Noosphere<精神圏>

進化の途上にある人間、これからどう発展するのか。

1つの惑星システムとしての生命

2018-05-26 19:41:52 | 生命についての考察

1つの惑星システムとしての生命

はるか昔、宇宙の星の集まりが銀河となり、そのほんの少しを占める太陽系に地球という惑星が誕生しました。原始の地球から陸と海が分かれ物質の状態が安定すると、そこに自律した動きを持つ生命の小さな塊が現われました。生命をもつ塊は、目に見えないほどの小さな動きから始まり、徐々に組織をなして機能を追加しながら複雑になって、知的な生命体へと発展してきました。生命という共通の特徴をもつ生物たちは、種類を多様に増やして拡張し、惑星の表面に余すところなく散らばり、それぞれの種としての役割を担って地球の環境を支えています。すべての生物を含む生命の大きな流れを1つのシステムと考えると、生物が複雑になっていくことや、その一部に知性を持つ個体が現われることが、生命そのものの特徴ではないでしょうか。つまり、この宇宙では条件が揃う惑星に生命が発生し、生命が一旦起これば種が多様に広がり、惑星における生命環境を整備して、知的になる種を発展させていくことになります。しかし、現在の科学の見立てでは、物質が集まって組織化することはあっても、その組織が複雑になって知的生命に至ることを、物理法則では説明できません。ここで考えているのは、生命というのは、個々の生物種すべてを包含する全体システムであって、それは元々生命にある使命あるいは特別な法則に従うのではないかということです。それは生命が1つの小さな細胞から知的生物までの全体的な流れのなかに示唆されているのではないでしょうか。それゆえ、その生命の道筋あるいは方向は、当然のこととして、人間の将来にも関わっています。

地球上のすべての生物は、食物連鎖に伴うエネルギー循環の絡まりやタンパク質の構造・組成などに共通性があって、1つの大きな生命システムとして見なすことができます。ぞれぞれの生命種が環境に対してプラスやマイナスの役割をもって、地球規模で循環を支えています。おおまかな例の1つとして、無機物から有機物を生成するバクテリアなどの生物がいて、その有機物を食料とする生物が死んで分解されるような、依存する関係が絡み合う繰り返しになっています。言い換えると、バクテリアから人間までのすべての生命は、大気や海や陸上の物質を巻き込んで、地球のエネルギー循環を支えていることになります。その生命連鎖に絡まるすべての生物は、いったん生きるという活性化の状態になると、それをできる限り継続していこうとします。その様子は、それぞれの生物が置かれた環境条件で、生きることを強制される何らかの精神エネルギーあるいは意志の力のようなものを感じます。科学的な説明からは、生命の塊にある活性の動きに意志があるわけではなく、外界の物質を取り入れて自立的にエネルギーに変換する活動を継続していることになります。しかし、個々の生物は電源やバッテリなどのエネルギー源はなく、生きている状態を自らで止めないようにしている力の源があるようです。生物は自律して外部から食料を摂取して外敵から身を守り、外界と自己の間の物質交換によってエネルギーを生み出して、置かれた環境に適合するように種を維持して、さらに確実に継続できるように同種を増やす活動をしています。

その生きることを継続するには、まず外界にあるものを識別する機能が必要でしょう。まわりにあるものが自分の食料なのか害するものかを区別する必要があり、同じ仲間と認識できれば集まることで互いに生命の維持を有利にできます。そこで外界にあるものを認識して区分けして選択していく行動が起こります。つまり生物の早い段階で感覚器官が必要になるということです。同じ種が集まってくれば、役割を分割して組織として集合したほうが、生きることを確実にするでしょう。さらに雌雄に別れて遺伝子を有利に変異する仕組みを作り出していて、すでに生命が複雑への方向を持っていたことを感じさせます。生物の内部でも、取り入れた物質をエネルギーに変えたり必要ないものを排出したりする動きがあって、体内で生じた物質の不足や不安定をバランスさせるために、酵素など適切な物質を選別する機能を作り上げています。生物は、このような機能を土台にして少しずつ機能を高度化して、全体として統一した個体の組織をなしています。生物は個体としてのまとまりを確実にしながら種特有の感覚器官を発達させ、動物では神経系を体内にめぐらして行動を効率化しています。このように生きることを継続するだけでなく、より摂食や回避の行動を効率化するように駆り立てる傾向が生命の基本にあるように思えます。そこにあるのは、まさに生きることの効率化を意識した(精神)エネルギーであり、その意識は識別して選択して、必要に応じて結合する作用を持っていると考えます。

原初の地球に生じた生命の塊から、外界と区切られて1つの統制された細胞という組織を構成するまでになって、そこ個体は自己を複製し増殖して世代を重ねて継続します。そこで世代の繰り返しをしばらく長い間続けると、ある短い集中した期間で、機能を編成し直して組織を劇的に複雑にして異なった種に変異します。この変異が起こる理由は現代の科学でもまだ解明されていません。生物の多くの種が平行して高度な生物へと進化した流れがあったことは、生物個体には生命種の情報量を増やしていく傾向があって、これはエントロピーが減少していく過程なので、物理的には何らかのエネルギー供給が必要です。その基にあるエネルギーは、現状では太陽の光のエネルギー以外には考えられません。太陽のエネルギーのもとで、地球上の生物はタンパク質などの高分子を有効に活用してエネルギーの状態を変換しながら、惑星としての1つの生命システムを構成していると考えられます。さらに、この宇宙のシステムにとって時間の経過があることが重要な要因に思えます。つまり、3次元の空間だけでは物質としての存在は可能であっても、時間がなかったならば生命が活性化していく変化はありえないでしょう。単にもともと宇宙に時間があったということではなく、生物が上昇する経過として時間が必須だったのではないでしょうか。そして前の状態に変化を加えて後の状態へと複雑にしていくには、時間の経過する推移において、生物自体が変化を識別して選択や結合などを繰り返し、複雑な組織への変異を実現してきたことになります。多くの生命の種が高度な組織へと変化して複雑になったことは、生命の流れに全体として上昇を選択するという方向があったことは明らかです。

そこで、現在の私たち人間が理解している宇宙は、時間の経過を伴う3次元空間として見ていることになります。そして、私たち生命が宇宙に存在することは事実として認識しています。そうなると、宇宙に生命が現われて複雑になった経過において、地球に独自とする要因がなければ、宇宙に生命が現われて知性を持つまでに複雑になるのは必然的な成り行きです。地球と同じような条件にある惑星が宇宙にある可能性を考えれば、生命の発生は宇宙の基本にある流れとして良いでしょう。生命が時間の経過で複雑になって知性を持つのが必然とすると、私たち人間のような知的生命が、宇宙のどこかに現われていることになります。私たち人間が一般的に知的生命といわれるのは、言語を持って思考することができ、抽象的な概念でのコミュニケーションができることです。これは他の生物と決定的に違います。生物の進化において、人類が現れる以前では、生理学的あるいは解剖学的な機能や組織の変化において、高度化あるいは上昇したという話です。しかし、人間は外面的に観察できる範囲を超えて、頭脳内で思考して内面的な変革を可能にしています。人間は自己の意識を明確に自覚した結果、その頭脳において直接の物質だけでなく、物質を言葉による概念として把握して思考することができます。つまり大脳が言語を使いこなして思考することで、さらにその意識を上昇する土台を得たことになります。言い換えると、知的生命を生じた地球の段階は、自己の意識を明確に自覚した人間が、物質の限界を超えて、その意識を明晰な精神にまで上昇させていく過程にあるといえます。

生命システムは、長い期間にひたすら上昇する変異を生物に起こし、個々の組織を複雑にして知的生命へと意識を上昇させてきました。言い方を変えると、知的な生命体が現われる前の段階では、生命システムは生きるための意識のみが優位であり、それがシステムの中心となって上昇を促進してきました。そして人間という知的生命の段階になり自己の意識が明確になると、生きる意識に平行して、自覚した意識が生じています。自己を自覚する意識に芽生えたことによって、人間は思考を重ねて上昇する仕組みに変化しています。そして、人間は言語を駆使して連携して集団をなし、社会組織を構築するようになりました。そこで個々の脳が言語によって結びついて協力して成果をもたらすことによって活性化を促しました。言い換えると、複数の脳で考えて協力することで、新たな精神のまとまりが構築されていくことになります。ここでは、コミュニケーションや記録の手段としての言語から、思考している概念を共有する言語への変化があります。人間どうしが原因と結果の経験を共有して、意志を連携することで、それぞれの記憶が再構築されて、新たなる連携を発見していきます。それはすなわち意識がより明確になるということです。

化石の観察からだけで見ると数十万年の間、人類の頭蓋骨は外面的にはあまり変わっていないので、何ら変異がないようにも思えます。しかし、実質的には言語を使った思考によって、抽象概念を形成していく発展があって、内部では変異する作用が続いていたと考えられます。それは、自己の意識を明確にしていく過程であり、環境に最適な食料の確保や外敵への対処などを効率化して、血縁を越えて多くの人々が集まって社会を構成しています。そして、個性に多様化が生じて、集団が経験する様々な混乱から選択や結合がなされたはずです。人間は生きることを意識するだけでなく、もっとよく生きることを意識して向上や改善への意志や動機を持って仲間と協調しています。仲間として行動の効率を上げることは、その集団にある精神のエネルギーを増加させ意識を上昇させています。現代の社会では、お金の流通が血液の循環のように世界をめぐり、情報は神経組織のように末端から全体へとつながっています。そこで人間にある発展とは、知性が未発達の状態から完成に向かって徐々に高まっていく過程にあります。生命の全体システムにとっては、精神エネルギーを上昇させて全体を包み込んでいく過程にあるといえるかもしれません。

生命に必要な物質や生存に適した環境条件が揃っている惑星があれば、そこに生命が現れるというのは必然でしょう。そうであれば、生命発生は宇宙の法則としてよいはずです。そして惑星に生じた生命は、その惑星全体を身体とする生命システムを構成すると考えて見ると、惑星単位で1つに統合する中心を持った精神をまでに発展すると考えられます。私たちを取り巻く生命の流れには何らかの使命が与えられていて、それに強制されているのではないとすら感じます。その根底にあるのは、精神を上昇させるエネルギーであり、それは知的生命になるまで情熱を伴って続いています。例えば、自分1人では到底できないことも、仲間と協力しながら情熱を込めれば実現できるということです。その結果の集大成として人類の未来が選択され、全体の精神エネルギーが上昇していくのではないでしょうか。惑星に生じた1つの生命の種から、徐々に複雑な生物へと変化して、惑星全体に拡張していく流れがあります。地球では人類が現時点で最も複雑な知的生命となります。そうであれば、地球の生命システムの未来は、その知的生命である人間が何を識別し選択して、どの目的に情熱を持つかに示唆されることになります。

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