Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

高級リースリングの質を吟味

2009-10-25 | ワイン
昨晩はヘッセン州のエルステスゲヴェックス検査に落とされたバイケンの残りを飲んだ。前日のこれほど美味いリースリングはないと思わせるそれは一気に消え伏せていた。審査において24時間時間をおくことはないだろうが、強制的にエアーリングをデキャンタでさせて試飲するのだろう。要するに初日のバイケンの開いたような時点を本当に開いたと勘違いすれば、二日目のそれは酸化し易い還元醸造法のそれとなるに違いない。それが不合格となった理由と納得できた。

しかし、バイケンがエアーリングぐらいで一挙に開くワインならば愛好者などがいる筈がない。そもそもエアーリングで強制的に開くことが出来るグランクリュなどしかるべき期間を寝かして飲む価値も無いのである。フォルストのペッヒシュタインもその通りであり、ミッテルハールト地方のグランクリュでそんなものがあれば眉唾物である。そこにヘッセンのエルステス・ゲヴェックスとプファルツのVDPグローセス・ゲヴェックスのレヴェルの違いが存在するのだ。

その二日目の落ち方も、安物ワインによくある残糖感が目立ち可笑しな香りが漂ってくる腐りやジュースのように気が抜けてしまうそれと、只単に香りや華やかさが去って液体の中に塊となって華が閉じてしまうバイケンのそれとの差は甚だしい。わかんねェだろうナ!

ドイツで有名なグルメ誌ファインシュメッカーがミュンヘンの最高級ホテルバイエリッシャーホーフで2009年リースリング杯の授賞式パーティーを開くと案内状が来た。本年度の受賞五十醸造所が集い、立食パーティーが開かれるそうな。その参加者の顔ぶれを見れば所謂ドイツ高級リースリング醸造所の面々が出席しているのが一目瞭然である。日本の情報通の方にはいちいち挙げる必要もないだろう。

それでも気になるのが、バーデン地方のデュルバッハのそれなどは良いとしても全部でバーデンが七軒で水準以上の数がそこに含めれていることだろう。カイザースシュテュール周辺でそれほど良いリースリングはない筈なのだ。ザールから三軒、ルーヴァーから二軒、甘口のモーゼルから十二軒、ナーヘから四軒となっている。それに比較して、ラインガウの五軒は多いと見るか少ないと見るか?プファルツでは、ミッテルハールト四軒、それ以外で四軒は2008年の出来としては十分だろうか。フランケンから三軒も、ミッテルラインから二軒も妥当であろう。ヴュルテンブルク一軒、アールから一軒などというのもリースリングとは関係ないのではないか。ラインヘッセン三軒も許容出来るだろうか。

五百人のゲストが集いバンドをいれて夜中までパーティーは続けられるという。こうして案内を受けた醸造所の顧客は安くパーティー券が買える。ワイン栽培地から遠く離れたミュンヘンに住んでいれば冬のパーティーとして楽しいのかも知れないが、我々がミュンヘンまで泊まりに行く価値はないだろう。もちろん11月の初スキーを兼ねてと言うならば分からなくもないが。

そして今、2006年産ダイデスハイマー・ランゲンモルゲンの最後の一本を開けた。夕食に合わせて、少し熟成したものが飲みたかったのだが、早熟の2006年産にしてもグランクリュを開けるにはそれなりのいい訳が必要だ。それならばとピルュミエクリュに白羽の矢がたった。開けて大成功であった。試飲以降飲み惜しんで飲み頃を逃がし通しだったが、六本目にしてやっと追い付いた。

色は可也強くなっていて、完全に熟成段階に入っていることは視認出来た。案の定例の白檀香の甘露味の苦味が消えて、マスクメロンやら黄桃の味そして黒砂糖の虎屋の羊羹の味に変わっている。これならば女性にも奨められる。そして不思議なことにあれだけ低かった重心が高くなって、活き活きとして来ているのである。これは美味い。夕食は予定通り栗入りのザウマーゲンだ。2006年産はこれで無くなったが、2007年産は二本残っている。これだけで少し幸せな気分になれるのが嬉しい。



参照:
わかんねェだろうナ 2009-10-13 | 試飲百景
待てば甘露の日和あり 2008-08-19 | ワイン
森の泉の渋味の世界 2008-05-19 | ワイン
画竜点睛を欠かさない充実 2009-03-06 | 試飲百景
お好み詰め合わせのGC 2009-05-21 | ワイン
盛夏過ぎて、調子を落とす 2009-08-18 | 料理

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