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ラーニング・ラボ

松尾睦のブログです。書籍、映画ならびに聖書の言葉などについて書いています。

『恥さらし:北海道警悪徳刑事の告白』(読書メモ)

2017年09月28日 | 読書メモ
稲葉圭昭『恥さらし:北海道警悪徳刑事の告白』講談社文庫

北海道警察銃器対策課の元警部である稲葉氏は「銃対のエース」として実績を上げたが、結果的に覚せい剤に手をだし、逮捕されてしまう。

なぜそんなことになったのか?

それは警察組織における極端な「成果主義」のせいである。

「警察組織は、すべてが点数主義です。機動捜査隊時代からそうでした。第二章で述べたように、ノルマを達成できないと、超過勤務手当がもらえないなどのペナルティがあります。点数欲しさに、安易な摘発を繰り返しました。ノルマ達成のために、警察は事件を作ってきたのです」(p.284)

東芝の事件も同じような構造なのだろう。

稲葉氏は、さんざん組織に利用されたあげく切り捨てられ、自暴自棄になって覚せい剤に手をだしてしまう。

なお、警察に特徴的なのは「エス」と呼ばれるスパイの存在だ。稲葉氏は、エスとの関係を築き、さまざまな犯罪情報を入手し、成果を上げていく。しかし…

「関係を築いたエスは、ノルマに追われるうちに、いつしか犯罪を摘発するための”協力者”ではなく、ノルマを達成するために必要な共犯者になってしまう。私はエスたちと共犯関係となりながら拳銃を出してきましたが、ノルマがその原因となっていたのです」(p.285)

組織コントロールの方法には、「アウトプット管理」(成果による管理)と「プロセス管理」(方法・過程を重視した管理)という二つの管理手法がある。営業部門などでは、アウトプット管理が行き過ぎると、無理な押し込み販売につながってしまうが、警察でも似たようなことが起こっているのだろう。

本書を読み、アウトプット管理とプロセス管理をうまく組み合わせる必要性を感じた。













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