぼろぼろになって生き恥を晒す覚悟で生を選ぶ与兵衛を見て、不覚にも涙が出てしまいました。このどこまでも人間臭い与兵衛、堤真一さんが演じたらどんなだっただろうと、ふと思いました。こっちの役のほうがおいしいかも。ふりしきる雪の中に真っ赤な襦袢の梅川と髷を振り乱した忠兵衛の心中は本当に絵画のようでした。映像で見た蜷川さんのこのシーンでは演歌が流れたような記憶がありましたが、今回は雪が全てを隠した後に石川さゆりさんの歌声が流れてとてもしっとりした場面になっていました。

中劇場の深い奥行きを十分に生かし、雪に覆われた真っ白な景色の向こうに燃えるような赤い遊郭が見え、とても美しかったです。

 

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志の輔らくごGINZA MODE銀座詣@観世能楽堂(GINZA SIX )正面14列目(ネタバレ注意)

2018-01-09 22:18:50 | 志の輔らくご

昨年6月の観世能楽堂杮落とし公演志の輔らくごat NOH THEATERでご縁ができたのでしょう。PARCOが工事中で昨年はさみしいお正月となりましたが、今年の正月志の輔らくごは まさかの観世能楽堂再び!

今回はGINZA-SIXらしくGINNZA MODEにひっかけて「銀座詣」というタイトルです。今回もなんかスタイリッシュ

能楽堂なので、脇正面、中正面、正面のどの席からもちゃんと見えるように綿密に角度を決めたという高座。14列からでもしっかり届きました。銀座の能楽堂という場所だからなのか、はたまたお正月だからなのか、しっかりしたスーツ姿の方や、お着物の方が目立ちました。昨日が初日、このあと10公演続くということなので、ネタばれ対策で改行します。これから行かれる方はご注意を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この能楽堂の成り立ちや構造の意味などの話題の後は「買い物ブギ」。この新作落語は何度聴いても面白い!同じブランドの住居用洗剤になんで「トイレ用」「お風呂用」「全部に使える用」があるのかっていう視点て、そうだよねえってつい思ってしまいます。日常に転がってますね。笑っちゃうこと。ドラッグストアの店内が見えるよう。

おなじみ松永鉄九郎さんのお三味線や長唄でゆったりして中入り。

2席目は「と~ふぃ~・・・」おお!徂徠豆腐だ。この噺を聴くと、「無償の親切」「物事を一面的にとらえてはいけない」ということを考えさせられます。江戸の大火で全てを失った豆腐屋さん夫婦に朗報がやってくるお正月。一陽来復あらたまの春と、志の輔師匠が言ったとたんにもうお正月の風景が目の前にぱあっと広がる感じがしました。落語ってすごい。「からすカアで夜が明けて」で朝になっちゃうのもすごいですが、この言葉でこれからこの夫婦にはきっと良いことがおきるに違いないという希望のようなものが導き出された感じがしました。貧しい時代の荻生徂徠をさりげなく支えたお豆腐屋さん夫婦に訪れる至福のお正月

「親切はやがて自分にかえってくる」といつも口癖のように言っていた叔母様を思い出しました。

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特撰落語名人会@江東区文化センター1階最前列上手

2018-01-05 20:46:02 | 落語・講談

新年最初の落語会は、ここ数年恒例となった さん喬師匠のお膝元、東陽町江東区文化センター。

遠いし、今年はどうしようかなあと考えていましたが、端席ながら最前列がぽろっと出たので迷わずGETしました。

やっぱり行ってよよかった!さん喬師匠は円朝作でめったに高座にかからないという 福禄寿。子を思う親心にしんみり。こういう美しい所作を伴う人情噺でしっとり泣くのはほんとに気持ちよいです。

白酒師匠のチクリと毒気のある替わり目もよかったし、白鳥師匠のインド人の蕎麦屋も破壊的に楽しい!

そして、トリの菊之丞師匠の芝浜よかった~おかみさんの所作が本当にきれい。菊之丞師匠の落語は、あの「昭和元禄落語心中」を彷彿とさせます。モデルなのかもしれませんね。寒かったけれど、大満足でした!さて、来週はいよいよ久しぶりの志の輔師匠の高座行きます!

 

 

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2017年総括

2018-01-01 00:22:52 | 雑感

新年戌年になりました。喪中につき、祝辞は控えさせていただきますが、皆さま、今年もよろしくお願いいたします。

チャンネルは格闘技ファンの家族に乗っ取られ、神の粋なお計らいで、思いもよらずミュージカルの名曲を聴きながらの年越しとなりました。幸せ~

昨年の総括。

体力も気力も財力も衰えてきたので、かなり自粛のはずが、数えてみるとそうでもありませんでした

どの舞台もみな興味深かったのですが特に印象深かったのは

 

ミュージカル

 レミゼラブル
 ビッグフィッシュ
 Beautiful
 屋根の上のヴァイオリン弾き

コンサート

 中川晃教コンサート

バレエ

 Kバレエ「ジゼル」

ストレート

 陥没
 フェードル
 欲望という名の電車
 謎の変奏曲
 にんじん
 アマデウス
 アテネのタイモン

ストレートでは、何と言っても大竹しのぶさんの凄さに圧倒された一年でした。3作とも心揺さぶられました。

落語もいっぱい行きました。特筆すべきはやっぱりブリューゲルBABEL展でしょうか。あんなに心惹かれた美術展はめったにありませんでした。

さて今年も1月から観たいお芝居がいっぱい!がんばるぞ!

 

 

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