アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

勘九郎版・四谷怪談

2005年08月22日 | 歌舞伎
2000年8月 歌舞伎座
2005年8月 歌舞伎チャンネル

東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)
作者: 四世鶴屋南北
初演: 文政八年(1825)

夏の夜の納涼といえば花火や盆踊り、そして…肝だめし。
昨今のホラーブームの原点は、約二百年前の江戸時代にありました。

三遊亭円朝の人情噺を劇化した「牡丹燈籠」や「真景累ヶ淵」も有名ですが、
やはり怪談狂言の総本山とされるのは「東海道四谷怪談」

ケッ。最近の怪談って、「笑い」がつくんかい。
呆れてものが言えない。けど言うっっ!

友人が「恐くなかったからヨカッタ」と宣った。
そんな“緩い恐怖”を現代人は所望しているのかえ?

昔は沢山TVで “怪談物”を放映してた。
震えながらも画面から眼を離すことが出来ない。
1人でトイレに行けなくなる。
そんな恐怖を散々体験しても、また見てしまう。
これが私にとっての“怪談”。

演者によっては、背筋が凍るもんなのです。
歌右衛門は貞子よりコワカッタよぉぉぉ。
なのに、勘九郎(現:勘三郎)が演じてみせたお岩には、
恐さより、笑いがつきまとう…。

痩せてないから、貧乏暮らしにみえないし…。
ビジュアル大切な世の中じゃないですか。
ゲッソリと肩が落ちて見るからに痛ましい姿。
でも性根は燐としている武士の妻。
これってさぁ“立女方”向けではありませんか?中村福助!
いやいや、歌舞伎は顔や体型だけが勝負の芸術ではないはず。

お岩さんの“情”と“念”。これが見えなかったってこと。
女のそれは、どこまでも深いブッラックホール。
眼に見えぬ畏怖の力。
森の中の、吹雪の中の、井戸の中の闇。
肝をわしづかみにされた様な冷たさ。
そんな非日常が存在することを、たまには思い出した方がイイ。
ネオンギラギラ明るい世界だけがこの世じゃぁないヨ。

おどろおどろしい…
得体のしれない…
気味が悪い…
何かを怖れ恐がる気持ち…
これを『様式美』と、女の『黒髪』で表現するのよ!歌舞伎では!

薬飲む時にね、ちょっとでも無駄にしたくない気持ち。
それ解りますよ。
顔を上にして口開けて一生懸命なの。
でも、セコイ女。意地汚い女。笑える女。
そんな人に見えちゃぁブチ壊しだわさぁ。(-_-)/~~~ピシー!ピシー!
笑い演出しないで恐怖演出してヨ。
なのに、去年再演しよったのぉ。思えば思えば、エェ怨めしや

☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。