日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「漢字」ばかりは、面白がってくれる人と、関心はないけれども、覚えようと努力してくれる人と、無駄なことをさせられていると思ってしまう人と、差がありすぎる。と

2024-03-11 08:05:25 | 日本語学校
晴れ。

「啓蟄」を過ぎると、次第に「桃の花」が咲き、「蝶」が飛び回るような季節に至る…とはいいながら、日本には悲しい記憶、覚えておかねばならぬ記録が多すぎる。今日は3月11日。

さて、学校です。

10月に来た学生達の勉学の様子を見ながら、一人、また一人、そしてもう一人と、上のクラスにつり上げていこうとしています。もちろん、小言を言わねばならぬ人もかなりいますから、あっちを見、こっちを見してやるわけで、これがなかなかに忙しい。

先週の金曜で、無事に「N4」の試験も終わり、今週から、私の授業でも、「N3」に入っていきます。まあ、「十月生」が主体のクラスですから、かなり復習も入れていかねばなりません。

復習の一つ目は、「漢字」です。放っておくと、「N3」の漢字を入れていくうちに、「N5」の漢字が押し出されてしまい、いつの間にか、きれいさっぱり消えてしまったと言うことにもなりかねませんから。まあ、自分の授業をやりながら、常にこれらの「読み合わせ」くらいはしておきませんと、読む時に、「この字は何だったっけ」というのが続いてしまいます。

もっとも、この「読み合わせ」。「N5」は(「ひらがな」を隠しての読みです)どうにかなっても、「N4」ともなると、「知らな~い」と言いそうな人が若干名と言いますか、かなりいそうですから、毎日全部はきつい。「N4」全部をやってしまうと、やってもやらなくても同じようなことになってしまうのです。ですから、「『N5』の読み合わせ」足すことの「『N4』の五文字か六文字」くらいにしておいた方がいいのです。

腹八分というけれども、この「漢字」においても、それは言えそうで、一つのクラスの中に、「この人は一文字がやっとだな」というところから、「喜んでいくつも覚えたがる人」までいるわけですから、ちょっと大変。

「暗記」は無理をさせることができても、「漢字」ばかりは無理が利かないのです。

卒業生の中にも、あまりに覚えようとしない学生がいたので(高校時代の成績はトップクラスでした)、目の前で「書け、書け」をやらせたことがあるのです。「覚えるつもりがないから、覚えられないのだ」と言って。

「金曜日」の「金」の字だったのですが、私は、彼に「百字書き」の苦行を強いるつもりだったのに、こちらの方が苦行させられたような次第。覚えるつもりのない人に「漢字」の苦行をさせるべきではない…というのが実感。双方共に何の益にもなりません。

見ていてやらせたのですが、二回はどうにか正しく書いた。ところが三回目に書いた字はというと、下の点々が内向きではなく、外向きになってしまっている。訂正させて、また書かせると、今度は屋根がどっかに向いてしまう。20回ほどでこちらの方が根負けして、「もう、どうして!」となってしまった。

向こうは向こうで、気の毒そうな顔をして私を見ている。どうやったら「覚えなければ」という気にさせられるだろうと思っても、「こういう学校じゃ無理」という結論に至ってしまう。覚えるつもりで来ていなければ(留学)、時間が足りないのです。仕事、つまり「稼ぎ」で必要にならない限り、無理なのでしょう。覚えようすれば覚えられるだけの能力があるにもかかわらず、覚えないで卒業していった人が何人もいましたから。

きっかけがないとどうにも覚えようという気になれないのです。母国でこんな「苦行」をさせられたことがない、つまり「漢字」を覚えるのは、「意味のないこと」としか考えられないのです。ひらがなで事足れりの世界ではないのですけれども。。

よほどひどい目に遇わない限り、変わらない…苦労するのになと…実際に、進学する時にも、そして卒業してからも、苦労しているのですが。

前にインド人でそういう学生がいました。変わったのは、日本でどうにもならなくなって帰国してから。母国で日本企業に入ろうと思ったら、漢字が読めなくては何もできませんからね、なにせ、留学したという経歴があれば、当然、それを求められますから。

追い詰められないことには、母国(高校、あるいは大学)での成功体験が邪魔をして、どうにかなる精神でやってしまう。

今も、どうにもならない学生が一人います。同じ「漢字テスト」を七回でやっと合格という学生が。

「文句を言うのに疲れた」と言うと、「先生、大丈夫」と答える。「そっちが大丈夫でも、こっちは大丈夫じゃない」と返すと、よくわからないけれども、何だかかわいそうという目つきでこちらを見る。はあ。

まだあと一年あります。途中で変わってくれるといいけれども、おそらく変わらないでしょうね。オートバイのエンジンを勉強したいと言うので、先に「カタカナ」の方をやっておいた方がいいのかもしれません。…こっちも苦手のようですから。

日々是好日
コメント
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