薬屋のおやじのボヤキ

公的健康情報にはあまりにも嘘が多くて、それがためにストレスを抱え、ボヤキながら真の健康情報をつかみ取り、発信しています。

24節気の健康と食養:秋分から寒露まで

2024年09月21日 | 24節気の健康と食養

24節気の健康と食養:秋分から寒露まで

24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 秋分 初候 雷乃収声(かみなり すなわち こえを おさむ)
            雷が鳴り響かなくなる
    次候 蟄虫坏戸(むし かくれて とを ふさぐ)
            虫が土中に掘った穴をふさぐ
    末候 水始涸 (みず はじめて かる)
            田畑の水を干し始める

 白露の次にやってくる24節気が秋分で、毎年9月23日頃(2024年は9月22日)。これより夜が昼より長くなるのですから、秋も本番となります。そして、「暑さ寒さも彼岸まで」と言います。(秋の彼岸:秋分の日を中日(ちゅうにち、おちゅうにち)といい、その前後3日間、計7日を言います。)
 過ごしやすい季節の到来です。
でも、朝晩は肌寒く感じ、風邪を引きやすくなってきますから、用心なさってください。 

 さて、前回(白露)で申しましたが、朝晩の涼しさを感ずると同時に、体のけだるさを感ずるようになることがあります。これが本来の「夏バテ」ですが、最近は「秋バテ」と呼ばれることが多くなりました。その対処の仕方は「夏バテ? 秋バテ?(三宅薬品・生涯現役新聞N0.331)」で解説しましたが、ミネラル不足が原因であることも多いです。なお、今年は猛暑が9月20日まで延々と続きましたから、その傾向が強く、警戒が必要です。
(参照 
今年は「秋バテ」がひどくなりそう(三宅薬品・生涯現役新聞N0.355)

 ミネラルの補給には、まずもって緑黄色野菜や小魚を丸ごといただくということが重要です。前回紹介しました秋刀魚(サンマ)が旬の真っ只中となり、新鮮なものならミネラルたっぷりのはらわたも美味しく食べられます。しかし、サンマはここ何年か不漁続きで、今年ははしりはいいものの引き続き不漁の見込みで、なんともなりませんが。
 サンマのほかに、秋はイワシが旬になっています。脂の乗ったイワシの丸干しを焼いて、脂を切って、丸ごと全部食べるのがベストです。ミネラル補給にとてもいいです。なお、青背の魚の脂(オメガ3)が体にいいからといって、残さず脂を全部摂るのは考えものです。油脂の摂取はバランスが重要で、高レベルでバランスを取るのではなく、低レベル(少ない摂取量)でバランスを取りたいものです。
 野菜を多く摂ってミネラル不足を解消するのが一番ですが、市場に出回る野菜は昔に比べてミネラルが随分と減っていますから、不十分になりがちです。夏バテ(秋バテ)した方は総合ミネラル剤で不足分を充足させる必要がありましょう。

 夏バテ(秋バテ)が解消すると、本格的な涼しさの訪れとともに食欲が出てきます。食欲の秋の到来です。馬肥ゆる秋です。
 四季がある地域に住む動物は、冬の食糧不足と寒さ対策のために、この時期に限って飽食します。ヒトも同じ動物ですから、秋に飽食したくなる体質になっており、大いに食欲の秋を満喫していいのではないでしょうか。
 ただし、冬になったら、そして夏も、腹八分かそれ以下にすべきですが。
 参考までに、飽食して太ったら、その後はダイエットして、一時的に痩せると健康にとてもいいです。それはどうしてか。「
冬ヤセ、夏ヤセで毒だし!おすすめします1日断食の繰り返し」をご覧ください。

 これからの気象は、秋雨前線が終わり、カラッとした大陸の空気が入り込むことが恒常化し、空気は乾いてきます。秋の臓器は肺で、肺は乾燥を嫌います。肺に潤いを与えてあげねばなりません。それには、食が大いに関係します。もっとも重要なのが「辛味」で、これが肺を潤してくれます。詳しくは、「立秋は秋の入り、五味を上手に秋食に取り入れましょう。まずは辛味が重要です。」をご覧ください。
 この時期、露地物のピーマンやシシトウの収穫がピークとなり、ピリッと辛いピーマンやシシトウが求められるのですが、すっかり品種改良されてしまい、これら皆、辛くないものばかりになりましたから、残念です。食卓に乗った料理には、唐辛子なり胡椒を気持ち多めに振りたいものです。また、これから旬となるショウガが採れはじめます。
 そして、秋はカレーライスの季節です。この時期、辛いカレーライスがますますおいしく感じられます。でも、過ぎたるは及ばざるが如しでして、激辛は度が過ぎて、逆に肺を痛めつけることになりますから、ほどほどになさってください。

 果物では、梨が終りかけ、ブドウはマスカット系が旬となり、イチジクが今しばらく続いています。食味は梨が寒性で食べ過ぎると体を冷やしますが、ブドウとイチジクは平性で、さほど体を冷やすものではないです。食欲の秋ですから、食後に何かこうした旬の果物を少々いただきたいものです。
 これからの時期、体を冷やす(寒性の食べ物)ことで有名なのが「秋ナス」です
。“秋ナスは嫁に食わすな”ということわざがあります。2説ありますが、ここは、姑が秋ナスの調理を嫁に任せて諭した言葉、“もうじき、お腹に子が宿るじゃろうよ。秋ナスは体を冷やしてしまうから、子にさわる。食べるのは遠慮しときなされ。”ということにしておきましょう。
 詳しくは、秋ナスと秋サバは嫁に食わすな!をご覧ください。

 次回は、「寒露」(10月8日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:白露から秋分まで

2024年09月06日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:白露から秋分まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 白露 初候 草露白(くさの つゆ しろし)草に降りた露が白く光る
    次候 鶺鴒鳴(せきれい なく)鶺鴒(せきれい)が鳴き始める
    末候 玄鳥去(つばめ さる)燕が南へ帰って行く

 処暑の次にやってくる24節気が白露で、毎年9月7、8日頃(2024年は9月7日)になります。大気が冷えてきて露が多くでき、白色となることから、白露と呼ばれます。
 残暑を感ずることは大幅に減り、乾いた涼しい風が吹き、秋になったことを実感できるようになります。また、白露から秋分にかけて夜は一晩ごとに涼しくなるとも言われ、本格的な秋の訪れを感ずるようになります。

 この時期になりますと、時に朝晩の急な冷え込みがありますから、風邪や下痢から身を護るため、身体を露出した服装は避けたほうがいいことになりましょう。
 一方で、日中は35℃を超えるような猛暑日もあり、今年はその傾向が強いようで、熱中症対策もおろそかにできません。→熱中症と夏ばての原因は一緒(三宅薬品・生涯現役新聞N0.295)
 そうした日には、まだまだ冷たい物が欲しくなることが多いです。冷蔵庫で冷やし過ぎた飲食物の摂取は、再々記事にしていますが、「冷たい物中毒」の恐れがあり、要注意です。暑いときは暖かいお湯がおすすめなのは当店新聞で解説したとおりです。→ 暑い時期はお湯を飲むべし(三宅薬品発行の生涯現役新聞N0.271)

 さて、朝晩の涼しさを感ずると同時に、体のけだるさを感ずるようになることがあります。これが本来の「夏バテ」ですが、最近は「秋バテ」と呼ばれることが多くなりました。その対処の仕方は「夏バテ? 秋バテ?(三宅薬品・生涯現役新聞N0.331)」で解説しましたが、ミネラル不足が原因であることも多いです。

 ミネラルの補給には、まずもって緑黄色野菜や小魚を丸ごといただくということが重要です。前回(処暑)紹介しました、そろそろ旬になる魚、秋刀魚(サンマ)が白露の頃から本格的に出回ります。スタミナ食にもなるサンマですから、この時期大いに食していただきたいですし、新鮮なものであれば、はらわた、これはミネラルたっぷりですから、これも食べていただきたいです。ところで、サンマはここ何年か不漁続きで、今年は初水揚げで豊漁だったもの沖合の魚群分布は昨年より少ない見込みとのことで、今年も期待できず残念です。
 なお、市場に出回る野菜は昔に比べてミネラルが随分と減っていますから、夏バテした方は総合ミネラル剤をお飲みになることをおすすめします。

 涼しさの訪れとともに食欲もだんだん出てきます。食欲の秋の到来です。
 前回(処暑)紹介しましたが、
野菜では立秋以降が旬となるカボチャが一押しです。保存が利き、栄養価が高いですから、大いに食していただきたいです。
 それ以外の野菜となると、皆、夏野菜の類となりますが、ピーマンやシシトウがピークとなります。これも前回説明しましたが、秋には辛味の食材を大いに食していただきたいですから、ピリッと辛いシシトウなどが求められます。

 果物も夏物の晩生のものとなりますが、この時期に多く出回るものがあります。
 梨は旬が続いており、食味は寒性で、体を冷やしますから、食べすぎには注意したいですが、体を潤してくれますから、この時期の食後のフルーツに最適でしょう。
 イチジクは旬が長く、秋果の最盛期となり、まだ多く出回っています。女性ホルモン様成分を含むことから更年期障害にいいですし、食物繊維は不溶性と水溶性の両方ともたっぷり含まれ便秘にいいです。一言で申せば「女性保健薬、それはイチジク」なのです。

 海産物では、秋刀魚(サンマ)の他にカツオがあります。三陸沖で捕れる戻りカツオが旬となります。北の豊かなプランクトンを食べて肥え、脂がのっていて美味しいです。カツオのタタキが一般的ですが、薬味をたっぷり添えたいです。刻みネギ、ミョウガ、青シソに、おろしショウガとおろしニンニクです。具沢山といわれるほどに薬味をたっぷり添えると、美味しくもあり、野菜もたっぷり摂取できるというものです。うちでは、こうした食べ方をしています。

 またまた前回の繰り返しになりますが、立秋以降、体は秋モードに変化しています。その秋は、五臓では肺の季節。肺が活動的になります。その肺が好む味が辛味です。詳しくは「立秋は秋の入り、五味を上手に秋食に取り入れましょう。まずは辛味が重要です。」をご覧ください。
 この時期、まだまだ暑いですが、辛味が利いた熱いカレーライスを食べるのもいいです。汗をかくほどに熱いカレーライスは、冷えた胃を温めてもくれますから、初秋の料理としては効果的です。そして、料理には意識的に唐辛子を振っていただきたいです。

 次回は、「秋分」(9月23日頃)からの健康と食養です。

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今年は「秋バテ」がひどくなりそう(三宅薬品・生涯現役新聞N0.355)

2024年08月25日 | 当店毎月発刊の三宅薬品:生涯現役新聞

当店(三宅薬品)発行の生涯現役新聞N0.355:2024年8月25日発行

表題:今年は「秋バテ」がひどくなりそう

副題:猛暑で交感神経が優位となり、副交感神経の働きが鈍っています

(表面)↓ 画面をクリック。読みにくければもう1回クリック。以下同様です。

    

(裏面)瓦版のボヤキ

    今年の熱帯夜には苦しめられました

    

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24節気の健康と食養:処暑から白露まで

2024年08月22日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:処暑から白露まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 処暑 初候 綿柎開(わたの はな しべ ひらく)綿を包む萼(がく)が開く
    次候 天地始粛(てんち はじめて さむし)ようやく暑さが鎮まる
    末候 禾乃登(こくもの すなわち みのる)稲が実る

 立秋の次にやってくる24節気が処暑で、毎年8月23日頃(2024年は8月22日)になります。「処」とは、身を隠す、終えるという意味と「次」という意味があります。よって、処暑とは、「暑さもその身を隠そうとし、秋の気配を感じるが、秋でありながら残暑もあり、その暑さが夏に次ぐ」という意味になります。

 8月15日のお盆から1週間が過ぎただけですから、「“ひところに比べて早朝は涼しくなった”と感ずるものの、まだまだ残暑厳しい日も訪れます。でも、空気がますます乾いてきますので、幾分過ごしやすくなったのを実感できます。」となるのは、例年のことですが、今年は秋雨前線が停滞しそうで、本来の処暑の訪れは当分先になりそうな気配がします。早く平年並みになってほしいものです。

 「大暑から立秋まで」、「立秋から処暑まで」の記事でも書きましたが、今年はまだまだ蒸し暑い日が多いですから、注意点を再々掲します。
 
昼間、暑い盛りに、体の芯を冷やしてくれるスイカがとてもおいしく感じます。でも、冷蔵庫で冷やし過ぎたスイカの食べ過ぎは「冷たい物中毒」の恐れがあり、要注意です。
 そして、快適な冷房も長時間あたると、体が冷えすぎてしまい、様々なトラブルが発生します。その対応策は、前々回の「夏至から小暑」の記事で書きました正しい入浴法や、前回の「小暑から大暑」記事で書きました貼るカイロの利用があります。参考になさってください。(引用ここまで)

 “ホット”な(少々古くなりましたが)情報を一つ紹介します。
 「暑い時期はお湯を飲むべし:漢方医学の本場、中国人たちが教えてくれています」
 こう題して2017.8.25発行の当店「生涯現役新聞」で記事にしました。中国人、特に女性は、日本人のように冷たい水や氷入りの水は飲まず、お湯しか飲まないという習慣が身についているというものです。これは理にかなったもので、臨床実験も紹介しています。冷蔵庫で冷やしたペットボトルのミネラルウオーターは必ずポットで熱くして飲みましょう。

 まだまだ残暑厳しい日もありますから、食事が淡白なものになりがちで、スタミナを付けたいです。野菜では立秋以降が旬となるカボチャ、そして今では年中出回っていますが枝豆が栄養価が高いですから、大いに食していただきたいです。
 海産物では、そろそろ旬になる魚、秋刀魚(サンマ)が出回り始めます。ここ何年か不漁続きですが、今年は初漁が思いがけない豊漁とのことで、どれだけか期待できそうです。
 小生が子供の頃は秋になれば魚といえばサンマでした。毎年豊漁続きで、安くて美味しい。これからの時期、脂が乗っておいしくなってくるサンマです。
 よく焼いて脂を切って食べる、というのがサンマの食べ方です。青背の魚の脂が体にいいからと、脂を切ってしまってはもったいないと考えるのは間違いです。他の油、霜降り牛など四足の脂、てんぷら油などを、昨今はあまりにも摂り過ぎているから、オイルバランスが崩れているのでして、これらをうんと減らし、サンマの脂も切るべきなのです。なんせ現代は戦前の約20倍もの油脂を取っているのですからね。
 ここで、小生が行っている、こだわりのサンマの食べ方を紹介しましょう。
 焼いたサンマをキッチングペーパーを敷いた皿に載せ、少しでも脂を吸わせます。箸で背と腹の境を少し開いて醤油を注します。最初に食べるのは、サンマの腹の部分です。はらわたがけっこううまい。腹周りの小骨、周りの肉もはらわたと一緒に口に放り込み、よく噛んで食べます。なお、消化にいいように大根おろしをたっぷり用意しておき、サンマと大根おろしを交互に口に運びます。
 はらわたが嫌いな方であっても、肝は小さいですが、少なくともこれだけは食べていただきたいものです。はらわた、特に肝はミネラルたっぷりですからね。
 また、サンマの骨は冷凍保存しておき、まとめてフライパンで炒って酒の肴にする、これもけっこううまいです。食べないのは頭と尻尾だけ。食べられる所は全部食べるという「一物全体」、なるべくそうしてほしいものです。

 中国では、処暑に内臓を取り去ったアヒルを丸ごと野菜と煮込んで食べる風習があります。季節の変化が感じられる時期でもあり、秋の臓器である「肺」を潤し、血を補い、熱を取り去り、弱った脾(胃)を元気にするのが、アヒルとされていることによるものです。また、鴨(カモ)の肉を処暑に食べるという風習もあるようです。なお、漢方五行論では、秋の肉は鶏となっていますから、同じ鳥類のアヒルなり鴨がいいということになりましょう。
 これでもって
滋養をつけ、夏バテを防止しようという意味もあります。
 前回も書きましたが、「夏負け」と「
夏バテ」の違いについて、もう一度説明しておきましょう。暑さ真っ盛りの時期に体調を崩すのが「夏負け=暑気当たり」で、涼しくなってから体がおかしくなるのを「夏バテ」といい、対処の仕方が大きく違います。
 詳しくは、「何でも“夏バテ”にされては困りもの。暑気当たり=“夏負け”とは区別して対処しましょう。」をご覧ください。

 また、前回にも書きましたが、立秋以降しばらくすれば朝の涼しさを感ずるようになり、体は秋モードに急速に変化してきています。
 秋は、五臓では肺の季節。肺が活動的になります。その肺が好む味が辛味です。詳しくは、「立秋は秋の入り、五味を上手に秋食に取り入れましょう。まずは辛味が重要です。」をご覧ください。
 立秋の頃から本格的に収穫できるようになっているのがピーマンやシシトウで、昔はけっこう辛いものが混じっていました。最近はシシトウの一部にそうしたものが若干ある程度になってしまい、少々残念ですが、辛味のある野菜を大いに食していただきたいです。
 なければ意識的に唐辛子を振っていただきたいですし、この時期、熱いカレーライスを食べるのもいいです。汗をかくほどに熱いカレーライスは、冷えた胃を温めてくれますから、初秋の料理としては効果的です。なお、季節は秋ですから、先ほど言いましたようにチキンカレーがおすすめです。

 果物では、梨が旬となり、出回り始めます。梨の食味は寒性で、体を冷やしますから、食べすぎには注意したいですが、体を潤してくれますから、この時期の食後のフルーツに梨は最適でしょう。
 また、イチジクが旬となり、出回り始めます。イチジクにはポリフェノールが多く、活性酸素を消してくれ、様々な生活習慣病の予防になります。また、女性ホルモン様成分を含むことから更年期障害にいいですし、食物繊維は不溶性と水溶性の両方ともたっぷり含まれ便秘にいいです。一言で申せば「女性保健薬、それはイチジク」なのです。ぜひお召し上がりください。

 次回は、「白露」(9月7、8日頃)からの健康と食養です。

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24節気の健康と食養:立秋から処暑まで

2024年08月07日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:立秋から処暑まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 立秋 初候 涼風至(すづかぜ いたる)涼しい風が立ち始める
    次候 寒蝉鳴(ひぐらし なく)蜩が鳴き始める
    末候 蒙霧升降(ふかき きり まとう)深い霧が立ち込める

 大暑の次にやってくる24節気が立秋で、毎年8月7日頃(2024年は8月7日)になります。立秋の日は夏至の日に比べて約1時間も日が短くなります。
 でも、立秋の日の気温は概ねピークにあり、岐阜の平年値は次のとおりです。
  平均気温のピーク (8月  5日) 28.9度 
  最高気温のピーク (8月5~7日) 34.0度 
  最低気温の
ピーク (8月3~6日) 25.2度 

 これでは、とても秋が来たという感じはしないのですが、梅雨はとっくに過ぎ、地面が乾いて湿気が減り、湿度がけっこう低くなりますから、蒸し暑さからは随分と開放されます。
 
とは言うものの、今年は連日すさまじい猛暑に襲われ、ひどい熱帯夜が続き、かつ、ときおり軽い夕立が逆効果になって蒸し暑さは和らいでくれません。少々うんざりします。
 でも、毎年確実に言えるのは、日が昇るのが夏至に比べて約30分遅くなりますから、早起きの人には“一頃に比べて早朝は涼しくなった。そろそろ秋が来るか”と感じられることでしょう。
 そうは言っても、日中はまだまだ猛暑日の連続でしょうから、立秋以降の挨拶言葉は“残暑お見舞い申し上げます”となりますが、お盆前までは真夏と捉えたほうがいいでしょうね。

 「大暑から立秋まで」の記事で書きましたが、立秋以降もしばらくは暑さ真っ盛りの状況にありますから、その時期の注意点を再掲します。
 
昼間、暑い盛りに、体の芯を冷やしてくれるスイカがとてもおいしく感じます。でも、冷蔵庫で冷やし過ぎたスイカの食べ過ぎは「冷たい物中毒」の恐れがあり、要注意です。
 そして、快適な冷房も長時間あたると、体が冷えすぎてしまい、様々なトラブルが発生します。その対応策は、前々回の「夏至から小暑」の記事で書きました正しい入浴法や、前回の「小暑から大暑」記事で書きました貼るカイロの利用があります。参考になさってください。(引用ここまで)

 梅雨後半から立秋過ぎまでのしばらくの間は蒸し暑さや猛暑で食事が淡白なものになりがちです。よって、この時期、スタミナが切れてきます。これも「大暑から立秋まで」で書きましたが、滋養が付く鰻や肉類を時折食べたいものです。

 中国や韓国では、概ね「土用の丑」と同じ頃、その前後10日の日、計3回を「三伏」(*)といい、肉料理で滋養をつける習慣があります。3回目の「三伏」は立秋の頃となり、中国では立秋には「とろ火でよく煮込んだ肉や骨付き肉を食べるがよい」とされています。これでもって滋養をつけ、夏バテを防止しようというものです。また、暑い盛りに熱い物を食べるのは、冷えた胃腸を元気にすること、汗をかいて老廃物を排出すること、といった面でも大事なこととされています。
(注)「三伏」とは、正確には次のようになります。夏至から数えて3番目の庚(かのえ)の日から「初伏」が始まり、夏至から4番目の庚の日から「中伏」が始まる。そして、立秋以後の最初の庚の日から「末伏」が始まり、初伏、中伏、末伏の総称が「三伏」となる。初伏と末伏はそれぞれ10日間と日数が決まっているが、中伏の日数は年によって異なる。夏至から立秋までの間に、庚の日が4回ある場合、中伏は10日間、5回ある場合は20日間となり、「三伏」の期間は年によって30日間となったり40日間となったりする。

 ここで、「夏負け」と「夏バテ」の違いについて説明しておきましょう。暑さ真っ盛りの時期に体調を崩すのが「夏負け=暑気当たり」で、涼しくなってから体がおかしくなるのを「夏バテ」といい、対処の仕方が大きく違います。詳しくは、「何でも“夏バテ”にされては困りもの。暑気当たり=“夏負け”とは区別して対処しましょう。」をご覧ください。

 さて、先にも書きましたが立秋以降しばらくすれば朝の涼しさを感ずるようになります。そうなると、体は秋モードに急速に変化していきます。
 秋は、五臓では肺の季節。肺が活動的になります。その肺が好む味が辛味です。詳しくは、「立秋は秋の入り、五味を上手に秋食に取り入れましょう。辛味が重要です。」をご覧ください。
 立秋の頃から本格的に収穫できるようになるのがピーマンやシシトウで、昔はけっこう辛いものが混じっていました。最近はシシトウの一部にそうしたものが若干ある程度になってしまい、少々残念ですが、辛味があるから初秋からの野菜である、と言えるのが本来のピーマンやシシトウです。
 もう一つ、立秋の頃に収穫のピークとなるのがカボチャで、収穫後1週間か10日置くと甘味も増して美味しくなり、この時期にふさわしい野菜です。漢方では、カボチャは「陰陽にかたよらず両者を補益する平補の食品」とされ、体に熱がこもるでもなく、冷やしもしないという、この時期に胃腸にやさしい食品で、栄養価も高く、滋養も付きますから、大いにお召し上がりください。
 他にこの時期に収穫が本格化するものにオクラがあります。オクラに特有のネバネバ物質はペクチンとムチン。胃腸の粘膜を保護し、消化を促し、便秘を解消するといった効果があります。この時期、「冷たい物中毒」で荒れた胃腸
粘膜の修復に効果的でしょう。
(2018.8.9追記:ムチンにはこのような効果はないことが判明しましたので削除します。)

 果物では、ぶどうが旬となります。漢方では、ブドウは「血を補い、気を補う作用がある。性は平(体を温めも冷やしもしない)」とあり、これからの時期に最適です。
 また、桃が旬となります。漢方では、桃は「体を潤し、胃腸を整え、血を巡らし、老廃物を排泄する」とあり、性は微温(体を少々温める)で、冷え症の女性には最適な果物となります。

 次回は、「処暑」(8月23日頃)からの健康と食養です。

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