風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

遠藤太津朗

2017-04-16 03:34:55 | 名バイプレーヤー










いままで様々な「悪役」さんを紹介してまいりましたが、この方、遠藤太津朗さんこそ、「ミスター悪役」と呼ぶにふさわしい方ではないでしょうか。

よく通る大きな声に、独特の節のついたセリフ回し。単純に時代劇口調と言ってしまうにはあまりに「美しい」セリフ回しに、毎度聞き惚れていたものです。


大川橋蔵主演『銭形平次』では、平次のライバル、万七親分役で人気を博し、藤田まこと主演の土曜ワイド劇場『京都殺人案内』では藤田さん演じる音川警部の上司で、藤田さんとの軽妙なやり取りがなんとも見事でした。


芸達者な方で、悪役に限らず善人の役やコミカルな役、オカマの役でも見事にハマる(笑)。役者としての振り幅がとても広く、大変素晴らしい役者だったと思います。


『仁義なき戦い』のような現代劇でも、あの独特な口調そのままで強烈な存在感を発揮しており、本当に向かうところ敵無し。問答無用の名優でした。




藤田まことさんとは公私ともに仲が良く、その縁か必殺にもよく出演されておりました。悪役はもちろん、悪人のようにみえて実は善人の役とか、オカマに至るまで(笑)、必殺を盛り上げて下さいましたね。


必殺に限らず、この方のような役者さんがいて下さった御蔭で、往年の時代劇は本当に面白くしてもらったと思います。この方のような、「名悪役」の称号を冠するに相応しい役者さんが、今はいませんねえ。


時代劇がつまらなくなるわけだ……。



藤田まことさんの訃報にショックを受け、2010年以降は役者の仕事を一切受けなくなってしまったそうです。そうして2012年7月、心筋梗塞のため逝去されました。享年84歳。




遠藤さんには本当に楽しませてもらいました。今更ながら、心からのお礼を述べたい。

遠藤太津朗さん、本当にありがとうございました。


稀代の名悪役に、心からの敬意と哀悼を込めて

合掌。