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「産経と道新のみ」とツイートした医師・村中璃子氏 子宮頸がんワクチンの安全性を積極発信のワケ

2017-12-16 16:38:10 | ニュースまとめ・総合
産経と道新のみ」とツイートした医師・村中璃子氏 子宮頸がんワクチンの安全性を積極発信のワケ


2017年12月16日 15時1分

産経新聞


 英科学誌「ネイチャー」などが主宰し、公益に資する科学的理解を広めることに貢献した個人に与えられる「ジョン・マドックス賞」の2017年受賞者に、子宮頸(けい)がんワクチンの安全性について積極的に発信してきた医師でジャーナリストの村中璃子(りこ)氏が選ばれた。

 ロンドンでの授章式を終えた村中氏に、この賞の意義やワクチンをめぐる日本の状況などについて聞いた。

記事執筆は「女の子のため」

 --村中さんは平成27年10月、雑誌「Wedge」で「あの激しいけいれんは本当に子宮頸がんワクチンの副反応なのか」とする記事を執筆し反響を呼んだ。激しく体をけいれんさせる女の子の衝撃的な映像が報道されて子宮頸がんワクチンは怖いというイメージが社会に広がり、厚生労働省も25年6月以降、積極的な接種勧奨を差し控えている。ところが、村中さんはそうした症状がワクチンの副反応ではなく、「思春期の少女にもともと多い病気の存在が顕在化した」と結論づけた。多くの賛同の意見が寄せられた一方で、被害を訴える人たちを中心に反発の声も出た。なぜ記事を執筆したのか

 「シンプルに言うと、女の子のためです。後になって、『大人は本当のことを教えてくれなかった』とショックを受ける子や、子宮頸がんになる子がいるかもしれない。10代の一番いい時期に、女の子の健康がワクチン反対を訴える大人たちの食い物になっているのが、医者である前にひとりの大人として許せないと思いました」

 「記事を書く前は、こんなに闇が深い話だと思っていませんでした。テーマがテーマを呼び、医者でありながら他の医者を取材し、医者でありながら患者を診察するのでなく取材することになりました。今回の受賞でも、肩書についてはジョン・マドックス財団と相談し、サイエンス・ライターではなくサイエンス・ジャーナリストであるという表現になりました」

 --授賞式のスピーチでは、記事に対する被害者団体からの抗議が、出版社の株主の社長室や株主の会社に影響力のある政治家のところにも寄せられたと明かした。『元東京都知事の娘で被害者団体と親しいNHKプロデューサーは、私の住所や職場や家族構成を知ろうと熱心だった。私と家族には山のような脅迫のメッセージが届いた』とも述べた。

 「ジョン・マドックス賞は、逆風に遭いながらも公共の利益のため科学を世に広めた人に与えられる賞です。6回目の今回、ノミネートされた人の中には、死刑宣告を受けたり、家をなくしたり、その主張により投獄されたり暴力をふるわれたりした人がいました。そんな中、なぜ私が受賞したのか。それは、世界から見ても子宮頸がんワクチン問題の社会的影響は大きく、多くの人の命に直接関わる話だからではないでしょうか」

 「日本では28年7月、被害を訴える患者が、国と製薬企業に賠償を求める訴訟を起こしました。コロンビアでも、世界で2カ国目となる国家賠償請求訴訟が起こされました。子宮頸がんにより、日本では毎年3千の命が失われ、1万の子宮が摘出されています。国家賠償請求訴訟は終わるまで10年かかると言われています。もし裁判が終わるまで接種勧奨が再開されなければ、医師は10年間、子宮を摘出し続けなければなりません。そんな思いから、受賞スピーチと来年刊行予定の本のタイトルを『10万個の子宮』としました(『10万個の子宮-あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか』は平凡社から来年2月に刊行予定)」

「ライバル誌の記者も取材」

 《村中氏は12月4日の自身のツイッターで、「日本の新聞でマドックス賞を報じたのは結局、12月2日付の道新と産経のみ。もう一紙取材を取っていた某紙は記事は書いたのに日馬富士と天皇で没になったそう。」とつぶやいた。産経ニュースは12月2日16時31分に報じた。道新とは北海道新聞のこと。村中氏は北海道大学を卒業しており、掲載されたとみられる》

 --今回の受賞、海外メディアの反応は

 「英国メディアの反応は『日本ではそんなとんでもないことが起きているんだ』というものでした。反ワクチンのメディアはひとつもありませんでした。英国では1998年、医学誌『ランセット』に『MMRワクチン(麻疹、おたふくかぜ、風疹ワクチン)が子供の自閉症を引き起こす』とする誤った論文が掲載され、後に撤回された経験があります。このときもワクチン接種率は下がりましたが、それでも9割が8割になっただけでした。ところが、日本では約7割だった子宮頸がんワクチンの接種率が、わずか1%未満になっています。海外のメディアはこの数字を驚きをもって受け止めていました。ネイチャーの賞なのに、ライバル誌である『サイエンス』の記者も取材してくれました」

 「日本のメディアはこれまで被害者の記事ばかり書いてきました。日本人の受賞なのに、今回の受賞を取り上げた国内メディアは少なく、日本が海外から取り残されているのを感じます。サイエンスの分野で、専門家と社会をつなげる記事を書ける人を育てる必要があります」

 「とはいえ、メディア批判はしたくありません。トルコの海岸に打ち上げられた3歳のシリア難民の男の子の写真が、難民問題から目を背けていた欧州の人たちの意識を変えたように、メディアには大きな力があります。私自身も、メディアを使ってものを言ってきました。できれば自分が書いた記事だけで社会を動かしたかったけれど、この受賞が話題になり、また子宮頸がんワクチン問題に関心が集まったことは良かったと思います。これからも、子宮頸がんワクチン問題に限らず、科学と真実に基づいた発信を続けたいと思います」



 ●日本では集団訴訟

 子宮頸がんワクチンは、子宮頸がんの主な原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンのことだ。筋肉注射で3回接種する。小学6年から高校1年に相当する女子を対象に、平成22年11月から補助事業として無料接種が始まり、25年度からは予防接種法に基づく定期接種となった。しかし、体のしびれや痛みなど接種後の副反応として知られていない症状が報告されたとして、接種を促すはがきを送るなどの積極的な勧奨は同年6月から差し控えられている。世界保健機関(WHO)や日本産科婦人科学会は、子宮頸がんの患者が増える恐れがあるとして、勧奨再開を求めている。

 一方、接種が原因で健康被害を受けたとして、東京、大阪、名古屋、福岡の4地裁では国と製薬会社2社を相手取り、集団訴訟が起こされた。原告は計124人に上る。

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