アッパレじゃ!

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元禄忠臣蔵第一部「第二の使者」

2006年10月23日 | 歌舞伎


これまでのお話はこちら → 江戸城の刃傷

『第二の使者』
第三幕 播州赤穂城内大広間

播州赤穂城内。広間。
城は普通に赤穂城と称すれども、当時にては苅屋城というを正しいとする。
元禄十四年三月十九日の仏暁(明け方)

ウワッッ、暗~い。
ウワッッ、ちょびっとづつ明るくなっていく~。
OH~!歌舞伎にこんなの有り~!?
照明使ってるヨ。嬉しいな~

夜景のままに暗く、庭園も暗くして分明ならず。
幕あきて暫くして次第に明けはなれてゆく光景を
庭園のさまにて見する。

潮田又之丞(吉之助)達は、
必死に絵図の作成や帳簿をチェック中。
でも、なかなか集中できないみたい…
皆、頭の中は”殿様はどうなったの?”でいっぱい。

大野九郎兵衛(芦燕)と奥野将監(東蔵)も
何やら落ち着かない様子。
言い争ってるヨ~。

家来達は門の外にゾクゾクと集結!
ワイノ~ワイノ~騒いでる。
今にも門を打ち破りそうなんだって!

(突如として口を出す。凛然たる声)ならぬと言え。

大石内蔵助(吉右衛門)だ~!!
待ってましたっっっ!

(むッとして)凶変の場合ゆえ、
常の掟が大事なのじゃ。開門はならぬぞ。

第一の使者が来ただけでは、
江戸の様子がさっぱり判らないんだよ。
非常事態宣言だして、レベル4体制取らなくてイイの?

固く火の用心を申し付くるのほか、あとは何事も常々通り、
通行は元よりの事、諸商売も常通りに致させとうござる。

キョエ~!!何を言うとるんじゃ~。
大野ビックリっっっ!

お互いにこの際には、士農工商の隔てを忘れ、
町人も人、侍も人と思し召されて、
人が人のために働くように致したいものでござる。

広い視野だなぁ~。

そこへ、第二の御早使ほどなく到着との知らせ!

内蔵助は、使者の名を聞いて、
おおよその見当がついたらしい…。
キビキビと大野&奥野に指示を出してる。

内蔵助に圧倒されてる老人2人。
ちょこまかと走る姿も可愛らしい~

この頃、庭園全くあかるく、(略)
遠く、かすかに、御早の駕籠の者の掛け声
『ホイホイ』、『ホイホイ』と聞こえ来る。

オオ、ドキドキしてきたぞ~。

父上、父上…お父上様。

思案に耽っている内蔵助に呼びかけるのは
息子の松之丞(種太郎)14歳。
国の一大事に、いてもたってもいられない!
前髪立ちらを雇うほど人に不足はしていないのだ。
断られると、今度は

父上、今が君国大事の場合、
もし御悠長過ぎたる御詮議がありましては…
終生一期の御恥辱となりましょう(泣く)

ヒヤ~、子供にまで心配されちゃって、
よっぽど頼りない人にみえるんだなぁ内蔵助って。

わしは予々、家中の面々から
昼行燈と渾名されていることも承知している。
自分もまた、終生昼行灯と嘲られて、
無用の人としてこの世を送りたかったのじゃ…
(ホッと嘆息して、意味ありげにいう)

うう~む、うう~む、
言葉の裏がまだ飲みこめない松之丞。
なおも食い下がれど…。
怒られちゃったよ~。

種太郎くん、一生懸命にお父上に物申してるんだけど、
台詞が空回りしてる…。
難しい言葉の連続なんだけどね。
泣き台詞になっちゃダメなのですよ…。
余計お客さんに、心が伝わらないのよぉ。残念…

廊下が騒がしいっっ!!
待ちに待った”第二の使者”が到着したんだ!
人々に見守られ、支えられて
年配の原惣右衛門(桂三)、若い大石瀬左衛門(亀寿
われら、われらの御城に帰った~!

もっと、焦燥と安堵と高揚感と緊張感で、
熱エネルギーをポッポポッポ言わせて、
泡を吹いて来るかと、思ってたのにな…。
早駕籠は、駕籠かき6人が1組で猛ダッシュ!!
5日間揺られて、やっとの思いで辿り着いたんだよ~。

映画だと、駕籠かき達は、箱根駅伝状態!
次にバトンタッチしたら、
バタバタ倒れ込んじゃう。
吉右衛門も映画撮影(「忠臣蔵」東宝1962年)の時に、
駕籠に入って短時間乗るだけでも凄かった~。って

内蔵助に一喝されて、平常心を取り戻す2人。

(略)惣右衛門、殿は定めて御切腹であろう

はい!(ハラハラと泣き)三月十四日、
酉の上刻過ぎ、芝愛宕下、田村屋敷御庭前において…

十四日ー? その日即日御切腹か?(思わず声色を変ずる)

奥方は、髪を下ろして里へ。
乗物の中から、泣き声が漏れ聞こえて…

1度も登場していない奥方様を想って
泣いちゃう~。ウウウ~

勅使饗応は、万端順序のごとく、目出度う御大礼をすまされました。

それは何より…有難いことであった。(落涙)

お仕置き文面を読み、何を思うのか内蔵助。
遺言を聞いて、何を考えているのか内蔵助。
そうして、辞世の句…

風さそふ、花よりもなほ、我はまた…、春の名残を、如何にとかせん。

内蔵助の注意も聞かず、一同泣き崩れる。
私の瞳もウルルンルン~
内蔵助も泣いちゃってるぅぅぅ。

目端の効かない江戸家老達、そんな部下しかいなかった
殿さまが傷わしい。

ポロっと内蔵助言っちゃったよ。

そこへ、
京都留守居役・小野寺十内(歌六)がやって来る。
内蔵助が気になるのは、朝廷の態度…。
帝の御喚起に触れなかっただろうか…。
意外にも、同情的だと言う。

(思わず小野寺の手を握って)十内どの!
内蔵助どの。
十内どの。
内蔵助どのー。

グワ~~ッッッ 泣く~~~

家名の断絶は惜しいことではない。
五万三千石、慨くことではない。
京都不敬の罪に問われれば、浅野内匠頭長矩は勅勘の身、
家中一同、日本国中にかがむところがない…。
救われました、救われました。

そう何度も言う内蔵助。

嗚呼、深いなぁ~。

この上は、もはや、いずくを憚り、いずくを恐るる処もない。
家中一同の所存にまかせ、
殿の御無念を報ずるばかりーいや、
殿の御冥福を祈るばかりー、(略)
家中総寄りあいの上、内蔵助より申し上げたき事あり、
集合の御用意、頼みいります。

赤穂藩の秘密兵器『昼行燈』
何処の、何に、標準をセットしたのでありましょうか。

集合の太鼓なり響く。内蔵助、十内、静かに目礼してー。

殿様御切腹の知らせまでの時間をクローズアップ!
ドキュメンタリー見てるみたいなリアリティー。
これぞ”新歌舞伎

吉右衛門の内蔵助にドンドン引き込まれて行く~!!
♪もうどうにも止まらない~♪(by山本リンダ)

 → つづく

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3 コメント

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深いですよね (喜の字)
2006-10-23 18:05:42
深いですよねー!!かしまし娘さんの記事を読んでいるだけで思い出してまたウルウルしてしまいました。真山青果、いいです。播磨屋、いいですねえ!本当に、これぞ新歌舞伎!たまりません。通しだからこそですね。



来月は、いつも単独で演じられる「お浜御殿」「南部坂雪の別れ」が通しだときっとずっしり来るだろうと思って、楽しみです。
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沁みましたー (urasimaru)
2006-10-24 10:17:44
自分もまた、終生昼行灯と嘲られて、

無用の人としてこの世を送りたかったのじゃ…



でも、苦境になれば輝く本質がこれからあきらかに!
返信する
染み込む染み込む (かしまし娘)
2006-10-24 13:42:42
喜の字様、まいど!

新歌舞伎の良さを知りました!サンキュ~播磨屋~!ですね。本当~

藤十郎版の「お浜御殿」を観るのは初めてなので、ワクワクです。あれも、アンサンブルが大切なので、「上方チーム」として気合を見せて欲しいっす!(笑)

「南部坂雪の別れ」は、映画のワンシーンがとても心に残っています。



urasimaru様、まいど!

>自分もまた、終生昼行灯と嘲られて、無用の人としてこの世を送りたかったのじゃ…

東宝映画で、白鸚も、イイ声で言ってました。

お客が、ラストを知っていればこその「謎かけ」言葉ですよね。
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