日本文化情報センターはミンスク市立児童図書館内に26年間開所していましたが、今月撤退することを決定しました。
理由はいくつかありますが、最大の理由は、3年前に戦争が開始後、日本文化への圧力、差別が図書館内に広がったことです。日本語の授業を行っても、それは図書館業務ではないので仕事をしたと見なされず、つまり私は出勤していても何もしていないことにされました。ベラルーシの友好国である中国の言葉を教えるのは仕事をしていると見なされるようです。
日本語朗読会などを企画するのも禁止。小さい子供向けの折り紙を教えることだけが仕事をしたと見なされるようになりました。要するにリストラの対象にさせようと私を仕事をしていない図書館員というレッテル貼りをしたかったようです。
解雇される前にこちらから退職することにしました。とにかく日本語教室をやめさせようとしていることは明らかでしたので、夏休み(ベラルーシの新学年度が始まる前)というタイミングで退職願を出すことにしました。
もう一つの理由は5月に起こった雨漏り事故のため弊センターが所蔵する展示品が被害を受けたにも関わらず、弁償金を図書館側が支払う気持ちも予算もないこと、そして事故から3ヶ月経過しても市の予算不足を理由にして屋根の修理を行おうとせず、雨漏りが続いているため、これ以上被害が広がらないように、展示品と蔵書を私は自宅へ避難させました。
このように精神的にも物理的にも日本文化情報センターの活動ができなくなりましたので、図書館から撤退することに決定しました。
しかし、日本語教室の生徒に「場所が授業はもうないです。解散。」などと言えませんし、チロ基金の支援者の方々にも申し訳ないです。そこで自宅の一室を改装してしばらく臨時の日本語教室を自宅で9月から行います。
日本文化情報センターはミンスク市内にある聖ニコライ教会付属日曜学校に移転することが決まっているのですが、現在のところ教会建物が狭いため、信者の方々から寄付金を募って、新しい3階建の建物を建設する予定です。その2階の1室に日本文化情報センターが入ることになっていますが、インフレのせいで建設作業がなかなか進んでいません。
建物が完成してから移転しようと思っていたのですが、雨漏り事故が起き、また戦争も終わりそうにないため、今年の夏に退職することにしました。
先日作成したロシア語版日本文化情報センター新サイトを眺めながら、チロ基金支援者のおかげでこの26年間いろんな活動を実施できたなあと感慨深く感じました。日本文化情報センターは一時的に公式な所在地がない状態になりましたが、図書館以外の場所で活動を続けます。
チロ基金からの支援を無駄にはしません。また日本語教室の生徒のためにも授業は入学時の約束通り無料で行います。
早く聖ニコライ教会の建物が完成してほしいです。先月、私が工事の進捗状況を見たところでは、今年は無理で、あと2年ぐらいかかるのではないかといったところです。(いわゆるお賽銭箱にお金を入れましたが、建築費用全体で言えば雀の涙ていどかも・・・インフレも早く終わってほしいです。)とにかく教会完成まで自宅で日本語の授業をかんばります。
私自身は定年前に退職して、無職になってしまい、経済的な不安が全くないわけではないです。しかし、自分自身の年金のために日本語の授業ができなくなっても図書館にしがみつき、いつリストラされるのかビクビクしながら通勤するほうが精神的に無理です。
収入はなくなりましたが、自宅で制約を受けずに日本語教育を続けるほうがいいですし、それが生徒のためにもなると思います。幸いチロ基金のおかげで、教科書もそろっていますし、教材作成用のプリンターもあります。今回の件はすでにチロ基金支援者の一部の方には事前に知らせており、新しい教室用の机の購入日をすでに寄付してくださった方もいます。
気持ちを新たに今後も日本文化情報センターの活動を続けることをこのブログ上でもお知らせいたします。