<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

白ユリの甘い匂いを嗅いだ

2012年06月07日 13時37分47秒 | Weblog
庭にテッポウユリが咲きました。いわゆる白ユリです。甘い匂いがはつなつの風に乗ってここへ流れてきます。

甘い匂いは、もちろん受粉をしてくれる虫たちに向けて発せられている、ということは自明なのですが、わたしもここで虫になります。欲張りかもしれません。
    
    *

「弥陀の五劫思惟の願をよくよく案じみれば、ひとえに親鸞いちにんが為なりけり」

阿弥陀仏は、親鸞ひとりを救おうという願いを五劫の間、思惟された。と親鸞は受け取った。

受け取った時点で即刻願いが成就したのである。即刻に親鸞が救われたからである。

    *

これが白ユリの甘い匂いである。これが姿を変えた五劫思惟の阿弥陀仏の意志である。

これを鼻に嗅いで、暁耀わたしは、甘く蕩(とろ)けてしまう。これで白ユリの本意が成就されたのである。

放つ者の意志と受ける者の意志が重なって、願いが完成されたのである。

    *

白ユリとわたしとが一直線に結ばれたのである。

阿弥陀仏の五劫の思惟とわたしとがたった一個の結び目になったのである。

わたしが受けなければ、白ユリはすかされてしまうところであった。

わたしがよろこばなければ阿弥陀仏の五劫はあやうくフイになるところであった。

    *

2012年6月7日午後2時。わたしを得て白ユリがはじめて白ユリになった。

白ユリの姿を取ってわたしの前にあらわれて、白ユリがたったひとりのわたしの眼の中で美しく咲いた。

    *

地球上には何十億人もの人が暮らしている。白ユリの甘い匂いを嗅ごう嗅ごうとして暮らしている。白ユリは甘い匂いを嗅がせよう嗅がせようとして咲いている。

「わたしがお先しました」と言ってわたしは白ユリとわたしの共通の願いを成立させた。

何十億人いてもそれぞれがひとりである。その何十億人が甘い匂いを独り占めして嗅げばいいのである。
コメント
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