仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

一杯のラーメン

2017年01月19日 | 日記
早朝のウオーキングの楽しみは、色々な妄想です。今日歩いていて、マンガの原作のストーリーが一本出来ました。忘れないうちに書いておきます

出版社に勤めている主人公のかおりは、会社から「ラーメン特集を組みから、企画案を一つ考えてくれ」といわれ、とりあえず、行きつけのラーメン店へお客の少ない時間を見計らって取材を兼ねて食べに行く。

ラーメン店の店主と、あれこれを話していると、店主が「私もまだ修行中です」という。かおりは「え、その年で、まだ修行ですか」と驚く。店主は「点数を付けるのは、お客さんですから」という。そして、その店主は修行時代のことを語る。
店主いわく、ラーメン作りを指導してくれた大将から「いのち終わって行く人が、最後の晩餐に食べたいと言ってもらえるラーメンをつくれ」と言われたことを大事にしている。かおりは「へー、その大将、お坊さんみたい」と目を輝かせる。
かおりは、ふと企画案を思いつく。「そうだ、ラーメンにまつわる思い出特集にしよう」
夜、とりあえず実家の母に電話して「何か、ラーメンに関わる思いではないか」と訊ねる。

母いわく。「子どもの頃、自分の誕生日は近所の中華店から好物の出前を取る。いつもお母さんのとっておきは、五目ラーメンでねー。何が懐かしいって、そんな小さな事で喜べる時代が良かったのよ」という。
かおりは友人にメールする。「ラーメンにまつわる思い出ってある?」。友人から返信がかえってくる。「子どものころラーメン店によく父に連れていかれたけど、行くのが嫌だった。でも嬉しそうにラーメンをすする父の横顔が思い出のなかにある…」

かおりは「へー、ラーメンよりも、時代とか家族が懐かしーんだ」と思う。

 かおりは翌日、ある食堂へ取材に行く。
かおりは「ラーメンに関わる思い出を取材しています」というと、店主は次のようなことを語ってくれた。
 「この当たりは商店街で、昼時はけっこう忙しい。出前もしている。そんなとき、一本の注文の電話があった。「一杯だと配達はしてもらえんやろか」
 電話対応をした娘は、ふだんから一杯の場合は配達を断っていたので、「すみません、一杯の配達は……」と言いかけたとき、「風邪ひいて、動けんのよ……」と続けて言った。娘は気の毒に思い、私にその旨を伝えてきたので「よし」と注文を受けた。その人は、時々夫婦で注文をしていた人だったけど、2年前に奥さまを亡くしていた。私が一杯のラーメンを配達したら、とても喜んでくださった。

それから2、3日経って忙しい昼時を越えて少し落ち着いたころに、どんぶりを持った一人のお嬢さんが来店された。どこか配達先のお客さんがわざわざ持ってきてくれたのだろうと思い、「すみません。ありがとうございます。失礼ですが、どちら様でしたっけと聞くと、「あのー」
 と少し言いづらそうに。「3日前、ラーメンを一杯配達してもらった○○です。この間はありがとうございました。父はとても喜んでいました。たった一杯なのに、忙しいなか親切に配達していただいたと感謝していました。そのあと父は体調が悪化し、昨日亡くなりました。最後に食べたのは、この一杯のラーメンでした。『おいしい、おいしい』と言っていたので、父は幸せでした。ありがとうございました」
 そのことがあってから、私は一杯のラーメンも配達するようになりましたと店主が言う。
かおりは、感動して「たかが一杯のラーメン、されど一杯のラーメン。ラーメンは奥が深い」と独り言を言う。
かおりは足取り軽く、ラーメンの取材に次の店に入っていく。(以上)

よし、骨子はできた、これをどう6頁に仕立ていくか。
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1 コメント

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Unknown (furu)
2017-01-19 09:07:17
どんな絵ができてくるか 楽しみですね
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