名古屋から発するブログつぶて・凡人のひとりごと

身の回り、世間のできごとをを日記風に記す(紙つぶてならぬブログつぶて)。

名古屋城木造への復元 議会容認

2017-03-23 11:48:45 | Weblog
2017.3.23(木)
 名古屋城天守閣の木造への復元は河村市長の執念がとうとう実を結ぶ時が来たようだ。
木造復元の関連予算(基本設計費など)は三度の継続審査となっていたが、開会中の市議会委員会で、これまでは反対してきた自民、民進、公明の3党が条件付きで賛成に回り、基本設計費などの予算を賛成多数で可決した。報道によると反対は、共産党と造反した自民党の一部議員だったという。今日(23日)の本会議で可決される見通し。
 日本の城として国宝第一号であった名古屋城は、1945年5月14日の名古屋空襲で焼失し、1959年9月に鉄筋鉄骨コンクリートで再建された。以来50年以上が経過し、震度6強で倒壊の恐れありとされて、何らかの対応が求められてきた経緯がある。
 こうした状況のもと、河村市長は既存の天守閣を取り壊し本格的な木造天守閣構想を打ち出していた。なお空爆の際、本丸御殿も同時に焼失したが、これについてはすでに木造への改築が進行中であり、間もなく完了する。
 ところでこの天守閣の再建費用は、最大505億円の総事業費で、2022年12月の完成を目指すとしている。当初河村市長は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに間に合わせたいとの意向であったが、木造での再建自体の賛否両論が厳しくある中で、その完成を2年の延長で妥協してきた。
 そもそもこの木造への復元論議は、名古屋市議会において野党の立場にある自民、民進、公明3党が強硬に反対してきた経過があり、ここへ来るまでには長い紆余曲折があった。前述の通り、関連予算も3回継続されてきた。
 その理由は、500億円を超える事業費を名古屋城への入場料収入で賄うという収支見通しに無理があるというものであった。500億円といえば名古屋市の年間市税収入のおよそ1割に当たる巨費である。この金額は、入場者(現在およそ年間170万人)を2.5倍から倍以上に増やせば賄えるとしたものだが、過大見積りの感はまぬがれない。
 木造への復元は、そのこと自体を否定するつもりはないが、課題山積の中、今やることかとの意見は依然根強いものがある。
 今回も、審議継続かと思われていたが、議会は一転可決に踏み切った。4月23日に迫ってきた市長選のちょうど1か月前というタイミングである。河村市長は、再び継続審査か否決となった場合には、「専決処分」や市議会のリコールをちらつかせていたが、議会側としては市長選をにらんだ政局をおもんばかってしまった。
 そもそも今、木造復元したところで国宝となるわけではない。形だけ立派な天守閣を作ってもそれは400年前のレプリカに過ぎない。再建当初は目新しさもあって入場者がそれなりに増えることはありうるが、500万人近い入場者はどう見ても過大である。
 可決の条件として、事業費に税金は投入しないよう入場者数の目標達成に努力せよとか、市長の公約である市民税5%減税の見直しなど財源確保を図れという付帯決議がついたそうだが、誰も確約できるものではない。なん十年も先のことなど誰も責任を取らない。
 木造復元よりも、緊急を要する耐震補強をしっかり行い、山積している喫緊の課題に対処すべきではないかなど、もっともっと議論が必要である。