ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

低線量放射線障害「環境不適応症候群」

2011-06-25 | 放射能関連情報
 今、本当にいろいろな方から、たくさんのメールをいただいております。
 その中で、関東圏にお住まいの方複数から、福島の原発事故後「疲労感・倦怠感」「体力の低下を感じる」というメールが届きました。これは原爆症の一つである原爆ぶらぶら病にとても似ているそうです。
 他にも「頭痛がする」「喉が痛い」「目の下のクマが取れない」「常に口内炎ができている」「鼻血が出る」などの症状がある、というメールをいただきました。
 福島県在住のお子さんにもそのような症状が出ていると新聞(6月16日付の東京新聞)でも報道されているそうですね。

 SOS子ども村で勤務してる医師、リリヤ先生に尋ねると
「それは放射能のせいです。チェルノブイリの事故の後も同じような症状の人がいっぱいいました。」
とのことでした。
 
 低線量放射線障害である原爆ぶらぶら病ですが、1976年に全日本民主医療機関連合会が国連に出した報告書「広島・長崎の原爆被害とその後遺」によるとこのような症状だそうです。

i. 被曝前は全く健康で病気一つしたことがなかったのに、被爆後はいろいろな病気が重なり、今までもいくつかのない造形慢性疾患を合併した状態で、わずかなストレスによっても症状の増悪を表す人びとがある。(中・高年齢層に多い)
ii.簡単な一般健診では以上が発見されないが、体力・抵抗力が弱くて「疲れやすい」「体がだるい」「根気がない」などの訴えがつづき、人並みに働けない為にまともな職業に就けず、家事も十分にやってゆけない人びとがある。(若年層・中年層が多い)
iii.平素、意識してストレスを避けている間は症状が固定しているが、何らかの原因で一度症状が増悪に転ずると、回復しない人びとがある。
iv.病気にかかりやすく、かかると重症化する率が高い人びとがある。
 
 しかし、この原爆ぶらぶら病の患者は「原爆病」認定患者には指定されていないそうです。
 傍目には無気力で仕事もせずにぶらぶらしているように見えるから、こんな病名がつけられたようですね。

 ベラルーシでは「環境不適応症候群」と言われています。
 そして、ちゃんとその対応策をベラルーシ保健省はまとめて2000年に本として出版しています。
 タイトルは「ベラルーシの児童における環境不適応症候群とその改善法」で、ベラルーシ保健省と放射線医療・内分泌学学術診療研究所が作成し、表紙にはベラルーシ保健省の公印が押してあります。(画像参照)
 本と言うより論文みたいに見えますが、内容は医学に疎いという人でも、理解できるように書いてありました。
 この本はSOS子ども村内にある図書室にあり、リリヤ先生の「環境不適応症候群のことならこれを読むように。」と教えてもらって借りてきたものです。
 
 内容を読んでいくと、いろいろなことが分かってきました。これはベラルーシの事例なので、日本の事例にそっくりそのまま該当するかどうか分かりません。
 しかしもしかすると困っている方々のお役に立てるかもしれませんので、このブログ上で一部抜粋して、まとめたものを日本語に訳して公開します。(ベラルーシ保健省からは翻訳公開の了承は得てませんが、たぶんクレームは来ないでしょう。)
 このようなわけで具体的な対策方法は次の記事をご覧ください。
 

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