アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

劇団民藝 野の花ものがたり

2017年02月23日 | 演劇

最期の時を自由に個性的に送ってもらおうと建てられた
「野の花診療所」。
鳥取市内に実在するベッド数19床の小さな診療所と
徳永進医師をモデルに描く、ふたくちつよし民藝第三作。
「命」によりそう医師と看護師、最期の時を迎えた家族たちの
心あたたまる舞台です。

ギョッ!
ホスピスの物語か…。
あんまり観たくないな…ぁ。
去年父を亡くしたばかりで…。
”人の死”を積極的に考えるなんて…。
なのに、よりにもよって、
民藝の仲間(年会員制の劇団民藝後援会)に
再入会して観る第1作目が、
こういう作品だとは…。

2017年2月7日(火)
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
18:30開演 5列センター

劇団民藝
野の花ものがたり
 徳永進「野の花通信」より
作=ふたくち つよし 
演出=中島裕一郎
キャスト
徳丸 進(野の花診療所医師):杉本孝次
山崎祥子(看護師):大越弥生
倉田美咲(看護師):加塩まり亜
藤田さなえ(看護師):藤巻るも
真島時枝(ボランティア):白石珠江
富田孝市(看護助手):和田啓作
室田清三(患者):松田史朗
小嶋信子(その娘):桜井明美
谷崎澄子(その元妻):野田香保里
浦沢ユイ(患者):箕浦康子
浦沢長太郎(その夫):安田正利
南波翔平(患者):横島 亘
南波涼子(その妻):新澤 泉
松永史人(患者):みやざこ夏穂
松永靖代(その妹):飯野 遠

後援:鳥取県、鳥取市、新日本海新聞社、日本海テレビ 
協力:鳥取演劇鑑賞会 

ヒョロリとした笑顔の優しい医者が
問いかける。
「死は悪いものなのだろうか」
だよね、イメージ暗いもんなぁ。
死ぬ時…死んだ後…。
未知のものだから妄想も手伝って、
嫌なもの。恐いもの。
考えたくないもの。避けたいもの。
マイナス思考でしか捉えられないよね。

この物語に登場するのは、
4組の患者と家族。
やりたいことがあって、夢があって、
長い人生を歩むと思っていたのに、
最期の時はもう直ぐそこまで来ているんだと、
思い知らされる。
残された時間はそんなにないんだよ。
と、突然宣告される。
それなら、その日が来るまで
どう生きて行くのか…。
自分らしく。
なんて言うのは容易いことだけど、
現実はなかなか…。
それをやり遂げようとしているのが、
この診療所にいる人達。
妻を気遣う夫もいれば、
旦那を罵倒する老婦人もいる。
家族を破滅に追いやった父を見舞う娘もいるし、
絶望している兄を支えようとする妹もいる。

アル中で肝臓を病んでる若者が
床磨きをしていたり、
大阪弁のオバチャンが、
花瓶に挿した野の花を替えにきたり、
看護師だけじゃなくって、
そんな風に診療所と接してる人も、
登場するんだよ。
自暴自棄な若い患者に、
春の七草を教える大阪弁のオバチャン。
一瞬あったかい空気が流れたぁ。
床磨きをしていた若者が死んだり…
オバチャンも癌だってことを知ったり、
こんなに生き生きとしてるのに!
ビックリする若者と観客。
そうして、1つまた1つと
ベットが無人になっていく…。

「死ぬまで生きる」
そうか、そうなのか!
とってもシンプルなことじゃないかぁあ。
死を待つとか、受け入れるとか、
そういうんじゃなくって、
「ただ前を向いて生きる」
嗚呼…でもやっぱり…
とっても難しいことだけど…。

夏の花火大会。
夜空を見上げるのは、
生きている人だけじゃないのね。
逝ってしまった人達もまた、
家族の隣にいるのね。

どういう形で描けばいいのか、
迷ってしまうだろう、重い主題に、
劇団民芸が息を吹き込むと、
リアリティー一直線じゃない、
ちょっとした安らぎの空間が
入り込んできて…。
これが演劇を観る良さなんだなぁ
って実感できたぁあ。

私の父は、持病はあったんだけど
入院してたわけじゃなく、
ある日突然逝ってしまったので、
こういう闘病生活の経験は
想像するしかないんだけど、
父が亡くなったからこそ、
グググッと突き刺さるものがあって…。
今、この作品に出逢えて良かった。
帰り道で泣いたよ…ぅ。

人の死は終着駅なのか? 問いかける生と死  

野の花ものがたり
2017年2月4日(土)~14日(火)
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA

劇団民藝 


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