Noosphere<精神圏>

進化の途上にある人間、これからどう発展するのか。

生命のもつ隠れたエネルギーを探る

2021-09-20 22:12:28 | 生命と物質

生命のもつ隠れたエネルギーを探る

生命体はその外側から物質を取り入れ体内でエネルギーを作り出しています。その個体は生きている間は止まることなく活動して、決められた期間で活動を停止します。そして生命としての役目を終えて個々の物質に戻り地球の循環に組み込まれます。個々にそれぞれの活動があっても、俯瞰してみると地球の生命体として何らかの関わり合いがあって継続しています。初期の地球では特定の微生物が酸素を大気中に増やす光合成という仕組みを作り出し、当時の地球環境で未来の生命活動を見すえた活動をしています。植物が地表に繁茂して昆虫や小動物の食物連鎖の状態を整え、未来の動物にとって栄養を取れる環境を準備しました。両生類や爬虫類という動物にはすでに神経系や脳という形態があらわれて将来に知性の兆しを発現しています。生物が地球の環境へ対応していく道のりには明確な方向があります。そして、これらの生物に共通するのは、基本を構成する物質がタンパク質であり、細胞が単位となって集合した組織体です。そして、個体の生死を超えて徐々に複雑な構成となるような経過があります。この生命という活動にはどういう仕組みが隠されているのでしょうか。生命には明らかに方向がありますが、私たちはまだ生命の仕組みを完全に理解できていません。

生物体内の物質の動きは、タンパク質を中心に連続的に化学反応が起きています。エネルギーを体内で作り出し、生命活動の活性化を実現しています。生命活動の基本であるタンパク質は様々な構造と多様な性質を持つ不思議な物質です。そのタンパク質の立体構造を生み出す炭素原子の構造と水における水素と酸素の関係には、生命へと形となって現れる配置が隠されています。タンパク質が組み合わさった塊に自律的な活性化が生じて、それが細胞というまとまりに発展しています。タンパク質そのものは生命体ではありません。しかし、タンパク質が中心となって多様な物質が組み合わさり細胞を構成して生命の活性化を維持しています。細胞内でタンパク質などの物質が複雑な反応を繰り返す様子は、細胞核のDNAというタンパク質の組み合わせによる情報に共鳴して活性化を実現しているように見えます。タンパク質が組み合わさって多様な反応活動を発現したことは、そこに機能的な組織へと複雑になっていく方向があるということです。つまり、生命の活性化する方向に、物質どうしが共鳴する仕組みが用意されているから、生命が起こり得るということです。

タンパク質のような何万もの原子・分子が組み合わさる複雑な物質が、ランダムに結びついたり離れたりして徐々にできてきたとしても、そこにDNA情報に収束するという方向がなければ生命には到達しえないと思われます。生命が存在するという事実から、この宇宙に生命への方向があると考えます。多くの物質がタンパク質と組み合わさって連鎖的に活性化している仕組みは、生命への方向が基本にあります。その方向によって生命に適切な物質の性質を発現したということです。つまり、生命に必要な物質が偶然に生じたのではなく、生命の誕生は宇宙の必然であって、そのため物質が作られ未来の生命の発現を促したということです。生命の発生には、水素、酸素、炭素などの単純な元素だけの組み合わせだけでなく、原子番号の大きな元素も必要であり、多くの物質が結びついて同時に生命の方向に展開する必要があります。つまり、生命の基礎であるアミノ酸やタンパク質などの複雑な物質が現れ、組み合わさってDNAが構成されたのは、そこに生命への方向があるからなされたことになります。生命が活動できる温度や重力などの惑星環境があることに加えて、惑星上で生命を維持していく太陽のエネルギーということを考えても、宇宙に潜在する生命への方向を考える必要があります。生命への方向があるからこそ生命となる物質が用意されたことは見逃すことはできません。タンパク質の構造や機能を細かく分析するだけでは、群妄巨象をなでるという譬えにはまってしまいます。

生命の成り立ちと物質の性質を決めるもの

宇宙には潜在的に生命への方向があります。この方向によって、生命に連なっていくべき物質の性質が徐々に生み出されたとして考えます。そして生命の方向へと形をなしていく物質の発生に2つのものを考えます。1つは時間と空間を超えた生命体の痕跡であり、私たちには見えない宇宙の痕跡から情報を受け取っているのではないかと感じます。そして2つ目は生命を実現させる方向へ向かうエネルギーがあると考えます。それは物質的でない純粋なエネルギーです。私たちには捉えられないその不思議なエネルギーが、生命に適切な物質を発現してきたのではないかと考えます。空間に新たな物質の性質が顕在化するとき、この性質は物質どうしが引き合い組み合わさって生じます。この引き合う力は純粋なエネルギーであり、新しい性質の発現に向かって引き合う方向があるということです。痕跡にある方向とそれに呼応する純粋エネルギーが物質の性質を決定する素因であって、物質が決められた性質に発現して、さらに痕跡を形成します。つまり、宇宙の痕跡によって空間の物質の性質は固定されています。宇宙にあった生命の試行錯誤によって、物質は、その方向において、あるべきものが、あるべくしてあるということになります。

時間と空間を超えた痕跡とは、物質の結びつきに対し方向を指示して、潜在的に物質の結びつきに影響を与えるものです。それによって物質の性質が決まります。すべての物質は、その物質が占める領域における状況との関連性において発現すべき性質が定められています。物質とその空間とに介在する状況において、その物質の性質が決められていたということです。言い換えると、物質の性質の発現は、その状況において時間と空間を超えた痕跡の参照があって定められるということになります。結びついたり離れたりするときの状況での新しい性質の発現は、その性質が「生じたとき」における空間の痕跡において発現したということです。物質の性質は、その領域における痕跡においてすでに決定されています。

宇宙には地球以外にも生命の活性化の方向への試行錯誤があるはずです。それらの物質の性質が固定化されてきた積み重ねという基礎において、方向性が決められているという考え方です。地球においても生命の土台としての環境を整えながら生命が誕生し進化するという痕跡が作り上げられています。それが膨大な集まりとなっていて、多様なる生命形態へ影響を与えています。時間と空間を超えた痕跡とは、宇宙に刻まれた生命の流れの記憶と同じことです。宇宙には私たちが知覚する時間と異なった大きな循環の流れがあると考えます。私たちから感じることのできる時間は、個々の変化の継続が累積していく垂直に経過しているものと考えることができます。これと対照的に宇宙の痕跡にある時間は循環する螺旋が1つになった水平にある時間に例えられるものです。水平時間はすべてが1つの時間であり、過去と未来が混在しています。未来は過去によって変わるとともに、過去は未来の影響を受けます。この水平時間の考え方からすれば、生命体が過去に複雑化の方向に展開したのは、その方向の未来に発展があったからということになります。人間を含めた生物は潜在的な全体時間(水平時間)のなかで個々の時間(垂直時間)に生きています。私たちの個々の時間において水平にある時間が認識できないのは、脳の構造や感覚などの身体的制限、関連する知識が不足しているなどによるものでしょう。この水平時間とのかかわりは宇宙の意識といってもよいものです。

物質の性質を決定するものは痕跡にある情報です。未来に必要な組み合わせを過去に伝える仕組みがあるということになります。それは未来から引く力です。生命の閉じた塊は自律的な動きの中で、偶然の事象から複雑になるように選択してきました。未来の確かな状況への方向を意識して土台を構築してきています。そして生物の行動の基底にあるものは生命の活性化を生じさせているエネルギーです。それは徐々に組織的で複雑なものを作り上げていく方向性を持ったエネルギーであって、物質にあって物質的ではないエネルギーです。進化して複雑になっていく生命は冗長性があって多様な集合体を形成し、そこに生じる意識は複雑なものに向かうエネルギーを醸成しています。人間にとって未来の痕跡から引かれる方向は知的な精神エネルギーへの展開です。私たちは個々に繰り返される日常に埋もれていても、人類全体からみると複雑な方向に変化を生じています。人間という知性を持つ生物への道筋はあったのであり、さらに複雑な方向へ続くことになります。

人間も宇宙の痕跡に沿った動きに影響されています。宇宙には大きな循環があって、そこにある変化の1つ1つが過去と未来を結び付ける水平時間と関わっています。生命として生じた知的な存在は、無意識的に未来の方向からの痕跡にさらされています。それは純粋なエネルギーであり、それによって物質の性質が定まり生命という活性化するものが存在できる循環が維持されています。生命は多様性と冗長性のある集合する意識に向かっています。この変化に関わっているのは宇宙に遍在する純粋エネルギーであって、その方向を選択するのは私たちです。現状の私たちが観察して法則が導かれるものしか事実として信じないのは、自らを殻に閉じ込めて進歩を拒否しています。それは、私たちの制限ある感覚器官や脳において観察できた事象に、その範囲内で規則性が認められただけのことではないでしょうか。実際には私たちの感覚器官では捉えられないものがあるはずです。それを追求する方法を確立する必要があります。

推論を含むまとめ

生命体は内部で物質どうしの反応を利用してエネルギーの循環を実現しています。その外部にある個々の物質は、生命体に取り込まれると動きを与えられ、生きるという活性化の継続に寄与します。生命の活性化を維持するには物質の交換や連携が必須です。そのため生命体は呼吸や消化器官など相応な仕組みを構築し、全体を神経系が巡って、それらを制御するように脳が発達します。同様に、感覚器官が発達し必要な物質を区別して脳で認識し記憶するようになります。脳では対象となる物質への意識が働いて、その物質との関係を記憶していきます。この脳における物質との関係する記憶は、生物の成長と同時に記憶に累積されていきます。その上、世代の交代を重ねて少しずつ複雑になっていく方向があり、そこに方向を与えるものがあります。

そこで、すべての生命の経過の痕跡が、私たちの見えない宇宙の神経細胞のようなものに記憶されていると考えたらどうでしょうか。空間に潜在する痕跡があって、私たち生物の未来はその積み重ねとから影響されているということです。

この宇宙には、私たちが観測できるマクロの物質とは連携しないものがあると思えます。それは、おそらく光のエネルギーと未来の痕跡に関係しています。そこに、目に見えない純粋なエネルギーというものを仮定します。太陽からの熱エネルギーは光の電磁波によるものであっても、粒子としての光は純粋なエネルギーとして物質の性質と関係しています。物質には電荷や水素結合などで互いに引き合う力が内在しています。そこで原子や分子が結びついて新たな性質を生じているという事実は、物質どうしを引っ張っている力が性質を発現させていることになります。そこにある性質を生じる方向性は粒子としての光と未来の痕跡から導かれたものです。生命体にある意識からは純粋エネルギーは見えないし痕跡の情報に直接アクセスできませんが、私たちはまわりのものが安定したマクロの物質として見えさせられています。生命に関与する性質の発現にはそれと呼応する純粋エネルギーがあり、それによって痕跡から現実に現れる性質が生み出されています。つまり、エネルギーが物質において形をなすとき、それが物質の性質として現実に置かれるようになります。私たちが観察できるのは、痕跡における試行錯誤によって純粋なエネルギーが固定した結果、現実として現れたものということになります。

人間において自己の意識が明確に芽生えたことについて影響を与えたものがあると考えます。その1つは宇宙に生命を生み出し継続させている記憶の痕跡であり、そして2つ目はすべての物質に遍在している純粋エネルギーです。これらはすべての物質に固有の性質を与えるものです。空間に潜在する時間を超えた痕跡とすべての物質にある純粋エネルギーによって方向が導き出され、物質の性質が決まります。そして、最も複雑な生物である人間は自己の意識を明確に自覚して、精神的なエネルギーを活性化の動きに取り込んでいます。そうなると私たちの意識は、感覚器官においても現在の五感を超えて、より複雑に発達すると予想されます。それは究極にある精神の領域を目指しているように思えます。

Written by Ichiro, 中秋の名月のもとで, 9/21/2021, 

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