Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ホモのチャイコフスキーは?

2013-12-24 | 文化一般
ヴァレリー・ゲルギレフというロシアの指揮者がいる。二十五年ほど前からその噂については聞かされているが、生で聞いたことは無い*。聞く予定もない。その評判に拘わらずその音楽に興味がないからである。ティーレマンなどもよく似た状況だが、こちらは来年三月に聞く予定だ。

そのペテルスブルクの指揮者がロンドンのコンサート前に大デモンストレーションをやられたのは速報で流れていたが、プーティンとの繋がりでの反対運動と聞いていたので、それには触れなかった。プーティンの独裁や人権無視もシナのそれと同じように批判するのは容易いが、なかなか複雑な裏事情があるからである。EUがソチのオリムピックボイコットなどをするのは賛成だが、先日の恩赦などでそれなりに対応しているから、東京の安倍内閣より外交的にはましかもしれない。

さて木曜日の新聞に載っている情報は、2015年からミュンヘンのフィルハーモニカーの指揮者になるというこのロシア人へのデモがミュンヘンでも行われたことで、その真意はロシアの同性愛法への西欧同性愛者の怒りという。それならばミュンヘンのオペラ支配人の言葉ではないが、とても「芸術の核心」に関することなので、触れない訳にはいかない。

支持しているSPDが公聴会などを開いて市民の反感を抑えようとしたようだが、それどころかこのロシア人は「そのロシアの法は反同性愛ではなくて反ペドフェーリア」としてプーティンの立場を支持したようである。そして、子供たちにはそのようなことよりも「プーシキンやモーツァルトを語って欲しい」と主張したものだから「チャイコフスキーは?」と突っ込まれた。

ホモセクシャルは「伝統的なライフスタイルではない」からと主張する。まるで極東の政党の綱領のようである。このような音楽家は西欧では働けない。国家主義だからか、保守主義者だからか、人権を無視しているからか?

そういうことではないのである。指揮者といえども芸術家の文化人の端くれである。そして音楽を通じて様々な芸術的な主張をするのである。その行為を通じて、現在の社会の趨勢や人々のライフスタイルに無頓着であってはなんら人々の知性や感性に直接話しかけることは不可能なのだ。少なくとも芸術家は、そうした文章化されていないような時代の雰囲気を芸術という形で表現しなければ芸術ではないのである。

なぜこの指揮者の音楽に興味をひくことが無かったかは、この指揮者の振るコンサートのプログラムやオペラ公演の出し物、そして音楽家から聞いた練習風景などの情報から、全く無頓着で知能の低い指揮者と知っていたからである。伝統伝統と主張する輩は、伝統という歴史の流れを知らないからこそ、時代錯誤の感覚しか持ち得ていないのである。これは政治家でも同じである。

言い換えると、こうした人物は固定観念中で生きているので、自分が生きている環境から閉ざされているのである。たとえ自身が保守主義者であろうが、信仰的な主義主張を大切にしていても、環境を感知していないこととは違うのである。それでもそうした主張を押し出すのはイデオロギーでしかないのである、そしてそれを人に押し付けようとする。そのような人物が芸術家や文化人面をしていてはいけないのである。

これで2005年から新任の代替案への具体化が進むのは間近ではないだろう。それにしても、このミュンヘンの交響楽団ほどチェリビダッケの後もレヴァインの辞任などと頻繁に問題が起きる楽団も少ないだろう。

そしてゲルギエフは、政治と芸術の独立を主張しているが、今時そのような単純な言い方をする外貨稼ぎの出稼ぎ者がスター指揮者として活躍しているのが、如何に音楽やオペラの世界が商業主義の世界かであるかということを証明している。新聞にあるようにそこは 決してホモセクシャルの世界だけではないのである。

*実は十五年ほど前にザルツブルクで「ゴドノフ」を聞いていて完全に忘れていた。勿論アバドの指揮ならばそのようなことは無かっただろう。


参照:
映像の賢い使い方 2013-11-10 | マスメディア批評
塀の中に零れる泡銭文化 2008-11-23 | マスメディア批評
オーラを創造する子供達 2007-09-24 | 文化一般

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2 コメント

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ゲルギエフ (ラブワイン)
2014-01-15 17:59:13
レパートリーが多くて世界中を飛び回って指揮活動も多忙な指揮者ですよね。
数年前にマリインスキーの来日公演で彼の振る「指輪」があって、神々の黄昏だけ聞きに行ったんですが、乱暴で雑な指揮ぶりにそのあとしばらく体調を崩したくらいです。
顔つきも好きじゃないし(笑)、今後も聞かないでしょう。
あっ、ティーレマンは結構好きですよ(笑)。
ドレスデンではイタリアもん振ったりしてるらしいですが(あまりその評判はよくないみたい)。
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「顔つきも好きじゃない」 (pfaelzerwein)
2014-01-16 02:22:56
顔つきからすれば、アーノンクールも悪相ですが、彼のやっていることは長い時間を掛けて理解されてきましたね。スター指揮者になった最初のイドメネオなどは古楽器奏法などで雑な感じを抱かせたのですが、こちらが慣れたこともありますね。

その点、このロシア人に慣れることがあるとは思われないのです。その音楽は又聞きでしかありませんが。

ティーレマンは、その主義主張や物言いなどは別にすると、楽員の話からだけでなく、最初の頃からすると大分色々なことを身につけてきたのは間違いなく、こうして初参戦へと私も乗り出すのです。ブルックナーの五番ですから、ある程度は想像はついているのですが、シュターツカペレをどれだけ鳴らすことが出来るのか興味津々です。
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