pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

レオポルトシュタット@新国立中劇場1階13列センター

2022-10-25 20:48:33 | 観劇/コンサート

脚本:トム・ストッパード
演出:小川絵梨子

出演:浜中文一、音月桂、村川絵梨、土屋佑壱、岡本玲、浅野令子、木村了、那須佐代子、泉関奈津子、内田健介、太田緑ロランス、椎名一浩、椙山さと美、鈴木勝大、鈴木将一朗、瀬戸カトリーヌ、田中亨、野口卓磨、松本亮、万里紗、八頭司悠友

あらすじ

20世紀初頭のウィーン。レオポルトシュタットは古くて過密なユダヤ人居住区だった。その一方で、キリスト教に改宗し、カトリック信者の妻を持つヘルマン・メルツはそこから一歩抜け出していた。街の瀟洒な地区に居を構えるメルツ家に集った一族は、クリスマスツリーを飾り付け、過越祭を祝う。ユダヤ人とカトリックが同じテーブルを囲み、実業家と学者が語らうメルツ家は、ヘルマンがユダヤ人ながらも手に入れた成功を象徴していた。しかし、オーストリアが激動の時代に突入していくと共にメルツ家の幸せも翳りを帯び始める。大切なものを奪われていく中で、ユダヤ人として生きることがどういうことであるかを一族は突き付けられる......


恋におちたシェイクスピア、アルカディア、ほんとうのハウンド警部、今まで観たどの作品も素晴らしく、知的好奇心をくすぐりまくられるトム・ストッパード。

今回はホロコーストに巻き込まれるユダヤ人家族の50年の物語ということで、こりゃ予習なしでは置いてきぼりにされること間違いなし。。ってことで、早速悲劇喜劇トム・ストッパード特集を買い込み、脚本を読み込みました。

読み進む上で出てきたのは知らない用語の数々。シナゴーグはなんとなくわかる。セデル?アンシュルス?ヤムルカ?シャコー帽?クニッシュ?ブリス?バルミツバー?スマホ頼りにいちいち検索ボケ防止ボケ防止

悲劇喜劇に載せられた時代的背景などもとても参考になり、幸せな家族のクリスマスから始まる50年の物語を、深い深い言葉のシャワーを存分に堪能させていただくことができました。

舞台は座席9列まで潰して10列が最前列。舞台と客席最前列は同じ高さで、すごい広がりを感じます。周り舞台によって画面が効果的に転換します。

ユダヤの血を受け継いでいるというだけで蔑まれ、全てを奪われる人々。少し前までには同じオーストリア市民だった者から踏みつけにされ、抵抗すら許されないという状況そのものに胸が締め付けられ、正に今、ウクライナで繰り広げられている惨状を思わずにいられませんでした。自分の家族の継ぐべき資産を他の誰にも渡さないようにと恐るべき方法をとったヘルマンに驚くとともに、それを知った時の妻や息子の感情を思うと複雑なものがありました。父ヘルマンも息子ヤーコブも自ら命を断ったことを思えば、その秘密が一層彼等をくるしめたようにも思います。秘密を知っていたのか知らなかったのか、肖像画の中で微笑む妻グレートルか本当に美しかったです。モデルとなった「黄金のアデーレ」の映画もみたいと思います。

最後まで生き延びた3人の回想に浮かび上がる、幸せな時代の家族の情景に、涙が止まりませんでした。

二階席は学校観劇の学生でいっぱい。終演後にはみんな家系図を写していました。若い彼等がどう感じたのか、聞いてみたくなりました。

コメント
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