【稲田朋美防衛相辞任】対立点は「玉虫色」 調査の限界 防衛省幹部「これが精いっぱいだった」

【稲田朋美防衛相辞任】対立点は「玉虫色」　調査の限界　防衛省幹部「これが精いっぱいだった」



2017年7月28日 11時58分

産経新聞


　南スーダンＰＫＯの日報問題で２８日に公表された特別防衛監察の結果では、稲田朋美防衛相が陸自データの非公表方針を了承した事実はないとしつつ、データの存在を把握していたかについては明確な事実認定に至らなかった。

　稲田氏の証言と、陸自サイドが情報源とみられる報道が真っ向から対立する中、監察結果は「玉虫色」の認定にとどめた。防衛相直轄の防衛監察本部が、防衛相自身を対象に含めて行う調査の限界も示した。

　この問題で稲田氏は「私は一貫して日報を公表すべきとの立場だ。非公表や隠蔽を指示したり、了承したりしたことはない」と主張してきた。

　一方で、稲田氏は２月１３、１５両日にあった省幹部会議で陸自幹部からデータが保管されていたとの説明を受け、非公開方針を了承したとの報道が相次いだ。１３日の会議には湯浅悟郎陸幕副長、１５日は岡部俊哉陸幕長が出席していた。報道が事実なら稲田氏の説明は虚偽となる。

　監察本部は両方の会議出席者に聴取を実施。その結果、陸自幹部を含む複数の出席者が「説明した」との証言をしたものの、稲田氏を含む複数の出席者は「説明はなかった」との証言を行った。

　証言が一致しないうえ、内容もあいまいな点が多かったことから、監察結果は「（会議で）陸自における日報データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できない」と記述するにとどめ、「説明があった」とは明確に認定しなかった。

　他方で監察結果は、少なくとも、稲田氏が非公表方針を「了承した」事実はなかったと認定。この点では出席者の証言が一致したためで、「公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事実もなかった」と結論付けた。

　監察本部は、会議の議事録は「一切残っていない」と説明。ただ、フジテレビは今月２５日、稲田氏が２月１３日に、データ保管の報告を受けて「明日（国会で）何て答えよう」と発言したとされるメモの存在を報じた。しかし、このメモを調査対象としたかに関し、監察本部は明らかにしていない。

　監察に携わった防衛省幹部は「証言が食い違う中、明確な証拠がないまま判断するのは難しい。本来なら報告書には書けないレベルだ。これが精いっぱいだった」と振り返った。