ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第112回」

2010-12-07 |   ビタペクト配布活動
 12月6日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第112回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクト2を11個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2は合計1759個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1510部となりました。
  
 今回で通算122回目のビタペクト2の配布となりました。1510家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト2配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)

http://www.belrad.nsys.by



 今回は3家族がSOS子ども村に保養滞在していました。それぞれの家族に話を伺いました。

(家族A)
 モロジェチノ市(チェルノブイリ原発から約390キロ)から来た家族。この家族には4個のビタペクト2を渡しました。母親と5人の子どもです。それぞれの結果は以下のとおりです。○印の子どもにビタペクト2を1個ずつ渡しました。

母親(事故発生時20歳)13ベクレル
男子(14歳)16ベクレル 
女子(13歳)28ベクレル ○
女子 (6歳)31ベクレル ○
女子 (4歳)47ベクレル ○
男子 (2歳)48ベクレル ○

 このお母さんには全部で9人の子どもがいます。そのうちの5人を連れて保養に来ていました。1人が途中から合流していますが、測定の日にはまだ到着していなかったので、体内放射能値が分からず、ビタペクト2を渡していません。でも画像には写っています。
 2歳の男の子ですが、ビタペクト2は普通3歳以下の子どもにはあげないことになっています。しかし2歳6ヶ月だったのと、ビタペクト2の賞味期限が1年あるため、半年後3歳の誕生日が来たら飲み始めることにして、渡しました。
 この一家はもともとブレスト州ストーリン地区で暮らしていましたが、16年前にミンスク州のモロジェチノ市に引っ越しました。ストーリンのほうが放射能汚染度が高く、モロジェチノのほうは非汚染地域ということになっていますが、測定結果を見ると、あまり関係ないように思えます。
 お母さん自身も住民の実感として
「モロジェチノ市がそんなに環境がいいとは思えない。」
と話していました。
 子どもたちは比較的元気だということですが、お母さんや6歳の女の子には甲状腺肥大が見られ、薬を飲んでいるということでした。


(家族B)

 お母さんと5人の子どもの家族。グロドノ市(チェルノブイリ原発から約400キロ)から保養に来ていました。この家族には5個のビタペクト2を渡しました。

母親(事故発生時8歳) 14ベクレル
長女(11歳)21ベクレル ○
長男(10歳)40ベクレル ○
次男 (8歳)34ベクレル ○
三男 (3歳)28ベクレル ○
次女 (2歳)54ベクレル ○

 2歳の次女にもビタペクト2を飲ませたい、というお母さんの希望で渡しました。まだお母さんが母乳が出ているので、お母さんがビタペクト2を飲んで母乳に含まれる放射能を減らそう、という方法です。
 グロドノ市と言えばベラルーシの西部、ポーランドに近い町なので、チェルノブイリ原発事故から離れており、放射能汚染地域ではありません。
 ところがグロドノから40キロほど離れたモストフ地区は放射能値が高い地域とされています。そこに子どもたちの父親の両親が住んでいて、夏休みになると田舎へ行って飼われている牛の牛乳を飲んでいるそうです。
 それがよくなかったようですが、はっきりした因果関係というのは実証できません。
 子どもたちはここ数年よく風邪をひくようになった、とお母さんは心配していました。

 この一家はカトリック教徒で、その関係からか、一度ポーランドに保養に行ったことがあるそうです。ポーランドの中にある教会施設で無償で寝泊りし、その代わり教会の雑用をお母さんがする、という支援活動をポーランドのカトリック教会は行っているそうです。
 このようなポーランドからの支援活動もあるのだなと、勉強になりました。


(家族C)

 ビテプスク州ノボポーロツク市(チェルノブイリ原発から約470キロ)から来た家族。この家族には2個のビタペクト2を渡しました。
 このお母さんには5人の子どもがいますが、年長の2人は16歳以上で保養に来ていません。年少の3人の子どもを連れてSOS子ども村に来ていました。
 しかし1歳8ヶ月の子どもが測定に出発する直前に寝てしまい、お母さんは起こすのがかわいそうだからとその子どもといっしょに残ってしまいました。(確かに測定に行ったとしても年齢制限でこの末子くんはビタペクト2を飲めないです。)
 そのため測定したのは2人の子どもだけです。

女子 (9歳)34ベクレル ○
男子 (8歳)28ベクレル ○

お母さんはこの2人の子どもの結果を見てびっくりし、留守番をしている年長の子どもにもビタペクト2を飲ませたいと話していました。子どもたちは比較的健康だそうですが、8歳の男の子には甲状腺が肥大しており、薬を定期的に飲んでいるそうです。
 ノボポーロツク市はベラルーシの北のほうにあり、やはりチェルノブイリ原発事故から離れているのですが、放射能の影響については距離は関係なくなっていると改めて思いました。
 
 画像は記念撮影した様子です。今回は小さい子どもと大きい子どもの差が大きくてなかなか大変でした。と言うのも小さい子どもが1人ぐずりだすと、連鎖反応のように他の小さい子どもが泣き出し、それをあやしたりするのに大変でした。
 でも小学生ぐらいの子どもたちは、みんな活発で好奇心旺盛で、折り紙に大喜びしていました。作るのも得意だ、と自慢する子もいました。
 今回も子どもたちに折り紙やぬりえ、折鶴などをプレゼントしました。年長の子どもはぬりえをあげても喜ばないし、年少の子どもはまだぬりえが何なのか分からないようすでしたが、おそらくみんなでなかよく分け合ってくれるでしょう。

 最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。
 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。

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