風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

舞台版『幕が上がる』 Blue-Ray鑑賞記

2017-04-02 06:30:10 | ももクロ










舞台劇としての『幕が上がる』が上演されたのが2015年ですから、もう2年前です。2年越しの待ちに待った円盤化です。




なんか、色々説明しようかと思ったけど、うまく言葉にならないや。


もうね、セリフがガンガン入ってきて、心かき乱されて、2時間、作品世界に埋没して


今はもう、なにか、心地よい疲労感が残ってます。



劇中劇『銀河鉄道の夜』と、演じる彼女たちの心の葛藤がオーバーラップしていく脚本の見事さ。そしてなにより、ももクロをはじめとする演劇部員役の方々の素晴らしさ。


みんな真剣に、当たり前と言えば当たり前なんだけど、みんな真剣に、真摯に、真正面から取り組んでる、真正面からこちらにぶつかってくろ。

それがこちらの胸を打つ。





劇中劇『銀河鉄道の夜』は、ジョバンニとその友人で死者であるカンパネルラとが、宇宙を旅する物語です。

カンパネルラを演じている中西さん(有安杏果)は、東日本大震災の時、盛岡に住んでいたという新たな設定が加えられ、中西さんはそのときのトラウマから、あるセリフが言えなくなってしまう。


それをキッカケに、みんなが考え初めます。生きるということ。

命というもの。


あの時、岩手にいた人達はみんな考えたと思う。自分は何故生きているんだろう。命とはなんてちっぽけで、儚いものか。

でもだからこそ、大切にしなくちゃいけない。


内陸に住んでいる私はあの時、沿岸部で被害に遭われた方々に対して、とても「申し訳ない」気持ちになったのを憶えています。変な表現かも知れないし、ある意味とてもおこがましい言い方かもしれない。でも他に云いようがない気持ちだった。

幸いにも私の知り合いで、あの震災で命を落とした人はいませんでした。でも多くの方々が、親しい方々を、愛する方々を失った。



中西さんは語ります。『銀河鉄道の夜』は、友人カンパネルラを失くしたジョバンニが、それを受け入れていく物語なのだと。

受け入れるには、宇宙を一周するくらい時がかかる、と。



それでも、受け入れる他はないんだよね。



人生というのは不条理の繰り返しです。「何故?」「どうして?の連続だ。

それでも、人は前へ進んで行くしかないし、そのためには不条理を受け入れていくしかないんだろう。


生きるというのは、というより、「大人」になるというのは


どうにかしてでも、何としてでも


受け入れていくこと、なんだろうね。


少なくとも彼女たちは、そう感じたに違いない。


生きることに明確な答えなどありません。それでも人は、答えのない答えに向かって

ゴールのないゴールへ向かって進み続ける。


【舞台の上でなら私たちはどこまでも行ける】



終演後の演者さん達の、「やり切った」涙はとても美しい。

ある意味、あれが「答え」かもね。












舞台『幕が上がる』
原作・脚本 平田オリザ
演出 本広克行

出演

高橋さおり(さおり) 百田夏菜子

橋爪裕子(ユッコ) 玉井詩織

西条美紀(がるる) 高城れに

中西悦子(中西さん) 有安杏果

加藤明美(明美ちゃん) 佐々木彩夏


藤松祥子
多賀麻美
井上みなみ

芳根京子
金井美樹

伊藤紗莉
坂倉花奈

2015 PARCO