pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

最貧前線@世田谷パブリックシアター1階I列センター

2019-10-11 21:56:38 | 観劇/コンサート

原作:宮崎駿
脚本:井上桂
演出:一色隆司

キャスト
内野聖陽、風間俊介、溝端淳平 / 佐藤誓、加藤啓、蕨野友也、福山康平、浦上晟周、塩谷亮、前田旺志郎 / ベンガル

あらすじ
太平洋戦争末期、小さな漁船・吉祥丸に徴用の知らせが届く。ほとんどの軍艦を沈められた日本海軍は、来襲するアメリカ軍の動静をなんとか探ろうと、漁船を海に駆り出して、海上で見張りをさせようとした。

特設監視艇となった吉祥丸に乗り込んだのは、元々の漁船の船長と漁師たち、そして艇長とその副官などの日本海軍の将兵たち。航海経験に乏しい軍人たちは、鯨を敵潜水艦と間違えたり、嵐の予兆を察知できなかったり、海の職人である漁師たちとことあるごとに対立してしまう。やがて軍人たちは、漁師たちの知識や行動力に一目置くようになり、徐々にお互いに信頼感を芽生えさせていく。しかし、戦況は厳しく吉祥丸は海の最前線ともいうべき南方の海域に、わずかな武器を携えて急きょ派遣されることになってしまう。果たして、吉祥丸は帰って来られるのだろうか・・。


迫りくる台風19号の影響にドキドキしながら三軒茶屋へ。まだ風雨もたいしたことなく、濡れずに劇場に着けました。サンジェルマンでおいしいパンを。。。と思いましたが、台風に備えてかパンを買うのもすごい行列。当然のように東急ストアも買い物客でいっぱいでした。

さて、最貧前線。宮崎駿先生の作品らしく、ジブリ感いっぱい吉祥丸のイラストの向こうに船内の構造が浮かび上がってなんとわかりやすい

敗戦色が濃くなった日本海軍の苦肉の策として小さな漁船吉祥丸が駆り出されるわけですが、海軍の将兵と漁船の乗組員たちの意識の違いが大きく、それぞれの「大事にするもの」の違いによって船には緊張感が走ります。

それでも、行動をともにするうちに少しずつ少しずつ距離が縮まり、最後は互いの力によって最大の窮地を乗り越えます。

もう、もうね、内野さんが素晴らしすぎるそれぞれに事情を抱えてこの船に派遣されたらしい海軍さんたちに、この船の船長として、人として大切なことを素朴な東北弁でとつとつと語る姿が、もう、本当にすごい説得力だし、黄泉の帝王やら稀代のプレイボーイ・マクヒースやら、スーツ姿がばしっと決まる政治家から、端正な役を山ほど演じてきた内野さんが、本当に泥臭い(漁師だから魚臭いかな?)東北の漁船の船長さんにしか見えないところがまじすごいです。腰を落とした後姿が決まってるのなんの。そして誠実で優しく、重みのある言葉にうたれましたそして最後の山場では、誰よりも勇気のある力強さ大爆発!もう、戦闘機を撃ち落す場面では本当に手に汗握ってしまいました

溝端淳平さんもいいです蜷川先生の薫陶を受け、本当にすてきな役者さんになりましたね~デビューしたてのころの甘い感じはみじんも見せない、堂々たる海軍さん。普段は口角も下げ気味で厳しい表情ですが、ふっと自分にかえって「会いたい人がいるんだ。いろいろあって今は会えないけど」と、漁船チームの無線士さんに家族の写真を見せて涙する姿に思わずもらい泣きでした。「ヘンリー5世」でも、にこりともしない堂々たるフランス皇太子を演じていましたが、こういうノーブルな役が本当に似合います。バラエティ番組で見せていたアイドルみたいな笑顔とはまるで違う、時折見せる遠慮がちな微笑みがまた素敵でした。

それから漁労長のベンガルさんがいい味だしてます。見習い役のまえだまえだの前田旺志郎くんも。素朴で純粋でまっすぐな少年。彼はこういう役が本当に似合ってます。「いだてん」でもがんばってますね。

この作品、アニメやプロジェクション・マッピングも多用して迫力満点ですが、船の上で揺れる姿も、転換する吉祥丸も、すべて人力。そのバランスが絶妙です。

「命を大切に」というメッセージ、しっかり受け取ってきました。

明日は前楽なれど、台風の影響で休演とのことです。大きな被害が起きませんように。今日は寄り道しないでまっすぐ帰りました。

 

ふと思いました。お隣のトラムでは堤真一さんが死と乙女やってるし、三茶に内野さんと堤さんと段田さんがすぐ近くで1度にお芝居してるって、ある意味凄い!三茶恐るべし。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミニチュア猫ハウス作ってみました。

2019-10-05 22:01:31 | 手仕事

まだまだ暑いんですが、芸術の秋ってことで。

先日、新宿の東急ハンズで、素敵なプロヴァンス風のおうちのキットを見つけたので、早速組み立てて猫たちを置いてみました。小物も市販のものと自作の物を組み合わせ、楽しいのなんの。最初は左半分だけのハウスでしたが、キットの入っていた袋にあった製造者の方にお願いして、右半分のキットも作っていただきました。そして完成!エントランスと裏口のあたりはこんな感じ。

   

室内の腰板は、紙バンドを切ってペタペタ。エントランスのレンガは薄い木片に色をつけてペタペタ。一番苦労したのはティーセット。猫たちともども紙粘土で作って極細の筆で絵付け。暖炉の薪に使ったあまりの細枝は、藁ひもで作ったホウキの柄にしてみました。(中学の時、家庭科に薄布と棒でハタキを作る授業があったので、そのやり方を思い出して。。って、トシがばれます)驚くべきは速乾木工ボンドの進化!床板も屋根もドアも、すぐにしっかりくっつきました。

夢中になりすぎて、またまた睡眠不足になりそうです

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第57回大手町落語会@日経ホールL列センター

2019-10-05 21:49:29 | 落語・講談

大手町落語会にはずれなし。今日もおおいに笑わせていただきました

特に兼好師匠のマクラのラグビーネタには大爆笑

ラグビーの良さはじわじわくる。そして今夜はサモアに大勝利!ますます話題沸騰ですね。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コスモス

2019-10-04 22:52:57 | 手仕事

さだまさしさん作の「秋桜」先日、井上芳雄氏がラジオで歌っているのを聴いて涙。。。心を打つ詩と歌声、すばらしい

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

死と乙女@シアタートラムE列上手

2019-10-02 22:06:40 | 観劇/コンサート

【作】アリエル・ドーフマン
【翻訳】浦辺千鶴
【演出】小川絵梨子

【出演】宮沢りえ 堤真一 段田安則

【あらすじ】

独裁政権が崩壊したばかりのある国では、旧政権の弾圧や人権侵害の罪を暴く調査委員会が発足。
かつて反政府側で闘っていた弁護士ジェラルド(堤真一)は、その委員会の中心メンバーに指名される。
その妻ポーリーナ(宮沢りえ)も学生運動に身を投じていたが、過去に受けた拷問のトラウマに苦しんでいた。

ある嵐の晩、車の故障で立ち往生したジェラルドは、偶然通りかかった医師ロベルト(段田安則)に助けられ、彼の車で送られてきた。そして、ロベルトの声を聞いたポーリーナは凍り付き、やがて確信する……。
この声、この笑い方、この香り。かつてシューベルトの「死と乙女」の調べを流しながら、目隠しをした自分を繰り返し凌辱した男だと…。かくして、ポーリーナの激しい追及と復讐が始まった。必死に潔白を訴えるロベルトと、妻の思い込みを疑い説得するジェラルド。

それぞれの心の中にあるのは、狂気なのか真実なのか…。


「この国に必要なのは正義なんだ」

というジェラルドの言葉が印象的でした。いや、凄い舞台を観てしまいました。

反体制活動への厳しい弾圧の中、捕まって拷問・陵辱を受けたことに強いトラウマを抱えるポーリーナ。彼女を支える優しくて有能な夫。ある日偶然、彼女のトラウマの張本人(と、思われる)男が自宅へ。。。

あまりの衝撃に暴走し、壊れていくポーリーナ。宮沢りえが凄い!美しい顔を歪め、震え、怒鳴り散らし、ロベルトを追い詰め、汚い言葉を投げつける。彼女に振り回される夫ジェラルドと医師ロベルト。ジェラルドもまた彼女が解放され、彼の元へ駆け込んだ時に、既に彼女を裏切る行為があったことが露見。。。

もう、修羅場とはこのことです。彼女の壮絶すぎる過去の記憶がロベルトの来訪によって蘇り、怒りを爆発させ、もう自分でもどうしたいのかわからなくなっている彼女、嘘か真実か、いきなり拘束され死の恐怖を舐めさせられる医師、妻をなだめ、大事にならないように収めようとして収められない夫。

いったいどうすりゃ気が済むのと言いたくなる混乱・暴走・罵詈雑言の嵐。これをもろに受けるロベルトも、正体が最後までわかりません。本当に彼が当事者なのかどうかも。段田さんうまい。少しの隙も矛盾もない。「ほら、やっぱり犯人じゃない」と思わせるところがひとつもない。夫ジェラルドも、なんとか彼女を犯罪者にしないように、刺激しないように心を砕きますが、そんなことでは収まらない妻。「怒りの連鎖はどこかで断ち切らなければいつまでたっても終わらない」と説得する夫に、何故自分ばかりがいつも被害を蒙らなければならないのかと叫ぶ妻。その連鎖を断ち切るために我慢するのは私かよ。。。という慟哭。やばい。わかるかもしれない。その気持ち。ジェラルドもまた、必死で妻を説得しているうちに、ふと自分を守ろうとする衝動が見えかくれします。え?いい人じゃなかったの本音はそこか その微妙な心のひだを表現するような堤さんうまい!「俺だって人間なんだ!」って、そこで言ってしまうのはだめ

妻の怒りの原因のひとつは自分の行動にもあるというジェラルドの後ろめたさとやりきれなさ、この狂犬のようになった妻の存在がもたらすかもしれない自分の将来への暗雲。。。どうすれば。。。と、閃いた方法も、最終的には地雷となってしまうという始末。もう、出口なし

暗転の後に訪れた穏やかなコンサート会場のひと席に座る医師は、生きた人間なのか、はたまた幻なのか、いろいろな解釈ができるラストでした。・・・凄すぎて、しばらくぼーっとしてしましました。

「組曲虐殺」の小林多喜二とポーリーナの姿が重なってしまいました。自由にものが言えず、言ってしまった人間には酷い仕打ちが待っている。平和がやってきても、えぐられたその傷は癒えることがない。

そんな世の中に二度となりませんように。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする