Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

後ろ向きに考えてみれば

2014-01-26 | ワイン
先日パン屋への坂道を走らせると、二人連れの子供がいた。夕方であったからあまりよくは見えなかったが、どうも後ろ向きに坂を上がっているように見えた。サイドミラーで確認すると間違いなかった。もしかして、彼らもちびまる子ちゃんにあるように、「後ろ向きで坂を上ると疲れない」と思って試していたのだろうか。

つまらないワインを飲むには、人生は短すぎると文豪は言ったが、つまらないにワインを書くのはそれ以上に無駄である。しかし、後ろを振り返ってみて過去の過ちを繰り返さないためにも、肝に銘じるためにも書き残す。2007年産シリーズである。ここで登場は半辛口のザールのリースリングである。当時、フォルストを訪れていた、離婚前のシュロース・ザールシュタイン醸造所の奥さんと初対面して、2007年産は特別だと言うことで対面販売で購入したものである。結論からすれば、時間が経てば辛口のようになるというのは誤りで、寧ろ甘くなっていた。酸が引っ込んでしまっているからである。

原因は、最早わかっている、酸が十分に分解していなくて、シュペートレーゼと呼ぶにはあまりに早めに収穫されていて、リンゴ酸などが飛んでしまうからである。要するに瓶熟成に耐えるようなワインではなかったということである。要するに、いつもの半辛口ワインで、安物のワインだった。

シュロース・ザールシュタイン醸造所が駄目な醸造所だと認識したのは最初で最後の訪問の時だったが、旦那はどうも葡萄の酸の分解や熟成には興味がないようで、寧ろ醸造所内でのケミカルの使い方に興味があるようだった。彼が習ったワイン醸造というものがそうしたもので、その後もあまりブドウの栽培には興味が向かなかったものと思われる。

酸が十分に分解していない一般的な半辛口は、腐りも少ないから、リンゴ酸が当初は効いていれば新鮮な清涼飲料酒として楽しめるのかもしれないが、それだけの価値しかない。直に酸が落ちてしまうと、残された糖が目立つだけで、古い梅酒と同じシロップに近づくだけなのである。そこまでは甘くはないとしても、このようなワインをして、ザールリースリングだとか嘯いている者などがいることをあるのを考えると、如何にその酸の本質が十分に理解されていないかを知ることになる。

甘口のリースリングでも、貴腐とその酸の量感や分解などが見事に為されていない限り、瓶の熟成などはほとんど期待できなくて、倉庫の肥やしとなるだけなのである。本当に十年単位で瓶熟成の進む高級甘口リースリングを輩出する醸造所は実際は数えるほどしかなく、毎年その価値のある葡萄が収穫されているのではないことを知るべきなのだ。

半辛口は基本的には二年以内に消費すべきで、甘口の炭酸が残っているようなものも二年以内の消費が原則である。先ずは瓶詰め後二年以内に試してみれば、その耐久力は明らかになる筈だ。その時点で酸が引っ込んでしまっているものは飲み干すべきなのである。

その原則からすれば上のリースリングも、酸が十分に効いていたのは試飲した時ぐらいで、二年目に判断できなかったのは後の祭りである。この原則は辛口にも共通していて、二年目に酸が引っ込んでしまっているようなものは飲み干すべきで、最初に試飲した時にその酸の質で判断できることなのである。鋭く、鮮やかなリンゴ酸などが主体のリースリングは早飲みということで、試飲して比較すると誰でも分かるのである。そしてそのようなリースリングを買い込むと金をどぶに捨てるに等しい。更に倉庫の肥やしにすると含み損が増加するだけなのである。



参照:
新春の日常をじっくり味わう 2013-01-08 | マスメディア批評
古臭いことに拘るよりも 2012-11-19 | ワイン
継続的に体で覚えるもの 2008-08-28 | 生活

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